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三橋の新刊、続々登場!
◆◆◆講演会のお知らせ◆◆◆
チャンネル桜支援講演会 桜ゼミナール1月「マスコミに騙されない、経済の読み方」
講師:三橋貴明
日時:平成23年1月23日(日) 開演14時~
会場:栃木県護国神社内 護国会館
参加費:1000円
詳細は以下のURLをご覧下さい。
http://www.chsakura.com/event/sakura_seminar.html#jan
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◇◇◇石平氏とのトークセッション開催決定!◇◇◇
ワック社から「中国経済、本当はどうなるのか?」(12月中旬発売開始)が出版されるのを記念し、石平氏とトークセッションを開催いたします。
日時:平成23年1月15日(土) 開演15時予定
場所:未定(東京のどこか)
※詳細は決定次第お知らせ致します。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
彩図社の「今、世界経済で何が起こっているのか?」(↑)増刷が決定いたしました! ありがとうございます!
何か壮大なタイトルですが、当ブログで取り上げる「国家の役割」とは、経済における役割という意味です。無論、経済以外にも社会保障(これも経済だけど)や安全保障、治安など、国家が責任を持たなければならない分野は多々あります。
とはいえ、経済という分野に絞ると、国家が果たさなければならない役割は、基本的には「調整」だと考えています。調整とは、具体的には「需要と供給」「金利」「物価上昇率」の三つです。
より分かりやすく説明すると、国家が経済に果たすべき役割は、下記の二つを発生させないことに尽きると考えているわけです。
すなわち、
「財やサービスの供給不足などから発生する、インフレ率の極端な上昇。すなわちモノ不足(=供給不足)」
「国家経済のフロー(GDP)崩壊による、失業率の極端な上昇。すなわち恐慌(=需要不足)」
の二つです。
例えば、ソ連崩壊期のロシアや、先日までのジンバブエが、前者の「物不足」に該当します。ソ連崩壊後、「肉」や「パン」を求める人々が、商店の前で長い行列を作りましたが、あれを発生させないことが国家の役割の一つというわけです。ジンバブエのハイパーインフレーション(やWW1後のドイツのハイパーインフレーション)にしても、本質的な問題はモノ不足です。
逆に、フロー崩壊とは、もちろん大恐慌期のアメリカです。当時のアメリカは、供給能力は十分でした。それに対し、政府の政策ミスから需要が極端に減ってしまい、GDP四割減、失業率25%というカタストロフィに達してしまいました。
例えば、戦争に負けて焼け野原(供給能力の喪失)に陥った日本や、あるいは国営企業の供給能力不足で高インフレになった80年代のブラジルなどと、大恐慌期のアメリカでは、対策は真逆になるわけです。戦後の日本政府は、一部の産業に資金を集中させることで、供給能力の回復を図りました。また、ブラジルは国営企業を民営化し、外資も導入することで供給能力を向上させました。まさしく「規制緩和」により国家が経済における調整機能を果たしのが、ブラジルの事例というわけです。
とはいえ、戦後の日本や90年代のブラジルの施策が、大恐慌下のアメリカには適していないことは、今さら言うまでもありません。
本ブログでは主に日本、アメリカ、中国、そして欧州の四つの地域の経済をヲチしていますが、現在はグローバルインバランスの終焉に基づくパラダイムシフトの時期です。経済における「国家の役割」を考える上での事例には、幸い(?)なことに事欠かないわけでございます。
『チェコ:ユーロ導入先送りも、コルナ存続が有利なら-ネチャス首相
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=a.tpZ.XR6iso
チェコのネチャス首相は、欧州のソブリン債危機によってユーロの信認が損なわれる中、自国通貨コルナを存続させることが有益である限り、欧州通貨統合への参加(ユーロ導入)を遅らせることができるとの考えを示した。
(中略)
ネチャス首相はテレビで生中継された討論会で、「誰もわれわれにユーロ導入を強制することはできない。われわれには事実上、適用除外(オプトアウト)の権利がある」と語った。(後略) 』
共通通貨ユーロというシステムは、各国が前記の国家による調整機能のうち、「金利」と「物価上昇率」について事実上放棄することで成り立っています。とはいえ、先の「需要と供給」「金利」「物価上昇率」の調整機能は、本来的に不可分のものです。ユーロは各国政府が「需要と供給」の調整機能のみは可能であるため、逆に様々な矛盾を膨らませてしまったわけです。
