以前、こちらの記事でも取り上げたエッシー1/72「オペルブリッツ」の箱絵について

考察したいと思います。

 

上の画像は、1984年にパッケージデザインが変更された「赤箱」バージョンのものです。
古代遺跡と炎上する戦車を背景に、砂漠にパークするDAKの車両として描かれているのですが……

「この絵のオペルブリッツって、なんだかキットと違うな~」と、幼少の頃からずっと違和感を抱いておりました。

フロントグリルは確かにオペルブリッツなのですが、フロントフェンダーにつながる部分がプクッと膨らんでいます。
キットではもちろんのこと、イタレリ1/35でもこうはなってないんですよね。

それに3トントラックにしては小ぶりというか、こじんまりとしてるというか……

 

実はこのエッシーの箱絵で描かれている車両、オペルブリッツでも「2.5-32型」という積載重量1.5tのタイプなんです。

外見は非常に似ていますが、大きさが違います。

この「オペルブリッツ 2.5-32型」は、1938年から1942年までフランクフルト、リュッセルスハイムの工場で生産されました。

 

 

「オペルブリッツ2.5-32型」はウクライナの模型メーカー、ICMから1/35のキットが販売されています。

 

一方、イタレリが1/35でキット化したオペルブリッツ 3トントラックは「3.5/3.6型」で、ブランデンブルクのオペル工場で生産されました。

 

 

こちらはイタレリ1/35のオペルブリッツ 3トントラック。

フロントグリルとフェンダー周りの形状が、明らかに1.5トンの「2.5-32型」と違いますね。

 

エッシーの箱絵を描いた画家さんは、キットは3トントラックなのに、間違えて1.5トントラックのほうを描いてしまったのでしょうか?

 

ちなみに、「オペルブリッツ 2.5-32型」は、映画「大脱走」(1963年 アメリカ)に登場しています。

ストーリー後半、測量屋カヴェンディッシュがヒッチハイクした荷台の幌に文字が書かれた民間車です。洗濯屋のトラックだったようです。

 

また、「ナバロンの嵐」(1978年 アメリカ)で、ドイツ軍司令部に囚われていたミラー達と、殴打されて失神したマリッツァが脱出する際に使ったトラックも「オペルブリッツ 2.5-32型」のように見えます。

 

エッシーのオペルブリッツは、個人的な思い入れが強く、まだ書きたいことがたくさんありますので、今後も取り上げていきたいと思います。