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日経BO連載最新版

第四回【デフレ環境下でインフレ対策を叫ぶ 「規制緩和しろ! 生産性を向上しろ! ムダを削れ!」すべて誤り】
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20100820/215898/


 ごめんなさい。中国は明日です。


 無策の上に、ハイポリティクスを全く理解していない人たちが政権の座についているため、為替や株が大変なことになっていますが、まあ、この辺の話は戸締役様のブログにお任せすると致します。(http://blogs.yahoo.co.jp/daitojimari


 日本の財政やデフレの話が続いていましたが、その間にアメリカもヨーロッパもなかなか凄まじい状況になりつつあります。アメリカは明後日に回すとして、本日はヨーロッパの某島国。


アイルランドの長期信用格付けを「AA-」に引き下げ-S&P
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aTDKOicvnODo
 米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、アイルランドの長期ソブリン信用格付けを「AA」から「AA-」に1段階引き下げた。同国の金融セクター支援で見込まれるコストを格下げの理由に挙げた。
 S&Pは発表文で、「ネガティブ(弱含み)の見通しは、銀行セクター支援のための財政コストがさらに増加したり、他の経済状況の悪化で中期的な財政目標を達成する政府の能力が低下した場合に、一段の格下げの可能性があるとのわれわれの見方を反映している」と説明した。
 S&Pは、新たな見通しではアイルランドの2012年の一般政府債務はネットベースで国内総生産(GDP)比113%へと上昇すると指摘。これは、ベルギー(98%)やスペイン(65%)など格付けが同様の国の債務負担を「大幅に上回る」水準だとしている。』

(三橋:ネットベースの国内総生産比 一般政府債務ってな~んだ?)


 え~、かつて、小泉政権初期、財政赤字を問題視され、欧米格付け機関に「このままだと格下げだぞ」と言われ、緊縮財政を強行したところ、マイナス成長に突っ込み(2002年)、景気悪化を理由にムーディーズに格下げされるというバカバカしい目に会ったことがありました。
 ちなみに、その少し前、格下げを予告された際に、怒り狂った「財務省」が、各格付け機関に送った意見書の要旨は以下。

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外国格付け会社宛意見書要旨 
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/p140430.htm
1.貴社による日本国債の格付けについては、当方としては日本経済の強固なファンダメンタルズを考えると既に低過ぎ、更なる格下げは根拠を欠くと考えている。貴社の格付け判定は、従来より定性的な説明が大宗である一方、客観的な基準を欠き、これは、格付けの信頼性にも関わる大きな問題と考えている。
 従って、以下の諸点に関し、貴社の考え方を具体的・定量的に明らかにされたい。
 (1) 日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか。
 (2) 格付けは財政状態のみならず、広い経済全体の文脈、特に経済のファンダメンタルズを考慮し、総合的に判断されるべきである。
 例えば、以下の要素をどのように評価しているのか。
 ・ マクロ的に見れば、日本は世界最大の貯蓄超過国
  ・ その結果、国債はほとんど国内で極めて低金利で安定的に消化されている
  ・ 日本は世界最大の経常黒字国、債権国であり、外貨準備も世界最高
 (3) 各国間の格付けの整合性に疑問。次のような例はどのように説明されるのか。
  ・ 一人当たりのGDPが日本の1/3でかつ大きな経常赤字国でも、日本より格付けが高い国がある。
  ・ 1976年のポンド危機とIMF借入れの僅か2年後(1978年)に発行された英国の外債や双子の赤字の持続性が疑問視された1980年代半ばの米国債はAAA格を維持した。
  ・ 日本国債がシングルAに格下げされれば、日本より経済のファンダメンタルズではるかに格差のある新興市場国と同格付けとなる。
2.  以上の疑問の提示は、日本政府が改革について真剣ではないということでは全くない。政府は実際、財政構造改革をはじめとする各般の構造改革を真摯に遂行している。同時に、格付けについて、市場はより客観性・透明性の高い方法論や基準を必要としている。
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 財務省、格好良い! 国内で二枚舌さえ使っていなければ、惚れちゃいそうです。


 まあ、それはともかく、今回の欧州財政危機が始まった際に、アイルランドは率先して緊縮財政路線に転じました。とはいえ、当時のアイルランドは欧州最速の不動産バブル崩壊に直面しており、
「ああああ・・・、これはまずいのでは・・・・・」
 と思っていたわけです。不動産バブル崩壊の最中に政府が緊縮財政に転じてしまうと、日本の不動産バブルよりも悲惨なカタストロフィになるのではないかと心配していました。

 予想通り、アイルランドはマイナス成長に突っ込み(2009年はマイナス7.1%)、政府負債対GDP比率が悪化して格下げされるという、悲惨な状況に至りました。別に書き加える必要があるとも思えませんが、現在のアイルランドは明日のギリシャ、スペイン、ポルトガルというわけです。


 現在、欧州は唯一、ドイツ経済のみがユーロ安を背景に好調を維持していますが、残りの国々はメタメタです。失業率も、唯一、ドイツのみが着実に下げている一方で、フランス、イタリアなどは上げ続けています。スペインに至っては、ついに20%を突破してしまいました。


 ここまで同一性を失ってしまった諸国が構成する「共通通貨ユーロ」。財政赤字に苦しんでいる南欧諸国(とアイルランド)は、「緊縮財政⇒財政悪化」の悪循環に突入しています。が、ユーロが足かせになり、経常収支黒字化への道筋は描けません。


 もはやユーロは、
「どこかの国が離脱するのではないだろうか?」
 ではなく、
「どこの国が最初に離脱するのだろうか?」

 を考える段階に至ったように思えます。


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