無論、ユーロ加盟国はマーストリヒト条約により「財政赤字は対GDP比で3%まで」という「需要と供給」機能に関する制限を受けています。とはいえ、世界的な経済危機、金融危機が進展する中で、財政赤字を「条約で定められているから」という理由で増やさない政府など、存在し得ません。
チェコのネチャス首相のコメントは、ユーロ加盟と「金利調整、物価調整機能の放棄(ECBへの委譲)」を天秤に掛ける必要があるという話で、まことにごもっともといか言いようがありません。何しろ、国家の機能の分割という矛盾が爆発した国々では、冗談抜きで「出口がない」状況に追い込まれつつあります。
『ギリシャ、今年の財政目標達成に59億ユーロの税収不足-イメリシア紙
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aeHpIBUe2jho
ギリシャが欧州連合(EU)の欧州委員会と欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)の3機関との間で合意した2010年の財政赤字目標を達成するためには、今年の税収が59億ユーロ(約6500億円)不足している。ギリシャ紙イメリシアが情報源を明示せずに報じた。ギリシャは今年の赤字を対国内総生産(GDP)比で9.4%以下とすることを約束している 。(後略)』
『アイルランド:10年財政赤字はGDP比32%に、銀行救済で-RTE
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=a7wLOQScCEFw
アイルランド政府は、銀行救済に伴い、今年の財政赤字が対国内総生産(GDP)比で32%に達すると見込んでいる。同国公共放送RTEが報じたもので、詳細については言及していない。 』
ユーロに加盟した上で破綻したギリシャやアイルランドは、共通通貨を使用する「他の加盟国の都合」に基づき、国民を苦しめる緊縮財政を取らざるを得ないわけです。しかも、共通通貨を使用する限り、通貨下落による輸出競争力強化と経常収支の黒字化(=対外純資産の獲得)は望めません。
しかも、特にアイルランドが顕著ですが、「外国の銀行を傷つけないために、デフレ下で緊縮財政を強行」することになり、先の大恐慌下のアメリカ式の「破綻」へと、自ら舵を切らざるを得ないわけです。改めて考えると、ゾッとする話です。
さて、わたくし達の国である「日本」ですが、我が国では様々な情報の歪みにより、先の国家経済の機能が十分に果たされていない状況にあります。デフレの深刻化とは、大恐慌下のアメリカ式破綻への「第一歩」ですが、なぜかマスコミや政治家は「供給不足」「インフレの悪化」に対するソリューションを叫び続けています。財政健全化しかり、規制緩和しかりです。ブラジルが実施した規制緩和は、同国がモノ不足の状況にあったからこそ、有効だったわけで、現在の日本では事態を悪化させる「毒」でしかありません。
先日の麻生元総理のように、正しいソリューションを語る政治家もいらっしゃいますが、まだまだ「情報の歪み」が大きく、多数派にはなり得ていない状況です。
何度も書きましたが、正しい問題把握なしで、正しいソリューションを構築することはできません。そして、正しい問題認識をするためには、個人の絶対的価値観を捨てて「相対化」する必要があるのです。
【主要国の長期金利の推移(単位:%)】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_31.html#Kinri出典:外務省
【主要国のCPI上昇率の推移(単位:%)】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_31.html#CPI2
出典:外務省
「需要と供給」
「金利」
「物価上昇率」
の三つの調整こそが、国家の経済における役割ですが、無論、バランスというものが必要です。
国債発行を例にとれば、いくら対内債務とは言っても、政府がバランスを無視して国債を発行し、日銀の買い取りが続けば、物価上昇率の面で問題が出てきます。逆にいえば、物価上昇率がバランスの範囲内である限り、国債発行と需要創出に問題は発生しません。要するに、廣宮氏がおっしゃっているように「スピードの問題」というわけです。
上記ふたつのグラフを見る限り、日本の国債発行や需要創出の「スピードが遅い」ことは明らかです。
別に、
「国債発行と公共投資による需要創出だけが、日本に適したソリューションだ!」
などと極端な断定をする気は全くありませんが、せめて上記のようなデータに基づく議論が始まることを切に願います。
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