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【日経BO連載最新版】
第五回【30年前より少ない日本の公共投資 「荒廃する日本」にしていいのか。未来への投資、始めるのは今】
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20100827/216005/?top


 何か、エントリーのタイトルがやたら大きな概念になっていますが、増田悦佐氏の新刊「クルマ社会・7つの大罪 アメリカ文明衰退の真相」(http://www.amazon.co.jp/dp/4569790208/ )を読んだり、別のお仕事で増田氏と対談したりして色々と考えたりしたことを。


 例えば、日本のマスコミは韓国のサムスンやフィンランドのノキアの利益率や利益額を無条件で讃え、日本企業を貶めるのが大好きですが、
「企業が利益を出している」
 ことを、その企業に勤めている人はともかく、全然無関係な、特に企業が販売している消費財の顧客である我々が褒め称えるのは、考えてみたら変な話です。分かりにくいと思いますので、逆の方向から考えてみましょう。


 日本の家電業界は、今も昔も群雄割拠です(家電だけじゃないけど)。しかも、日本がデフレということもあって、各メーカはなかなか利益が伸びずに、苦しんでいます。過当競争の上に、デフレなのですから、それは厳しいでしょう。


 ところが、企業が死に物狂いの競争を国内で繰り広げ、価格を下げ、品質を向上させ、結果的に利益が伸び悩んだ場合に、誰が最も恩恵を受けるかというと、これは間違いなく消費者なのです。消費者は、過当競争&デフレのおかげで(失業していなければ)、より素晴らしい製品やサービスを安価に購入することができたということになります。


 お分かりでしょうが、わたくしはいつものように、「企業は利益が上がらない方が良い!」とか「デフレ万歳!」とか、そういう単純論を言っているわけではありません。単に、過当競争とデフレで得をするのは、消費者であるという「事実」を書いているだけです。


 逆に言えば、日本の経済評論家さんが大好きな「企業の合従連衡」が進展し、日本に家電メーカーが一社(もしくは二社)しか残らなかった場合は、どうなるでしょうか。確実に企業の利益は増えることになりますが、そのときは反対側で「誰か」が必ず損をしているわけです。すなわち、消費者です。


 日本というのは、本当に不思議な市場で、なかなかドミネーター的な大企業が育ちません。例えば、トヨタ、セブンイレブン、ヤマト運輸などは、それぞれ自動車産業、コンビニ、宅急便のマーケットリーダーですが、別に各企業が「市場を支配している」という状況ではありません。


 ある産業分野で一つの企業が革新的な製品やサービスで伸びていき、市場の過半のシェアを占めそうになると、「何となく」消費者が「いやだなあ~」と感じて、競合企業を応援する。結果、国内市場の過当競争が保たれ、消費者は「良い製品・サービスを、安く買う」という果実を得る。そんなバランス感覚が「国」あるいは「市場」全体として働いているのかも知れません。


 個人的な体験で恐縮ですが、わたくしは数年前、携帯電話サービスの市場について、ある企業がドミネーターになると思っていました(そのくらい、国内シェアが急速に伸びていた)。ところが、あっという間に他の競合の伸びが急伸するようになり、わたくしがドミネーターになると信じていた企業は純増数が最下位になってしまい、唖然としたことがあります。


国内の過当競争を生き延びた日本企業が、厳しい市場で培った素晴らしい製品、サービスを海外に売っていく。これが日本経済の基本でしょう」
 と、昨年、ある国会議員の方がわたくしに仰いました。


 まさしくその通りで、日本の各企業が過当競争とデフレで利益が伸び悩んでいるのを見ると、逆にこの「日本経済の基本」は未だに失われていないんだなあ、と、変な感心の仕方をしてしまいました。
 とはいえ、この「日本経済の基本」に壁として立ち塞がっているものが二つあり、それを巧く壊すなり回避するなりしなければ、今後の日本企業は益々厳しい状況に追い込まれてしまうと思うわけです。


 立ち塞がっている壁は、二つ。すなわち「グローバルスタンダード」と「モジュール化」です。


 この「二つの壁」を回避できるように、デフレ脱却の手を打つ。企業にせよ国家にせよ、○○をするとは、要するに投資をすることです。
現在のボトルネック(制約)を回避するために、投資をすることで、より大きな現在の問題であるデフレを脱却する
 別に↑このままでなくても構いませんが、今後の日本はこの種のロジックによる考え方が必要になると思うわけです。


続きます



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