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 日経ビジネスオンラインで三橋貴明の連載コラムがスタート致しました。


【第一回「「財政再建」なんて自殺行為だ 何十兆円も償還されて困るのは“借金”漬けの銀行」】


 週一のペースで掲載されていきます。


 8月6日に、久しぶりにFXCMのWebセミナーに出演します。


【★緊急対談企画★】三橋貴明×村田雅志  7月の参議院選挙を振り返る ~ネット界の論客が語る国政選挙の実態とは~
https://www.fxcm.co.jp/seminar/view/242


 とある「中の方」から「毎日新聞に面白い(当ブログ的に面白い)記事が載っているよ」とのご連絡を受け、珍しく新聞を買ってみました。
 4面に「長期金利1%割れ 米デフレ懸念が拍車」というタイトルで、
『(前略)国債の主な買い手は、「カネ余り」に悩む国内の銀行勢。多くの企業が業績改善で手持ち資金を増やしたにもかかわらず、世界経済の先行き不透明感から設備投資などへの慎重姿勢を崩していない銀行には預金が積み上がり、「国債を好んで買っているわけではないが、他に運用先がない」(メガバンク幹部)状況だ。(後略)』
 という記事が載っており、
「んんん・・・? 凄くまとも・・・・」
 と思ったのですが、そっちではなく5面の社説「国債のバブルが心配だ 長期金利1%割れ」の方だったようです。


 昨日のコメント欄でも取り上げられていましたが、確かに「当ブログ的に」面白い記事です。


社説:長期金利1%割れ 国債のバブルが心配だ
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20100805k0000m070105000c.html
 日本の長期金利が約7年ぶりに1%を切った。長期金利とは10年物国債の利回りのことで、市場で国債買いが進むと債券価格が上昇し、利回りは下がる。1%割れは、国債の大量保有者である金融機関の間で、依然として国債の購入熱が高いことを示している。
 背景にあるのが、日銀の超緩和政策を受けた金余りだ。企業の借り入れ需要が弱いため、金融機関はタダ同然で調達した資金を「とりあえず安全そうだから」とこぞって国債に投じている。米欧の景気見通しが悪化し、世界的に国債買いが活発化したことも、購入に拍車をかけた。
 この現象を見る限り、「日本もギリシャのようになる」と財政悪化への危機感を唱えた菅直人首相の言葉はウソのように思えてくるだろう。先進国一の借金大国ながら、国債は暴落するどころか大人気じゃないか、と増税や歳出削減に反対する人たちは言いそうだ。
 しかし、「値下がりしそうにないから」と国債を買いまくる今のバブル現象はむしろ警戒すべきだろう。財政がこれほど悪化したにもかかわらず、金利上昇という市場の警報装置が作動しないのは、日本国債の95%もが国内で買われているという特殊事情と関係がある。リスクに敏感な投資家が日本国債を手放し資金を海外に引き揚げる、といった心配がないため、みんなで安心している。
 しかし、国内依存をいつまでも続けられるわけではない。人口の高齢化による貯蓄の取り崩しで、近い将来、海外の投資家にもっと買ってもらわなければならなくなる。その時、格付けが安定していれば問題ないかもしれないが、それは不確かだ。
 ギリシャのようになっていない理由の一つに、日本に残された増税余地がある。だが、「余地」はあっても、政治の決断がなければ何も変わらない。「金利が低いから」と財政再建を先送りすれば、格下げの引き金となりかねない。
 菅首相はこのところ追加経済対策に前向きな発言をしている。円高が再び進行しており、景気対策要求が高まる恐れもある。しかし、「財政再建については一歩たりとも引くつもりはない」と言う以上、首相は安易な財政出動に逃げてはならない。
 利回りが1%を切るほど国債価格が上昇したということは、それだけ下落のリスクが高まったと見るべきだ。国債を大量に買っている銀行や保険、年金の資金は元をたどれば私たち国民のお金なのである。
 この金利低下は決して安心の材料ではない。国債の利払いに年10兆円も費やしている国の指導者なら、常に金利が上昇に転じたときのことを頭に置いておくべきだ。』


 何となく久々の「マスコミのダブルスタンダード「日本はおしまいです」シリーズ!」。


国債金利上昇(=国債価格下落):ほら見ろ!国債価格暴落だ!国債デフォルトへの第一歩。日本はおしまいです。
国債金利下落(=国債価格上昇):単なるバブル。さらに、国債価格が上昇は下落リスクの高まりでもある。日本はおしまいです。


 あれですね。どうして「銀行などの機関投資家が、国債を買うしかない」が、素直に「国内の民間に資金需要がない」という日本経済の「真の問題」に結びつかないのでしょうか? いや、結びついてはいるようですが、「それが問題」としてはとらえられていないようです。


 恐らく、背景に「日本は経済成長しない。しないったら、しない」という間違った前提があるためだと思いますが。あるいは「財政出動、絶対悪なり!」なる、奇妙なレトリックを信じ込んでいるのでしょうか。
 この種の間違った前提がなければ、普通に「財政出動で国内に投資先を作り出し、民間の資金需要を醸成する」という真っ当な政策に辿りつけると思うのですが。


 この社説、内容は例によりダブスタでグダグダで、「とにかく、国債発行も財政出動も、ダメったらダメ!」というバカバカしい結論になっていますが、見るべきポイントも複数あります。


◆「誰」が国債を買っているか。「なぜ」国債を買っているかを正しく説明している。
◆日本国債の95%が国内で消化されているという「現実」を、きちんと認めている。
◆日本国債を買っているお金が、もともと「私たち国民のお金」であるという現実を、きちんと認めている。(さ~て、これで果たして「国の借金!」「国民一人当たり●●●万円の借金!」というフレーズが使えるでしょうか。まあ、使うんでしょうけど)


 以前は、上記のポイントすら、日本のマスコミは全く認めなかった(というか、知らなかった?)わけですから、随分と進歩したものだと思います。


 あとは、
「とりあえず、経常収支黒字国(=貯蓄過多国)と経常収支赤字国(=貯蓄不足国。ギリシャなど)を一緒にするな! ギリシャが日本のように過剰貯蓄問題を抱えているか?」
「財政再建は別に構わないが、なぜ『消費税』なんだ? ギリシャの消費税は21%だったが、それでも破綻した(国内が貯蓄不足にも関わらず、外国からの借入で手当ばらまいたから)」
「金利が上がれば、日銀が買いオペ増やすだけの話。なぜ、中央銀行の存在を無視する。ECBに金融政策を委譲し、金利上昇に手も足も出なかったギリシャと同一視するな!」

「高齢化で貯蓄が取り崩されたらってw その金は『この世』から消えるのかwwww


 などの突っ込みポイントが解消されれば、もしかしたら国内でまともな「国債発行」「財政出動」「財政再建」に関する議論が始まるかも知れません。なんて、ほのかな期待を抱かせてくれた、毎日新聞の社説でした。


 でもまあ、以前に比べれば、随分と進歩したんじゃない、毎日新聞。


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