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 来週の火曜日、10月5日 20:55から、J-WaveのJAM THE WORLDhttp://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/ )に出演します。当ブログ初期からのユーザーさまはご存知でしょうが、わたくしは以前、08年のウォン暴落時に韓国経済をテーマに本番組に出演したことがあります。今回は、予想はつくと思いますが、中国問題です。
 要するに、先日のようなお話をするわけでございます。お楽しみに。
 


『不動産引締め策、再び強化へ、不動産税の試行など―中国
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=45777&type=2
 2010年9月29日、権威筋は、中国政府が不動産価格抑制に向けた追加策を導入するとの見通しを明らかにした。上海証券報が伝えた。
 同筋によると、2軒目・3軒目の住宅を購入する際の融資の一層の厳格化や、不動産税の試験的な導入などが含まれる。
 消息筋によると、北京・上海・広州などの商業銀行が、銀行監督管理委員会(銀監会)と住房和城郷建設部(住宅都市農村建設部)の検査に向け準備を始めた。
 国務院は今年4月、「新国十条」と呼ばれる不動産価格抑制策を発表し、北京・上海・深センなどの主要都市では不動産取引が減少したが、価格の下落は限定的だった。現在は動産販売の繁忙期を迎え、取引量が回復し始めた。』


房奴:高額の住宅ローンに喘ぐ人。中国不動産バブルにより住宅価格が高騰する中、辛うじて住宅ローンにより住宅を購入できたものの、その後、数十年間、世帯収入の三分の一から半分をローン返済に費やす人々。


外食も旅行も娯楽も極力控えて子供を産むこともできない。会社をクビにされたらどうなるか、給料が減らされたらどうなるかと心配しながら仕事に精を出し、病気になっても会社を休めない(「中国の専門家たちが語るほんとうに危ない!中国経済 」石平:著 海竜社 P197) 


 上記「中国の専門家たちが~」ですが、石平氏が中国国内の経済評論家たちの分析を元に、中国経済について書かれた著作です。読んでみて吃驚、中国の専門家たち、恐ろしくまともに自国経済について分析しています。「まとも」というのは、数値データに基づき鳥瞰的に分析しているという意味です。
 上海にビルがバンバン建っているの「だけ」を見て、
中国経済は、永遠に発展いたします。中国様~ m(_ _)m m(_ _)m m(_ _)m」
 なんてやっている、どこかの国の経済評論家(自称)たちとは、偉い違いです。


 さて、中国の専門家たちは、ざっと以下のような分析をしています。


「元々、中国の経済は国内投資と輸出の二つのエンジンを持っていた。ところが、現在の世界的な経済危機で、中国の輸出は激減した(09年の純輸出は、対前年比でマイナス46%)。この危機を受け、中国共産党は公共投資と銀行の新規融資拡大でしのいだ。結果、中国経済はますます投資依存(09年の総固定資本形成は、対前年比プラス21%)を深めてしまった。特に、他分野へ波及効果が強い不動産投資に傾注してしまった結果09年だけで北京、上海など六大都市の不動産価格上昇率が60%に達する事態になった。これほどの不動産バブルは、日本もアメリカも世界中のどの国も、かつて経験したことがない水準だ」


 面白いことに、↑ここまでは楽観派も悲観派も、共に全く同じ分析になっているのです。(データを基に分析すれば、問題把握が同一になって当たり前ですが)


 とはいえ、ここから導き出す解決策(ソリューション)は、楽観派と悲観派で真逆になっています。


悲観派「不動産バブルは、人民の可処分所得を圧縮し(参考:房奴)、個人消費縮小の一因にもなっている。中国経済が不動産投資に依存すればするほど、その分だけ個人消費が伸びない。これでは、まともな内需拡大など不可能だ。不動産バブルこそが、諸悪の根源だ


楽観派「米国の金融危機で輸出がだめになった以上、経済成長の手段は一つしかない。すなわち、不動産業の更なる発展だ。不動産業をさらに発展させる以外に、中国経済に成長の道はない


「今の中国では、国民全員の貯金額は21兆元であるが、一人当たりの平均額にすればわずか1.57万元(約20万円)である。1.57万元のお金で、この中国で何ができるのか。病気を診察してもらうだけで数万元が吹き飛んでしまうではないか。子供が大学へ行くだけで、6、7万元かかるではないか。このようなご時世に、庶民たちのわずかな貯金を狙ってもしようがないではないか。内需拡大など所詮無理な話である。
 それならばどうすればいいのか。やり方は簡単だ。不動産業をもう一度振興させ繁栄させればよい。不動産業が繁栄すれば、鉄鋼・セメント・運送・家具・内装などの42の産業が一斉に繁栄するし、成長率も自ずと上がってくる。不動産業が興れば中国経済が興り、不動産業が衰退すれば中国経済も終わりなのである。(同P178)」
 
 本当に興味深いのですが、現在の中国の専門家たちは、
「不動産こそ諸悪の根源(個人消費が増えない元凶)だ。これを何とかしないことには、もたない」
 派と、
「不動産こそが繁栄の源だ。『不動産こそ、われらが全てだ』」
 派に、きれいに分かれてしまっているわけです。


 不動産ローンの返済とは、単にバランスシートから銀行の資産と家計の負債が消えるだけで、フロー(GDP)的には何の効果もありません。と言うよりも、不動産ローン返済で貯蓄率が上がると(注:借金返済も貯蓄)、フローの個人消費は頭を押さえつけられたも同然なわけです。


 中国共産党は個人消費拡大を夢見ているようですが、果たしてどうするのでしょう。冒頭の記事を読むと、「不動産こそ元凶」派の方に組したようにも見えますが、果てして?


 

「房奴たちの黄昏」というタイトルに、一瞬、戸惑った方は、

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