奈良・明日香で見つけた秋の三景 | 京都の春夏秋冬とプラスα

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地名から日本の原風景がイメージされる奈良県高市郡明日香村。そんな景観を求め秋空の下、明日香(あすか)の里を歩いた。近鉄吉野線の飛鳥(あすか)駅を下車、県道210号から朝風峠~稲渕の棚田、男綱・女綱を巡り、県道15号を石舞台古墳前バス停までを徒歩で巡る約3時間30分のコースを設定した。好天にも恵まれ期待通りの明日香の里のウォークを満喫した。〔ウォーク日:2016/10/12〕

□ 「明日香村観光マップ」を片手にウォーク
飛鳥駅前の案内所で情報誌「飛鳥びと」を見つけ、ここに記載の「明日香村観光マップ」を活用した。ちなみに、同じ「あすか」と呼ぶも地名は「明日香」、歴史・文化面では「飛鳥」と使い分けられている。

□ 飛鳥駅~朝風峠~稲渕棚田
飛鳥駅前から県道210号を南下し、於美阿志神社・檜隈寺跡の手前を左折し村道を東へ、途中から朝風峠に向かう山道に入る。飛鳥駅から30分程で朝風峠に到着。この辺りで最高の標高は168m。峠の眺望地点からは、日本の棚田百選にも選ばれた稲渕の棚田が広がる。

稲渕の棚田は中世(平安~室町時代)に開墾され、300枚あまりの水田と畑で構成されている。明日香村の美しい歴史的景観の一部となっており、農村の原風景を強く残している〔平成23年重要文化的景観指定〕。

初秋には棚田の畔や土手に彼岸花(ひがんばな)が咲き誇るが、ウォーク当日には開花時期が過ぎていた。

□ 棚田での「かかしコンテスト
彼岸花の代わりに目に飛び込んできたのが棚田のあちこちに立つかかし。遠くから見ると一瞬、人と見間違った。朝風峠から麓の県道15号線の出入口までの棚田沿いの道は案山子(かかし)ロードと呼ばれる。このかかしコンテストの今年のテーマは「棚田deオリンピック」で、今年で21回目を重ねている。

9月18日(日)に応募総数50体から、大勢の方の投票によって16体が入賞作品として選ばれた。応募された全てのかかしは11月下旬頃まで目にすることができる。

□ 稲渕地区の男綱と栢森(かやのもり)地区の女綱
案山子ロードの出入口は、麓の飛鳥川にかかる県道15号線の勧請橋(かんじょうばし)。この橋の上で飛鳥川を跨ぎ掛けられている綱とその中央に男性のシンボルを模した藁細工を見つけた。これが観光マップにも記されている稲渕の男綱

近くで土産物店を営む女性の薦めで、県道15号を奥に進むと到達する栢森地区にある女綱も見物した。男綱から女綱までの往復の所要時間は徒歩で約1時間(バスは運行されていない)。

ユニークな男綱女綱は、ともに両地区に伝わる綱掛(つなかけ)神事によるもので、毎年1月の神事で架け替えが行われカンジョ掛神事とも言われる。子孫繁栄と五穀豊穣を祈るとともに、悪疫などがこの道と川を通って侵入するものを押しとめ、住民を守護するための神事と言われている。ちなみに、稲渕の神事は成人の日に神式で、柏森の神事は1月11日に仏式で行われる。