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 日本では尖閣ビデオで政権が危機に追い込まれる中、欧州の方も中々大変な状況になっています。本ブログで何度も取り上げた、「アイルランド危機」が、どうやら「織り込み」の段階に入ったようです。


欧州債:アイルランド債10日続落、財政赤字懸念-ギリシャ債は上昇
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aCb6bL7RzAM4
 11月8日(ブルームバーグ):アイルランド債は10営業日続落。対ドイツ国債の上乗せ利回りは過去最大に拡大した。アイルランドの財政赤字の削減が難航するとの懸念が背景。 』


 過去のアイルランド危機関連は、以下のエントリーをご参照ください。


◆続々々 アイルランド危機
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-10663997978.html
◆アメリカの沈滞と、続々アイルランド危機
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-10662132706.html
◆続 アイルランド危機
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-10661191294.html
◆アイルランド危機
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-10660321902.html


 アイルランドの危機は、「対外負債の返済不能」の可能性が取りざたされているという点はギリシャと同じですが、違うところもあります。それは、ギリシャが政府の放漫財政の挙句に破綻したのに対し、アイルランドはバブル崩壊が原因という点です


 現在のアイルランドで発生していることは、銀行の機能不全、不良債権の拡大、政府の資金注入巨額化、不動産プロジェクトの中止とゴーストタウン化などなど、90年代の日本が経験したことそのままです。とはいえ、日本の場合は国内の金余りがバブルに向かったのに対し、アイルランドは海外マネーがバブル醸成の主犯という部分が異なります。


 なぜ、この差が出るのかと言えば、単純に日本が延々と経常収支黒字を続けているのに対し、アイルランドのバブル期は経常収支赤字だったためです。経常収支赤字は、国内的な貯蓄不足、投資・消費過剰を意味します。


【アイルランドの経常収支対GDP比率の推移】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_31.html#Ireland


 かつて、アイルランドは輸出競争力が高い時期があり、「ケルトの虎」ともてはやされました。とはいえ、実はその状況は90年代で終わり、二十一世紀には経常収支の赤字が常態化するようになります。なぜでしょう。


 もちろん、わたくしはアイルランド経済の専門家ではありませんが、一つの理由は「ユーロ導入(1999年)」ではないかと睨んでいるわけです。
 ユーロ導入により、アイルランドは為替レートの変動リスクから開放されます。しかし、それは逆に為替レートが「スタビライザー(安定化装置)」として働かないことをも意味するわけです。


 ユーロ導入後は、アイルランドは特に経常収支の黒字を稼がなくても、延々と対外負債を積み上げられるようになります。この辺は、ギリシャと全く同じです。


 「ケルトの虎」とは、一応、90年代から07年までのアイルランドの高度成長を意味しています。しかし、その実体は前半(99年まで)とそれ以降では全く異なるわけです。前半が経常収支黒字、すなわち輸出競争力の高まりによる成長だったのに対し、後半は「海外マネーによる不動産バブル」なのです。

 
 不動産バブル崩壊を受け、現在、金融市場では「アイルランド回避」の動きが始まっています。
 アイルランド政府には、当面の資金繰りのための資金はあるのですが、来年の債券市場で国債の消化が難しくなると、年の中ごろには資金枯渇に陥る可能性があるのです。そうなると、ギリシャ同様に「デフォルト寸前」で破綻(=IMFに緊急融資を要請)することになるでしょう。


 ギリシャの破綻パターンを思い出して頂きたいのですが、デフォルトが現実的に近づくと、政府の要人が「問題ないよ」と沈静化に努めつつ、何となく危機が金融市場で織り込まれていきます。アイルランドは、既にその段階に至っているようです。


【特別寄稿】アイルランドは債務返済義務を果たす-ブルートン元首相
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aa4njggzYRM8


アイルランド財務相:欧州委のレーン委員と予算案について協議
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=ahwvjwkwZt.g


ユンケル議長:アイルランドは緊急支援回避へ財政目標の達成を
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aZqIIBd2W_DE


 ブルートン元首相の寄稿を読んで頂くと分かりますが、見事なまでに説得力がありません。「債務返済義務は果たす」といいつつ、「なぜ果たせるか」を全く説明していないのです。
 アイルランドがユーロ加盟国でなければ、
「輸出競争力の改善により、経常収支が黒字化する。結果、対外債務の返済負担は日に日に低まっていくだろう」
 とかいえるのでしょうけれども。


 ブルートン元首相によると、アイルランドの1人当たりの国民所得は、既に2000年段階にまで戻ってしまったそうです。すなわち、不動産バブルによる押し上げ分が綺麗に消え失せたわけです。


 またまた不動産バブルで成長するわけにはいきませんので、アイルランドは輸出競争力を高める方向に行かねばなりません。しかし、それには「ユーロ加盟」がボトルネックになってしまいます。何しろ、為替安ボーナスの恩恵を全く受けられませんので。


 アイルランドの事例を見ると、「ユーロ加盟」とは最終的には加盟国の繁栄に結びつくどころか、むしろ「呪縛」として働くように思えてならないわけです。


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