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 本日は、13:00~街頭演説(新宿スバルビル前) 、15:00~新宿ブックファーストにてトークショーさらばデフレ不況 トークディスカッション  という予定になっています。


 最近、ギリシャ問題も「グローバル・インバランス」問題、すなわち一部の対外資産国(=経常収支黒字国)と、一部の対外負債国(=経常収支赤字国)との間の乖離が一方的になり、維持不可能な水準にまで拡大してしまう問題に一因があるのではないかと考えています。 


 いつもなら、グラフで示すところですが、本日は時間があまりないので(携帯の人は、こちらの方がいいですかね?)数字でご紹介。


ギリシャの経常収支 2000年/2001年/・・・・・・/2009年 (単位:十億ドル)
 -9.942 /-9.48/-9.638/-12.738/-13.325/-18.367 /-29.719/-44.218/-52.352/-54.582


ドイツの経常収支 2000年/2001年/・・・・・・/2009年 (単位:十億ドル)
 -32.557/0.38/40.588/49.718/127.923/145.262/177.664/252.501/279.017/257.4
※以上、出典はIMF


 意外や、意外。ドイツは2000年時点では経常収支赤字国だったのですね。ちょうどITバブル崩壊の時期ですが、このドイツの苦境を助けるために、ECBが超低金利政策を採った結果、欧州でバブルが拡大してしまったわけです。
 それはともかく、その後の独ギ両国の
経常収支の状況は、まさにグローバル・インバランスの名の通り、インバランスが一方的に拡大していっています。この金額分、毎年、ギリシャの対外負債は増え続け、同時にドイツの対外資産も増え続けたわけです。

 さて、ここまで経常収支の状況が異なる(と言うか真逆)のドイツとギリシャが共通通貨を使っているわけですから、問題がおきないはずがありません。別に、ドイツとギリシャに限らず、ユーロ加盟国の国家モデルはバラバラなのです。その状況で中央銀行の機能のみ統合し、政府はそれぞれの国に残したわけですから、結局のところ、ユーロとは長期間維持できるシステムではなかったとしか思えないわけです。


 実際、ギリシャ救済に対する各国の姿勢は、まさに「バランバラン」になっています。


 例えば、オランダのバルケネンデ首相代行は、IMF(国際通貨基金)こそがギリシャ支援の主役となるべきだと主張しています。すなわち、ユーロ諸国による協調支援や、あるいは一部で囁かれているEMF(欧州版IMF)による支援に、明確に「NO!」を突きつけているわけです。


『オランダ首相代行:IMFによるギリシャ支援を支持-立場は「明確」
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=infoseek_jp&sid=ar_Zx7mkfHZ4


 それに対し、フランス及びECB(欧州中央銀行)は、EU(欧州連合)が主体となって救済するべきであると主張しているわけです。フランスのサルコジ大統領が、3月19日にIMFのギリシャ支援に「反対している」というニュースが、一部の報道機関から流されました。


『サルコジ仏大統領はギリシャ向けIMF融資に反対-仏政府当局者
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=infoseek_jp&sid=aNMjyaQ84ahA


 何しろ、IMFとは要するに「アメリカ」です。欧州の中心を自称するフランスや、欧州金融の中心たるECBが「アメリカの介入」を忌み嫌う気持ちは、分からないでもありません。と言うか、いかにもフランスっぽいですよね。
 
 さらに、現実的にギリシャを救済する力を持つ唯一の国であるドイツの場合、ドイツ国内でさえギリシャに対する姿勢が一貫していません。メルケル首相はIMF主導型のギリシャ救済の可能性を排除していないのに対し、ショイブレ財務相は慎重な姿勢を示しています。


『独政府:IMFによるギリシャ支援で意見割れる-財務相は慎重姿勢
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=infoseek_jp&sid=aKJq8..y7Rug


 何しろ、ショイブレ財務相は、先日もご紹介した「EMF(欧州版IMF)」派の中心的な人物になります。ユーロ各国が資金を融通しあい、EMFにプールしたお金でギリシャを救済するという考え方なわけです。
 このEMF構想の根底には、先日もご紹介したように、
「ユーロ全域が「ドイツ」になること」
 という、なかなか無謀な想定があるわけです。

 しかし、現実には誰もがドイツのような貿易黒字国(≒経常収支黒字国)、対外純資産国になれるわけではありません。
 また、そもそもユーロ圏最大の経済大国であるドイツが消費を拡大せず、これまでの貿易黒字路線に固執しては、他のユーロ加盟国の景気はいつまでたっても回復しない可能性が高くなります

 さらに言えば、どうやらEMF構想について、フランスは事前に相談を受けていたわけではないようなのです。フランスの財務相からは、EMFに対する戸惑いの声しか聞こえてきません。


 ユーロにせよ、EUにせよ、内部で何らかの大きな動きがある場合は、これまでは確実にドイツとフランスが事前に協議をしていました。現実問題として、独仏両国が合意に至らなければ、ユーロやEU内部で物事は順調に進まないのです。
 今回のギリシャ問題の場合、フランスとドイツの見解は真逆になっており、かつドイツ内部でも意見が分分かれています。


 というわけで、「グローバル・インバランス」の解消と「ユーロ・システム」の崩壊という、二つの難題を抱えたユーロ圏は、抜本的な構造の見直しと修正を行うか、あるいは縮小均衡に陥らない限り、この先も現体制を維持することはできないと考えているわけです。


 それでは一部の皆さんは、新宿でお会いいたしましょう!


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