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 80年前にアメリカを中心とした世界で大いに議論された(ついでに90年代以降の日本で延々と続いている)、
バブル崩壊後のデフレ期は、財政出動を拡大すべきか。均衡財政が望ましいのか
 という問題が、いよいよ世界の運命を大きく揺るがそうとしています。


 何度も当ブログで取り上げましたが、バブル崩壊後に率先して緊縮財政路線を採用したアイルランドが、いよいよギブアップ寸前に至っています。


アイルランドに長期リセッションのリスク、財政赤字削減で-ESRI
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920008&sid=avVxdqNTFSUg
 アイルランド政府は財政赤字削減と借り入れコストの押し下げに努力しているが、国内経済を「長期のリセッション(景気後退)」に追い込む恐れがある。同国の経済社会研究所(ESRI)が指摘した。
 ESRIのエコノミスト、アイド・カーニーは20日の記者説明会で、アイルランドが欧州連合(EU)と合意した2014年の目標を達成するためには、既存のプログラムの倍に相当する150億ユーロ(約1兆7000億円)の倹約が必要だと分析。このような歳出削減によって、アイルランド経済は「転機」に追い込まれる恐れがあると警告した。 (中略)
 ESRIは、財政赤字削減計画を16年まで延長することが望ましいとしている。 』


 バブル崩壊後の民間需要萎縮時に、政府が財政赤字削減に走ると、国民経済が崩壊する。アイルランドはバランスシート不況の恐怖、1930年代のアメリカのようなGDP崩壊の恐怖を、身をもって示そうとしています。
 記事中のESRIのコメントを読むと、アイルランドが内心で上げている悲鳴が聞こえてきます。「アイルランド経済は「転機」に追い込まれる」「財政赤字削減計画を16年まで延長することが望ましい」など、表現にギブアップしたくてもできないアイルランド政府の苦痛が感じ取れる気がするわけです。


 ESRIの警告どおり、アイルランドは早めに財政赤字削減計画をリニューアルするべきでしょう。さもなければ、冗談抜きに1930年代のアメリカのようにGDP四割減といったカタストロフィになりかねません。


 ところが、欧州委員会やドイツはこんな感じです。


欧州委、アイルランドの財政赤字削減で期限延長認めず-IT紙
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920008&sid=aOJGRrb4WV6M
 欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会は、アイルランド政府が財政赤字の対国内総生産(GDP)比率を3%に削減する目標達成期限を、2014年を越えて延長することはできないとの見解を示した。』


メルケル独首相:出口戦略、今から本格的な取り組みを
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=a5hlTVyzorFc
 ドイツのメルケル首相は世界的な金融危機は終息に向かいつつあるなか、各国政府は景気刺激からの「出口戦略」を見出す必要があると述べた。 』


 すなわち、アイルランドがユーロに加盟している限り、財政赤字削減の手を抜くことは許されないということになります。結果、大きく二つの意味でアイルランドはユーロに加盟している意味がないのということになります。


 一つ目は、もちろんユーロに加盟している限り、常に財政赤字削減のプレッシャーにさらされることです。現在のアイルランドは、粛々と緊縮財政路線を採った結果、「ええっ!こんな凄まじい事態になるのっ!」と政府が気がついた段階といえます。
 二つ目は、ユーロに加盟している限り、破綻後の韓国などが享受した「為替安ボーナス」を受けることができないという問題です。何しろ、現在のユーロは、アメリカの更なる金融緩和の織り込みが始まり、日本円以上に対ドルで高騰しています。


【米ドルの対日本円、ユーロ、英国ポンド、人民元、韓国ウォン推移(一ヶ月間)】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_31.html#USD


 ユーロ高により対アメリカの輸出競争力は下がり、ユーロ圏内ではもちろん為替レートの変動はありません。ユーロに加盟している限り、アイルランドが輸出競争力を回復することには大変な努力が必要になります。


 現在のアイルランドの前には、
「ユーロに加盟したまま緊縮財政を実施し、GDPを激減させる」
 か、
「ユーロを離脱し、政府がデフォルト。IMF管理下で為替安ボーナスにより経常収支黒字路線に復帰し、国家を建て直す」
 のいずれかの道しか残されていないも同然です。


 ちなみに、いわゆるPIGS諸国の中では、アイルランドが最も輸出産業が盛んで、かつ経常収支の赤字も少ないです(ぎりぎり赤字、という感じです)。というわけで、個人的にはギリシャよりもむしろアイルランドの方が、ユーロを離脱することにより国民が享受するベネフィットが大きいと考えます。

 通貨が暴落すれば、04年頃までの韓国のように、外需主導で立ち直れるかもしれません。とはいえ、世界的に需要が伸びていない現在と、サブプライムバブルが拡大していた04年までを同一視するのも、また危険なのかも知れませんが。


ユーロの勢い失速の公算、域内対立の恐れで-JPモルガン・アセット
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aoVO7lFvY5Xw
 ユーロがさらに大きく上昇する公算は小さいと、JPモルガン・アセット・マネジメントはみている。通貨上昇でユーロ圏諸国の対立が再燃し、欧州中央銀行(ECB)への政治的圧力が生じるためだという。
 JPモルガンの「ユーロ・マネージド・カレンシー・プラス・ファンド」のロンドン在勤マネジャー、ナイジェル・ジェームズ・レイメント氏は、ユーロ高でドイツとポルトガルといった国家間の競争力の格差が露呈し、ユーロ圏経済は苦境に陥るだろうと予想した。(後略)』


 現在のユーロ高が「ドル安」による過大評価であることは、別にアナリストでなくても分かるでしょう。何しろ、ユーロ圏ほど同一通貨圏内に爆弾を複数抱えている国は、世界に他に存在しませんので。 

 とはいえ、アイルランドが不幸なのは、たとえユーロ安になったとしても、緊縮財政路線を続ける限り、自国を経済成長路線に戻す青写真が全く描けないということなのです。

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