個人事業主と会社員では、成果が求められるスピードが異なる。


もちろん取り扱う製品、サービスによって商談スパンが違うので一概には言えないが、このスピードが違うのだという意識をちゃんと持たないと、自分の動きが見えなくなってしまう。


現職では商談スパンが長い。

前のめりな検討だという引き合いがきても、受注まで3ヶ月はかかるし、納品までは半年程度要する。

通常だと一年~数年というのが一般的である。



前職は人材業界なので、これと比較するとずいぶんとスパンが短い。

完全新規でも、案件発掘に1W~1ヶ月で、サーチして紹介及び選考、決定まで+2月程度で入社まで+1ヶ月。

3~4ヶ月で成果を出すのが一般的だった。


逆にいうとその期間で成果を出さないと生活が苦しく、根本的にやり方が間違っていることになる。



この時間軸で現職で仕事をすると、とにかく焦るだけである。

焦って新規アプローチを続けて、短期的にクローズできる案件を見つけることに重きをおいてしまう。

中長期的な仕込みができなくなってしまうのである。


そうすると本末転倒で、半年後も一年後も同じ動きをしていることになってしまう。



例え売上がなくても固定給をもらっている背景には、時間の猶予があってある程度たった時にちゃんと何倍にもして回収してくれるからである。



焦る時こそ、しっかりと戦略を作って長期的な動きをすることが何よりも重要であると感じる。



個人事業主の場合、売上がないと収入がない。

さらに、経費によっては営業利益が減る。


経費がすべて自腹なので、アクションと結果が結びついていないと儲からないのである。


会社員になって、交通費や通信費などすべて会社が負担してくれるということは大変にありがたい。

さらに売上がなくても毎月収入があるということには、正直罪悪感すら感じる。


ここが大きな意識の違いの根本部分である。



要は、絶対に短期間で成果(利益)を出さないといけない意識と、今は成果が出せなくても長期的に結果を出せば良いという意識である。


今自分の置かれてる環境は後者である。

(もちろん短期で成果を出せば言うこと無しだが)

