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◆◆◆講演会のお知らせ◆◆◆
チャンネル桜支援講演会 
桜ゼミナール1月「マスコミに騙されない、経済の読み方」
講師:三橋貴明
日時:平成23年1月23日(日) 開演14時~
会場:栃木県護国神社内 護国会館
参加費:1000円
詳細は以下のURLをご覧下さい。
http://www.chsakura.com/event/sakura_seminar.html#jan
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◇◇◇石平氏とのトークセッション申込受付開始!】 ◇◇◇
ワック社から「中国がなくても、日本経済はまったく心配ない!」(12月24日発売開始)が出版されるのを記念し、石平氏とトークセッション「中国経済、本当はどうなるのか?」を開催いたします。
日時:平成23年1月15日(土) 開演14時予定
場所:日本教育会館(一ツ橋) 第5会議室 
http://www.jec.or.jp/koutuu/index.html
お申込みは、以下から!
https://mitsuhashi-takaaki.jp/forms/party.php
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2010年を締めくくる二冊が発売になりました。

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 先日の朝日ニュースター「 宮崎哲弥 大論争5時間スペシャル ~経済乱世を生き抜く!~」で、藤原先生が、
「ユーロの失敗は、無作為に拡大してしまったことだ」
 という趣旨のことを仰っていましたが、個人的には「最後のユーロ加盟国」になると考えているエストニアが、2011年1月1日、念願のユーロ導入を果たしました。


エストニア:11年からユーロ導入、旧ソ連圏から初-計17カ国に
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920000&sid=auvC1ZKZwNVw
 エストニアは2011年1月1日に、旧ソ連諸国として初めてユーロを導入する。ソブリン債危機が欧州を揺るがした影響でユーロ圏拡大は一時的に制限される見通しだ。
 ラトビアとロシアに挟まれ、バルト海に面したエストニアは1日午前零時に同国通貨をユーロに切り替え、17カ国目のユーロ導入国となる。同国の国内総生産(GDP)は140億ユーロ(約1兆5230億円)で、ユーロ圏ではマルタに次ぎ2番目に経済規模が小さい。
 欧州諸国が財政危機に取り組む中、今後数年でユーロ圏に加盟するのはエストニアが最後となる公算が大きい。次の加盟候補国であるリトアニアとラトビアは2014年の加盟を目指しているほか、他の東欧諸国は目標時期の設定を先送りした。(後略)』


 エストニアの09年のGDPは140億ユーロで、ユーロ全体に占めるシェアは1%に満ちません。それでもユーロ圏では「一票」を持ってしまう点も、ユーロの歪みの一つだと思います。


 もっとも、それ以上にも危ないと思うのは、PIGS諸国の破綻により、投資先を失った欧州の経済大国(独仏英)の銀行が、短期的な収益を狙ってエストニアにユーロを流しこんじゃうのではないかという点です。


 何度か書きましたが、高成長を続け「ケルトの虎」とたたえられたアイルランドですが、ユーロ加盟前と加盟後では成長モデルが全く違います。99年のユーロ導入前は、アイルランドは普通に輸出競争力を高め、経常収支の黒字を稼ぎ続けていました。法人税を引き下げ、外資を導入することで自国の供給能力を高めていったわけです。


 ところが、ユーロ導入後は、アイルランドの銀行が低金利のユーロ建てで資金調達が可能になってしまいます。結果、アイルランドの銀行は独仏などの銀行から短期で融資を受け、不動産セクターに長期で投資するというモデルで成長していきました。短期で借りて、長期で投資するのでは、すぐに立ち行かなくなるのではないかと思いがちですが、大丈夫です。短期資金の返済時期が来たら、借り換えちゃえば済む話ですから(ロールオーバーです)。


 今や懐かしい、アメリカのSIV(Structured Investment Vehicle、特別目的会社)と同じ仕組みだったわけですね。SIVは短期のABCPで調達した資金を、長期のCDOやRMBSにぶち込み、長短の金利差で稼いでいました。ABCPの償還時期が来たときは、新たなABCPを発行し、資金を回していたわけです。


 アイルランドの銀行も、SIVと全く同じコンセプト(短期で借り、高金利の長期で投資する)で急拡大したわけです。結果、バブル崩壊により借り換えが不可能になり、破綻しました。(この辺、SIVと全く同じです。)


 何度か書きましたが、アイルランドの銀行は自らの経営判断に基づき、独仏などの銀行からお金を借り、運用に失敗した結果、破綻したのです。独仏の銀行にしても、自らの経営判断でアイルランドの銀行にお金を貸したのです。

 それをアイルランド政府が公的資金を突っ込んで救済し、その負担を「アイルランド国民」が負わなければならないというのは、本当に微妙な感じです。市場主義的には、独仏の銀行が責任を取らなければならないと思うのですが、なぜかツケがアイルランド国民に回ります。


 本ブログで何度か取り上げた「アイスランド v.s. 英蘭」の件も同じです。
 英蘭両国の預金者が、高金利に魅かれてアイスランドの銀行にお金を預けた。アイスランドの銀行が破綻した。アイスランド政府もお手上げ宣言し、仕方なく、英蘭両政府が「アイスランドへのローン」という形で、自国の預金者に補填した。後に、アイスランド政府にローンの支払いを求めたところ、当初は「返します」と言っていたアイスランド政府(の大統領)が拒否に転じ、国民投票まで行われて「返す必要なし」とアイスランド国民の意思が示されてしまった。


 この話も、そもそもなぜ「高金利に魅かれて自らの判断に基づき、アイスランドの銀行に預金をした」英蘭の預金者を、アイスランド政府や国民が救済しなければならないのかという、根源的な疑問が出てきてしまうのです。


 ユーロや欧州諸国の破綻は、色々と考えさせられます。

 
 エストニアに話を戻しますが、最新の同国の失業率は16.2%です。「ユーロの加盟した、万歳!」などと言っている状況ではありません。


【写真 欧州諸国の失業率 2010年10月時点】


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出典:ユーロスタット

【2010年10月末時点 欧州の失業率をグラフ化 】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_32.html#Unem


 失業率が高く、かつユーロ諸国全体から見ると、経済規模が非常に小さい。独仏などの銀行にとってみれば、これほどお金を投じやすい環境はないようにも思えます。少し独仏の銀行がユーロ建ての融資をすれば、簡単に何らかの資産バブルが生じそうな気がするわけです。高失業率に悩むエストニア政府も、むしろそれを望むように思えます。


 エストニアの人口はわずかに134万人ですが、何しろ人口32万人のアイスランドでさえ、海外マネーに依存したバブルが発生したのです。


「なあに。長いこともたせる必要はない。短期的にバブル起こして、当座をしのげればいい」
「そうだな。バブルが崩壊したら、エストニア政府の公的資金を注入させ、エストニア国民の負担にしてしまえばいいしな


 こんな会話が、ユーロ諸国の銀行で交わされていないことを祈ります。



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