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 昨日、時局心話会主催の政民合同會議http://www.jikyokushinwakai.jp/kouenkai.html )で講演させて頂く機会を頂戴したのですが、永田町の議員会館が全部新しくなってました。わずか数ヶ月前までは、ものすごく使いずらそうな不便で古いビルだったので、その落差に吃驚しました。
 
 さあて、IMFが金融安定報告書を公表しました。


日本の赤字 IMFが警鐘
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20101006-OYT8T00374.htm
 国際通貨基金(IMF)は5日、世界の金融システムに対する現状分析と提言をまとめた世界金融安定報告書を公表した。
 報告書は、日本の巨額の財政赤字について、「ユーロ圏の(財政問題による)混乱が起きて以降、国内も海外の投資家も、より疑いの目で日本の財政状況を再審査している」として警鐘を鳴らした。国際的な金融システムについては、「改善傾向はみられるが、いまだに著しく不確実な状況にあり、金融部門が景気回復のアキレスけんとなっている」と強調した。
 日本国債の状況については、安定的な国内貯蓄や経常収支の黒字により、海外から資金を集める必要性が少ないとして、「近い将来に国債市場の崩壊は起こりそうにない」との見方を示した。ただ、国内の金融機関が大量に買っている点や、日本政府は比較的短期の国債で、大規模な資金調達を繰り返しているなどの問題点を指摘した。』


 IMFの金融安定報告書日本語版から引用。


短期的に見て、日本の国債市場に問題がおきる可能性は考えにくい。安定的な国内貯蓄と大幅な対外経常収支の黒字のおかげで、国債消化のために国外資金はこれまで必要とされてこなかった。しかし、長期的に見れば、人口が老齢化し労働力人口が縮小するに従って、債券市場を支えてきた民間貯蓄の高さ、投資の国内バイアス、円資産に代わる代替資産の乏しさ、といった要素は弱まるであろう。』


 まずは読売の記事に突っ込む前に、IMFの引用から。


◆短期的に日本の国際市場に問題が起きる可能性は低い
 ⇒理由:安定的な国内貯蓄大幅な経常収支黒字
◆長期的には心配になるかも
 ⇒民間貯蓄(注:家計の貯蓄ではないことに注目)や機関投資家の国内好き、円資産以外の資産が乏しい、などの要素が弱まるかもしれないので


 はい、

ギリシャは破綻した。日本の状況はギリシャより悪い! だから日本も破綻する!
 系の話を繰り返していた、

 内閣総理大臣はじめ、数多の政治家、評論家の皆様

 IMFに梯子外されました~っ!!!!


 ちなみに、昨日の講演でわたくしが使用した、日本とギリシャの比較図は、こちら。  

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 上の三つの項目「経常収支」「対外資産・負債」「国内の貯蓄」は、実は全て同じことを言っていたりします。日本は「長年経常収支黒字だから、対外純資産国で、国内が貯蓄過剰」あるいは、ギリシャは「長年経常収支赤字だから、対外純負債国で、国内が貯蓄不足」というわけです。


 今回のIMFのレポートがまともだと思うのは、日本が「経常収支黒字で、国内に過剰貯蓄がある」「だから、短期的には問題ない」ときちんと筋道を明確して説明しているところです。覚えていらっしゃいますか? あの財務省様も、「外国格付け会社宛意見書要旨(
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/p140430.htm )」の中で、

◆日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。
◆マクロ的に見れば、日本は世界最大の貯蓄超過国
◆その結果、国債はほとんど国内で極めて低金利で安定的に消化されている
◆日本は世界最大の経常黒字国、債権国であり、外貨準備も世界最高(02年当時)


 と、極めてまともな論拠で「日本の国債の格付けの根拠示せ、こらぁっ!」と、外国の格付け機関に詰め寄っていらっしゃいましたが、今回のIMFも財務省の意見書と全く同じ「論拠に基づいて、「短期的には心配ないよ」と言っているわけです。
(注:なぜ、経常収支黒字国が貯蓄過剰になるのか分からない方は、「貯蓄-投資=経常収支」で検索するか、もしくは拙著「いつまでも経済が分からない日本人」をお読み頂くか、 廣宮氏のブログの過去ログをご覧下さい)


 さて、読売の記事。こちらは恐らく英語版のIMFの世界金融安定報告書をベースにしていると思いますが、とりあえず「日本政府の赤字」を「日本の赤字」とか書くのは止めて欲しいです。ミスリードする気が、満々に見えます。


 まあ、それでも「近い将来に国債市場の崩壊は起こりそうにない」という文言を入れたのは評価できますが、それにしても暗い・・・。短期的に問題ないならば長期的にも問題でないように、日本を健全なインフレを伴う成長路線に戻せば済む話です。日本の名目GDPが健全な成長率を取り戻せば、イギリスのように何十年もかけて政府の負債対GDP比率を改善していけばいいわけです。


 それにしても、「明日にでも(あるいは201X年にも)日本国債は『でふぉると』する~っ!!!!とか、無知蒙昧なことを叫んでいた人たち、IMFなどの「権威」が大好きで、自らデータを確認する術を知らない人たちは、今後一体どうするつもりなのでしょうか。

 ここはぜひとも、
「IMFも日本は短期的に国債の問題は起きないと言っているが、
それでもオオカミは来るったら、来るの~っ!!!
 系の記事を新聞に寄稿し、わたくしを笑わせて欲しいと思います。


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