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「アメリカ、中国、そして日本経済はこうなる(日下公人・三橋貴明)」ワック社 発売開始!


 いつの間にか、人気ブログランキング「政治部門」は、二強が毎日200,000ポイントを超える、凄まじい争いになっておりますなあ・・・。以前は、150,000ポイントを獲得すれば、首位が取れたのに、凄いですよねぇ。
 いや、他人事じゃないんですが、いずれにせよ「市場の競合」があることは素晴らしいことです。


 全然、タイトルと関係ないのですが、間違えてYahoo!版の「新世紀のビッグブラザーへ blog」を訪問したら、訪問者数が700名を越えていて吃驚しました。Yahoo!版は2月28日以降、全く更新していないのですが(「更新終了しました」というエントリーが最後)、なぜこれほどまでに訪問者がいるのでしょう。昔のコメント欄とかを読み返しているのでしょうか?


 昨日の報知新聞に加え、追加ソースを幾つか。


『三橋氏がコスプレ政治資金パーティー開催
http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp3-20100404-613998.html
『警戒態勢の中、三橋さんのコスプレパーティーは大盛況
http://news.livedoor.com/article/detail/4698825/
『とある政治家の仮装集会―非組織の一般市民は政治にどう関わるのか
http://www.pjnews.net/news/693/20100403_8


 何気にどの記事も、意外と好意的なんですね。まあ、厳密に言うと、
新しい政治的な試みが有効なのかどうか、見させてもらうよ
 という感じなのでしょうが。


 本題です。


 本来であれば、「続 グローバル・インバランス」は二回で終わる予定だったのですが、本ブログ情報提供者として有名(?)な某氏から、興味深い論文をご寄稿頂いたので、三回に延長されました。


 ちなみに、分かる人は(文章に特徴があるので)某氏が誰なのか分かっちゃうと思いますが、それをコメント欄に賢しげに書き込むのは「野暮」と呼ばれる行為になりますので、念のため。


----以下----

【タイトル:資源のない日本は、資源輸入のための外貨を獲得するため、貿易黒字が必要なのか?】


1.変動相場制と外貨


 固定相場制である場合は、経常収支黒字が続くと、政府は、為替相場を維持するために、民間企業が稼いだ外貨を自国通貨で買わなければならず、外貨準備高が増える。経常収支赤字が続くと、その逆になり、決済手段の外貨準備が減ってしまうので、不況にして輸入を減らすことで為替相場を維持しなければならない(いわゆる「国際収支の天井」)。


 しかし、変動相場制においては、「国際収支の天井」による制約はないため、経常収支赤字が続くと、為替の変動により、自国通貨は安くなり、輸出は増える。従って、資源小国の日本は、貿易黒字が続かないと、資源を買う外貨がなくなるというのは、変動相場制では、理論的には当てはまらない。仮に、為替が短期的には弾力的でなくても、円売・ドル買いの為替介入を行うことによって外貨準備高を増やすとともに、円安を誘導すれば、資源を輸入するための外貨は用意できる。


 加えて、外貨は貿易のみならず、所得収支(対外債権からの収入)によっても獲得できるが、日本は世界最大の対外債権国であり、所得収支が大きい(2008年は貿易収支が約4兆円に対し、所得収支は約16兆円)。その意味でも、資源を買う外貨を獲得する手段は、貿易黒字だけではない。


 ただし、現実の為替相場は経常収支のみで決定されるのではないので(例えば金利差等)、変動相場制においても、経常収支が為替によって均衡せず、経常収支赤字が持続することはあり得る。
 では、経常収支赤字は、持続可能なのであろうか?


2.経常収支赤字の持続可能性


 マクロ経済学のISバランス論※は、一国で経常収支赤字が持続することはあり得るし、それ自体は問題ではないという見解をとる。
※小宮隆太郎、須田美矢子等(須田1992)


 経常収支とは、マクロ経済の恒等式から、以下のように理解される。

○国内総生産=消費+投資+政府支出+経常収支(貿易・サービス・所得収支)
 すなわち
  貯蓄(国内総生産-消費)-投資-政府支出=経常収支
 
 このように、経常収支赤字は「貯蓄<投資」、経常収支黒字は「貯蓄>投資」を意味するに過ぎない。


 このISバランス論によれば、経常収支の黒字がよいことか否かは一概には言えない。マクロ経済の観点(経済成長、完全雇用、物価安定)からは、貯蓄や投資の適正水準というものはあるが、経常収支は、適正な貯蓄と適正な投資のバランスの結果に過ぎないので、経常収支に適正水準はない。
 そして、世界の資本移動が完全であれば、世界経済全体で投資と貯蓄がバランスするように実質金利が決まるので、一国レベルで経常収支赤字が持続することはあり得る。また、歴史上も、一国の経常収支赤字が持続した例はある。


