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【日経BO連載最新版】
第五回【30年前より少ない日本の公共投資 「荒廃する日本」にしていいのか。未来への投資、始めるのは今】
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20100827/216005/?top


 今週発売された週刊ポスト9月10日号にのP44に、三橋がコメントを寄せています。例により、数値データばりばりに使っているのですが、これはわたくしが提供したものではありません。週刊ポスト側に、
「ここ(URL)に、こういうデータがありますよ」
 と、教えて差し上げたら、先方がご自身で調べ、数値データを掲載したり、様々な分析結果を計算されたりしたものです。偉い!週刊ポスト編集部!


 ・・・・でも、よくよく考えてみたら、これって当たり前のことですよね・・・・。


 三橋は扶桑社の単行本の仕事を追え(多少、加筆修正が必要なのですが)、次は9月末締切のTAC社の「経済ニュースの裏を読め! 国際版(仮)」の執筆に掛かっています。

 例えば、ギリシャはなぜ破綻したとか、「国の借金(真物の国の借金)」を増やすにはどうしたら良いとか、外国人が日本の国債を買ったら、統計数値がどのように変化するのかとか、分かっていそうで意外にみんな分かっていない話を、「教科書的」に書いていこうと思っています。


 この「教科書的」な本は、確かに物凄く売れるのですが(09年のトップ売り上げは、文句なしで「経済ニュースの裏を読め」でした)、書く方は無茶苦茶大変です。何しろ、各テーマごとに文字数の制限が出てしまうわけです。これが結構苦手なのです。


 というわけで、今月は月末に地獄を見ないように、早めに書き始めようと思います。


 本日のテーマはアイルランド。


アイルランドの国債と銀行債、保証コストが上昇-CDS取引
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aOZeiniSvcPo
 31日のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場では、アイルランドの国債と銀行債の保証コストが上昇した。
 CMAのデータによると、アイルランド国債のCDSスプレッドは10.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し352bpと、2009年3月以降で最大に達した。
 アライド・アイリッシュ銀行のCDSスプレッドも22.5bp上昇の523.5bpと、09年4月以来の高水準となったほか、アングロ・アイリッシュ銀行は15bp上げ614bpと1年1カ月余りで最高。アイリッシュ・ライフ・アンド・パーマネント・グループ・ホールディングスについては14.5bp上げ396bp、アイルランド銀行は15bp上昇の393.5bpと、いずれも7月以来の高水準を付けた。 』


 さて、アイルランドという国は、覚えていらっしゃる方も多いかもしれませんが、09年の財政赤字(収支)対GDP比率が、14.1%とう最悪の水準に落ち込んだ国です。この値は、何とギリシャすら上回っているのでございます。


【欧州諸国の財政収支対GDP比率(%) 2000年-2009年 】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_28.html#EUAkaji


 さて、ここで「財政収支対GDP比率」について考えてみましょう。考えてみましょうというほど、大げさな話ではないのですが、財政収支対GDP比率は以下の式になります。


◆ 財政収支対GDP比率= 財政収支 ÷ GDP x 100%


 というわけで、財政赤字が極端に増えなくても、「GDPが低下すれば」財政収支対GDP比率は悪化するわけです。100のGDPに対して財政赤字が10だった場合、財政収支対GDP比率は▼10%。50のGDPに対して財政赤字が同じく10だった場合、財政収支対GDP比率は▼20%というわけです。


 さて、ここで質問です。2009年のアイルランド及びギリシャの経済成長率は、それぞれ何パーセントだったでしょうか。
 答えは、アイルランドがマイナス7.1%ギリシャがマイナス1.96%でした。


「実は、アイルランドの財政収支対GDP比率がギリシャを上回っるほど悪化したのは、財政赤字云々じゃなくて『GDP激減』のためなんだよ!
「な、なんだって~っ!!!」


 MMRネタを持ち出すほど変な話ではないのですが、まあ、そういうことです。


 より重要なのは、「なぜ、アイルランドの09年のGDPが、ここまで下がったのか?」になります。


【欧州諸国の住宅価格上昇率と緩和的な金融環境99年-08年 】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_30.html#EUJutaku


 まあ、簡単に書くと、アイルランドは欧州で最も早く不動産バブル崩壊が始まり(=住宅価格上昇率が前年同期比でマイナスになる)、財政収支が悪化した結果、投資家から「財政健全化路線を採れ!」と圧力をかけられたアイルランド政府が、言われたままに緊縮財政を強行したためなのでございます。


 しかし、バブル崩壊時(=民間の負債が減少するとき)に政府までもが緊縮財政を採ったら、そりゃあ「経済成長率マイナス7.1%」くらいにはなるでしょう。


 挙句の果てに、アイルランドは先日、S&Pにソブリン債を格下げされてしまいました。その理由の一つには、もちろん「財政赤字対GDP比率が悪化している」があったわけですから、アイルランド政府としては「ふざけんな!」という気分なのではないかと思います。


 ちなみに、このアイルランド、住宅バブルが絶頂時の04年から06年にかけて、政府が財政黒字になっていました。(上記「欧州諸国の財政収支対GDP比率(%) 2000年-2009年 」参照)
 同時期に財政黒字になっていた欧州の国は、スペイン(現在失業率20%)、ルクセンブルク(対外負債がGDPの30倍以上)、そしてアイスランドでございます。


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