商談スパンも長く、新規を中心にやっているので誰も短期で成果が出ると思っていない。



ただ、個人事業主出身の自分としてはどうしても焦る。


固定給があるから生活はできるが、

「クビになるのではないか?」「自分の存在価値は何?」と考えてしまう。

それを遠まわしに年配の社員の方に行ったところ、

「お前は神か?そんな短期間で成果がでるか」と指摘を受けた。



考えすぎると、焦りすぎて自分が潰れてしまったりするかもしれないなと思った。

ただ、中途はプロパーと違う。

プロパーの何倍もアクションし、成果を出してやっと同等に見られる。



何とか早く成果を出したいものである。

ただ、焦って顧客に強引な提案や意向を無視したアクションだけは避けないといけない。


社内の人間関係は苦労することが多い。


会社ではうつ病と診断されて休職中の人もいると聞くし、移動申請により他部署に移る方もいる。

残業については上限ががっちりと定められており、会社全体としてもそれほど多く無いはずだが、それでも心が疲れるのは、人間関係に苦労している方が多いようである。



これが会社員の辛さかなと思う反面、トータルでは独立するよりもメリットがあるかもしれない。


社内では喫煙者の割合が非常に高く、飲みに行く回数も多い。

ゴルフも活発である。

もし喫煙者で飲みとゴルフに行く回数が多い人なら、健康(寿命)と家族との時間を削って社内の人間関係を作っていることになる。


それが良いことがどうかは個人の判断だが、一度組織を離れた自分としては、自分がそれを受け入れるには大きな抵抗がある。


一度独立や起業をした人は人間関係からの解放に先ずは喜びを感じるほど、社内の人間関係というのはストレスになっている。



とは言え、それでも雇用が守れているのである。

今はリストラもあるとは言え、独立したら誰も守ってくれないどころが利益がなければ収入もなく、生活ができない。


しかし、会社に入れば毎月収入があるから、住宅ローンも組めるし子供も作れるし、生活プランが出来るのである。

ひとつを得たのなら、何かを失うことが必要かもしれないので、自分のスタイルを貫くがゆえに社内の人たちと距離をおくのは避けなければいけないかもしれない。


書類と同じく、関わることが圧倒的に増えるのが社内の人間関係。


個人プレイでほぼ全て一人で解決していたときと比べて、段違いというか別世界である。



同じ部門のメンバーと情報共有をして上司にレポートし、提案にあたり開発部門やマーケ部門と連携を取り、契約が絡むときには法務部門に依頼する。

さらに社内業務には総務、情シス、経理ともしょっちゅうやり取りがある。


世間一般のビジネスパーソンにしてみたら、当然の話ではあるが、全て自分で考えて意思決定してきた経験があると、気疲れする。


勿論組織がしっかりしている分、専門家の指示を仰げるし多くの情報を得られるメリットは計り知れない。


しかし、ここをうまくコントロールできるようにならないと、営業展開に大きな支障をきてしてしまう。

具体的には、時間軸が異なるので(企業のほうがプロセスが多いのでアクションが遅くなる)、少しストレスを感じてしまうし、思うように出来ない歯がゆさがある。



また、結果以外に日々のアクションや言動、態度なども上司や周囲はよく見ている。

そしてこれが評価に繋がるのである。


成果を挙げれば必ず報いがあるとは言い切れず、社内向けと顧客向けの両方で成果を挙げなければいけないのである。



とは言え、全てがネガティブだとは言えない。

それはやはり仲間を作るチャンスがあることである。


同じ中途であれば、プロパーに比べて求められるものが大きいが、貪欲に結果を出して周囲を認めざるを得ない状況に持っていくんだという、高いモチベーションの仲間が出来ることもある。


さらにプロパーでは思いつかない発想、展開が出来ればお互いに相乗効果が生まれて人間関係が良くなるし、周囲が認めてくれることが何よりも大きな励みになる。



自分でビジネスをする個人事業主タイプと、会社員として組織に属するタイプとでは、双方に良い面と悪い面があるが、良い面だけを自身に言い聞かせて日々仕事をしていくことが、人間関係を円滑にするコツかもしれない。






会社員に戻ると、とにかく書類の多さに圧倒される。


特に最近は内部統制やコンプライアンスなどもあって、社外に書類を出すのに社内向けの書類がいるし、何か一つ申請をするにも書類作成が必要になる。


言うまでも無く、会社員でなければ最低限である。

領収書や請求書、契約書などのみで、全く苦にならない。



書類が多いということは、それだけチェックする人がいる訳で時間も掛かる。

社内で過ごす時間が増えて、営業効率が下がる。

(ただ、それを理由に数字が挙がらないという営業の殆どは、それ以外の理由によるが)


会社で不正(悪意が無くとも)や利益にならない取引を行ったり、契約などが杜撰だったりすると後で大問題になるので、確かに人間性善説に立つわけにいかない。


また、法規制もあるのである程度はしょうがないとは思う。



とは言え、理解できてもなかなか抵抗は無くならない。

時間が解決するのだろうが、それまでは要領の悪い新入社員のように見られてしまう。


さらに、社内処理フローのプロセスをうっかり忘れていたり、間違いが多いと査定(評価)が大きくマイナスとなる。



個人で仕事をしているときは、100%近く本業に集中できたが、会社員はそうはいかずに社内にも顧客同様の意識で対応しなければならず、多くの会社員がストレスを少しずつ感じ始めている。



慣れるまでは大変だ。

4年前にソフトウェアメーカー(セールス部門)の会社員から、立ち上げ間もないヘッドハンティング会社に移った。

在籍していたソフトウェアメーカーは、当時株価が140万まで上昇していて、過去最高の売上・利益を達成していた。
自分の成果によるものが大きい言いたいところだが、製品の競争力も強く、広報戦略、営業本部長のマネジメント力に加えて、社会的背景によるものも大きかった。


さておき、人材会社(特にヘッドハンティング会社)では、個人事業主としてフルコミッションの契約体系となるケースが珍しくない。
売上に応じて、予め決まった按分の数字が自分に振り込まれる。
自分の場合は個人事業主として、会社との業務委託契約を締結していた。


給与の厳しさはともかく、人材コンサルタントは個々が独立した個人プレイの動きになる。

そこで実際に働いてみて経験したメリット、デメリットは以下の通り。


1.メリット

・社内向けの業務が極めて少ないため、ほとんど全て顧客に対して労力をかけられる


・社内の人間関係に何ら気を取られる事なく、ビジネスに繋がらないストレスから解放される

・売上を上げる、顧客から信頼されるなど、嬉しいことに対して会社員時代の10倍以上の喜びを感じる

・スキルアップには労力を惜しまず、貪欲に成長できる

・仕事に全ての思いをぶつけることができ、圧倒的なモチベーションを維持できる

2.デメリット

・給与が不安定であり、不調なときには一円も収入が無くリスクヘッジも出来ない

・モチベーションが落ちたとき、また売上が上がらず心が折れたら立ち直ることが困難である

・安定性がないと周囲から心配される場合が多い(特に家族)

・企業への再就職するとした場合、人的コネクションが無い限り相当な苦労をする

・モチベーションが高いぶん、失敗したと感じたときの罪悪感、悔しさは相当に大きい


収入の不安定さは始める前から承知しており、それを上回るモチベーションがあった。
ただ経験してみて、失敗したときにそれを認めるということがどれほど難しいかがわかった。
辞めてみて、それでもしばらく経ってからでないと、とても受け入れられない。

従って、メリットと感じていることが障害になって、引き時を間違える(やっているときに、今が事業から撤退するベストなタイミングとはなかなか判断できないが)ということがある。


プレッシャーや心細さ、不安が半端ではないため独立したメリットを徹底して日頃から自分に言い聞かせるが、それが実はデメリットになることがあったと、今になってわかるようになってきた。