 一国レベルでの経常収支赤字とは、過少貯蓄(貯蓄<投資)を意味するが、過少貯蓄は、海外から資本が流入することで補われる。このため、経常収支の赤字が続くと、資源等を輸入するための外貨が不足して困るということはない。


 以上、1.2.により、日本が資源小国だから、資源を輸入するための外貨を獲得するために、貿易黒字を維持しなければならないという論理は、成り立たない。



 ただし、外貨獲得論とは別に、経常収支の不均衡には、以下述べるようなISバランス論が見落とした問題がある。


3.対外債務の問題


 ISバランス論に立ったとしても、経常収支の大幅な赤字が続き、対外債務に対する返済可能性についての不安が醸成される場合には、市場メカニズムによる調整が働いたとしても、ドラスティックなコストを伴うので、返済可能性の不安を醸成しないように、政府が経常収支をバランスさせる必要がある。ただし、返済可能性については、国内投資の面において海外資金がどのように使われているかにも依存するので、経常収支の赤字幅だけが問題ではない(須田1992:288-9)。


 しかし、対外債務の返済可能性の意味は、当該債務が政府債務か民間債務かによって、以下のように意味が分かれる。


 (1)政府の対外債務


  一国の対外債務のうち、政府債務(外国債)の比率が高く、かつ国債のうち外国債(外国通貨建て)の比率が高い場合には、経常収支赤字は財政赤字に直結することになる。言い換えると、経常収支赤字国の政府の財政破綻とは、政府が海外の国債保有者に対して返済できなくなることを意味している。
  この点に関し、日本政府は外国債を殆ど発行しておらず、外国通貨建て国債に関してはゼロであるため、経常収支赤字の持続が、政府債務の返済可能性の不安を引き起こす可能性はほぼあり得ない。従って、経常収支赤字の持続による政府の財政破綻を懸念する必要はない。


 (2)民間の対外債務


 須田(1992)は、返済可能性については、国内投資の面において海外資金がどのように使われているかにも依存すると指摘するが、これは重大な問題をはらんでいるように思われる。
  なぜなら、経常収支赤字が持続しているのであれば、民間の対外債務の返済可能性は、その国の投資回収可能性の高さ(すなわち好況)にのみ依存することになる。逆に言うと、経常収支赤字国は不足する貯蓄を補うために、資本流入を必要とするが、資本流入を促すためには、返済可能性(将来の成長可能性)に対する高い期待がなければならない。このため、経常収支赤字国=対外債務国では、バブルが起きやすい環境が醸成される。


 しかし、(民間)対外債務国は、いったん不況になる、あるいは景気の先行きに対する不安が高まれば、海外から流入していた資本は一斉に流出し、須田(1992)の指摘するドラスティックな調整コストを発生させる(リワインド)。1997-8年のアジア通貨危機や2008年のリーマン・ショックは、このドラスティックな調整コストの実例と考えられる。これが、グローバル・インバランスの問題である。


 要するに、アジア通貨危機やリーマン・ショックの背景にあるグローバル・インバランス問題は、「世界のISバランスは均衡するのであり、一国の経常収支赤字が持続しても問題はない」とするISバランス論が見落としていた、ないしは過小評価していた問題であると言える。


 なお、日本の場合は、現在は貯蓄超過=経常収支黒字であるが、少子高齢化による家計貯蓄率の低下により、貯蓄が減少しており、経常収支黒字は続かないという見解がある。この点に関し、2001年から2007年にかけてみると、確かに家計の貯蓄率は急激に減少しているが、これは少子高齢化よりはむしろ、超低金利の影響により説明できる。また、家計の貯蓄は減少し、政府の貯蓄も減少しているが、デフレのため、法人部門の貯蓄(内部留保)はむしろ増加しており、結果、経常収支黒字は拡大しており、投資不足となっている。いずれにせよ、経常収支は、政府部門と法人部門の貯蓄と投資(さらには所得収支)も考慮しなければならず、少子高齢化による家計部門の貯蓄減少を強調することは不適切である。


