山田 宏 杉並区長の減税自治体条例可決を受けてのコメントをお読みいただきたいと存じます。
『12日の区議会本会議で、「杉並区減税基金条例」が賛成多数で可決された。
その瞬間、「やっとここまで来れた」と、言葉にはできないような感慨を覚えた。
「富士山の山頂に着いて、初日の出を迎えたような気持ち」とでも言えようか。
平成11年4月に区長に就任してから11年。私の初仕事が、自らの給与の10%カットとボーナスの50%カットだった。
以後寝ても覚めても、「まずは財政再建」の一年一年だった。
「10年間で職員を1000人削減する」という公約を柱に、4700人の職員が3700人に削減することで財政の余裕を生み出し、それを使って942億円まで累積していた区債もあと2年で完済できる目算となり、19億円だった使える貯金(財政調整基金)は、今や10倍になった。
一方、この10年で特別養護老人ホームの定員は1300人増え、保育園の定員は750人増え、放置自転車は8500台から1500台に減り、一人当りのゴミ排出は750gから550gと23区では最も少なくなった。
また、「杉並を住みやすい」と答える区民は95%にのぼり、日経新聞が行なった平成19年度の自治体全国ランキングでは、杉並区は「行政革新度」では33位から3位、「行政サービス度」では105位から12位(平成18年には3位)と上昇した。
そして、あと2年で区の借金が完済することを機に、今度はこれまで借金の返済や基金の積み立てに当ててきた支出を積み立てに回し、大震災など「いざ」という大災害に備えつつ、10年後からはその積み立て基金の果実(運用益)で10%の区民税の減税を開始し、積み立てを続けていく限り毎年減税が続くだけでなく、減税幅も広がっていくのが、この杉並区の「減税基金」なのだ。
名古屋市の住民税減税は、「まず減税を決めて、行革を断行する」外科的減税。杉並方式は、「行革を進め、その延長線で減税する」内科的減税。堅実、先憂後楽型だ。ただ名古屋市には2兆円の市債残高があり、「減税より借金返済が先では?」という声も多いと聞く。
杉並方式には、「積み立てるお金があるなら、いま老人ホームや保育園を」「いま減税を」という反対の声もある。しかし、「積み立てるお金があるなら、いま使え」をやれば、今だけはいいだろうが、将来の繁栄を築くことはできないのは、家計や事業と同じだ。
まして、、、
これからますます若い人が減って、高齢者が増えてくれば、今のままの福祉サービスを維持していくだけでも、若い人たちの負担は自然に増えていくことが明らかだ。「積み立てるお金があるなら、いま使え」と主張する人たちは、これから先の日本を考えて、子や孫たちの負担を私たちの力で、少しでも下げてあげようという気持ちを持ってほしいと思う。
そして「そんなこと知ったことか」という心が、世の中を行き詰まらせていることに気づいてほしい。
「減税基金条例」は、今日の一部分を積み立て、明日に備え、明日を豊かにする、杉並区民の良識の源となるだろう。そしてその良識が、私たちの地域の明日を拓き、行き詰まっている日本の羅針盤となると信じている。』
素晴らしい考え方だと私は思います!
杉並を日本のモデルとし、永田町(国会)も霞ヶ関(官僚)も全て、総とっかえくらいの勢いでやらなければ、改革などできっこないと考えます!