アニメ 映画「海獣の子供」 感想 | FXで有り金全部溶かした友達の顔を見てみたい。

 

 

PVの作画に惹かれて、「海獣の子供」観に行ってきました。

 

 

このアニメを観て、一番に思ったのは作画がとんでもなく良いこと。

海の世界を美しく、煌びやかに時に恐ろしく、力強く。

宇宙のように海を壮大に描いている。

もはや、大衆映画という枠を超えて、映像面だけで神秘性や芸術性を感じ取れる映像作品になっている。

 

 

 

シナリオは正直に言うと、「どういうこと?」と首を傾げてしまう展開が続く。

最終的には自分なりの答えを見つけて、映画を終えたけど、それが果たして正しいのかと言われれば、怪しい。

 

主人公、琉花は中学生?で夏休みを迎えていた。

所属しているハンドボール部の先輩から嫌がらせを受け、その仕返しをし、部活禁止となった彼女は母親のことを毛嫌いし、家に帰れず、父親の働く水族館で時間をつぶすことにする。

そこで出会った空と海というジュゴンに育てられた少年二人とともに、海で不思議な体験をするというストーリー。

 

主人公、琉花は自分の気持ちを上手く表現できない少女で部活中にトラブルを起こした時も、自分を正当化するも、その考えを表には出せず、彼女の暮らす日常に嫌気がさしているような感じだった。

 

この作品では、海や生き物の全ては宇宙から始まったとされています(海からだったけ?)。

彼女は海の世界に感動し、自分の世界から逃げるように海の中に潜っていきます。

その中で、あらゆる体験をした彼女は海を特別のものとしていましたが、宇宙から始まったこの世界の全ては等しく特別であることを知ります。

彼女が暮らす日常にも同じように美しいものや素晴らしいものがあると知った彼女は自分の日常と真剣に向き合おうとし、新たな出会いを求めて、前へ進むのでした。

 

 

という話であると思いたい。

海の中での出来事はずっと?が頭の上で浮かんでいる状態でしたが、案外シンプルでよくある青春映画だったのかもしれません。

 

 

 

 

それにしても、作画が本当に素晴らしい映画でした。

主人公同様に、画面を観ているだけで海の魅力に惹きこまれていきました。

描写の一つ一つにこだわりを感じられ、手の込んだ作品になっています。

特に好きなのは雨の中、タンクローリーが走行するシーン。

雨水を切って走っているんですが、その雫が海の生き物になっていくカット。

 

あとはクジラの登場シーン。

クジラが飛び出す度に細かく波や霧が舞う姿を丁寧に描いていました。

なんだかディズニー映画の「ピノキオ」に出てくるクジラを連想してしまいました。

あのクジラの作画も当時としては、かなり凄いと評価されていますし、実際にあのシーンは緊迫した雰囲気と躍動感があります。

この作品のクジラも同様に作画としては、かなりの見せ場となっています。

 

キャラクターも線が細かく、キャラのアップシーンなのに情報量が多かったです。

まつ毛は一本一本描いているし、瞳の中にいる少女の姿、風になびく髪、赤い内唇、下の画像だけでも、色々なことを感じ取ることができます。

一つの線を何度も重ねて描いたような作画が特徴的で、線だけを見るととても不安定なものに見えますが、キャラとして観ると、不思議なことにとても暖かみのあるデザに感じました。

そして、この線の多いデザでキャラたちが豊かな表情を見せることができるのは流石、制作会社スタジオ4℃といったところでしょうか。

 

 

 

CGもたくさん使っていますが、逆にここCGじゃないのと思える大変な作画を手書きでやっていたり、CGと手書きが同じカットで描かれていたり。

 

そういえば、もう一つ好きなシーンがありました。

物語前半の部活禁止にされた琉花が走って下校するシーン。

あのシームレスに繋ぐ演出も作画も大好きです。とても気持ちが良かった。

 

 

 

音楽は久石譲さんが担当し、彼のおかげで世界観がさらに広がり深まっていったように感じました。

主題歌は米津玄師、この方の曲を真剣に聴いたのはこれが初めてですが、天才でした、これは人気者になりますわ。

 

 

 

 

 

 

 

今、パンフレットをパラパラめくって、作品について勉強していますが、この作品は”生命の誕生”を描いていたようです。

何となく点と点が繋がったように思います。

しかし、それでも難しい作品であることには間違いない。

子供には到底理解できる内容ではないし、間違いなく質アニメでオタク向けな作品だ。

ただ、それでもこの作品は観て良かったと思える作品でした。

難解な作品ではありますが、このアニメは色んな所に魅力があります。

その一つでも楽しむことができれば、OKなんだと思います。