4.まとめと日本経済のあるべき方向性


 ISバランス論を基本とし、グローバル・インバランス問題を勘案するならば、日本経済が進むべき方向は、以下のように要約される。

 まず、日本は、変動相場制の下にある世界最大の対外債権国であるため、資源輸入に必要な外貨獲得のために貿易黒字を維持し続けなければならないという論理は成り立たない
 経常収支赤字の持続が問題であるのは、対外債務の返済可能性に対する不安が醸成されると、その調整コストがシビアなものになるからである。アジア通貨危機やリーマン・ショックがそのシビアさの例である。


 次に、世界経済を安定化・正常化するため、グローバル・インバランス問題を解消するためには、経常収支赤字国(特にアメリカ)は、経常収支を改善しなければならず、その裏面として、経常収支黒字国は黒字を減らさなければならない。要するに、各国とも、中長期的に経常収支を均衡するように、マクロ経済を運営すべきであって、いずれの国も、自国のGDPの成長を目的に経常収支黒字を拡大したり、海外資本の流入を促進したりすべきではない。


 経常収支黒字国の日本はどうすべきか。ISバランス論によれば、経常収支は、マクロ経済的な貯蓄と投資の関係によって決まる結果である。従って、経常収支の黒字を減少するためには、国内における投資(政府and/or民間)や消費(政府and/or民間)を拡大しなければならない。特に、現在の日本は、デフレ下で明らかに投資不足であるため、マクロ経済的な観点からも、国内の投資を拡大する必要がある。


 言い換えれば、日本は、国内における投資を拡大することによって、経済成長を犠牲にすることなく、経常収支黒字を減らし、グローバル・インバランス問題の是正に貢献することができる
 ただし、民間投資の拡大が必要であるとはいえ、持続的な経常収支赤字国になるほど拡大すべきではないのは、言うまでもない。


 また、法人部門の貯蓄が超過しているため、経常収支が赤字にならない限り、海外からの資金の流入を促進することは、マクロ経済的には、殆ど意味がない。


【参考】
須田美矢子編『対外不均衡の経済学』1992年 日本経済新聞社

------以上--------


「為替によって均衡せず、経常収支赤字が持続することはあり得る。」


・・・・・・・・・・・・ギリシャ(他PIIGS)ことか~っ!!!!


「過少貯蓄は、海外から資本が流入することで補われる」


・・・・・・・・・・・・アメリカのことか~っ!!!


「少子高齢化による家計部門の貯蓄減少を強調することは不適切」


・・・・・・・・・・・(昔の)狼が来るぞ~っ!の(ちょっと違うかな?


自国のGDPの成長を目的に経常収支黒字を拡大したり、海外資本の流入を促進したり」


・・・・・・・・・・・(文句なしで)中国のことか~っ!!!


「要するに、各国とも、中長期的に経常収支を均衡するように、マクロ経済を運営すべきであって、いずれの国も、自国のGDPの成長を目的に経常収支黒字を拡大したり、海外資本の流入を促進したりすべきではない」


 すなわち、「管理された保護主義(金融面・実需面)」あるいは「賢い保護主義」こそが、今の時点では最適解かも知れないということでしょうか。当然ながら、将来的には再び「ぐろ~ばりずむとかなんとか」が有効になるときが来るかも知れませんが、現時点ではわたくしも「賢い保護主義」ベスト・ソリューション説に賛同します。
 というか、アメリカは例によって勝手に「賢い保護主義」に邁進しようとしているようにしか見えないわけです。
 この辺を予備知識として頭に入れておくと、以下の番組もより楽しめるかも知れません。


 一昨日放送された、「経済討論第10弾 どうなる!?日本経済の行方 チャンネル桜 H22/4/3」
◇ニコニコ動画版
 ① http://www.nicovideo.jp/watch/sm10267702
 ② http://www.nicovideo.jp/watch/sm10267839
 ③ http://www.nicovideo.jp/watch/sm10268023
 ④ http://www.nicovideo.jp/watch/sm10268257
◇Youtube版
 ① http://www.youtube.com/watch?v=R3QmX-wyg5s
 ② http://www.youtube.com/watch?v=G8vuqD_kg64
 ③ http://www.youtube.com/watch?v=3fiiZkSfLpM
 ④ http://www.youtube.com/watch?v=E88lkZeY3so

 是非、ご視聴下さい!



それにしても、この種の議論を一般の人が共有できる日本って凄いな、と、改めて思った方は、

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