今日に繋がる昨日が、私にはない。
「アンメット ある脳外科医の日記」
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2024年放送。全11話。
原作:子鹿ゆずる(原作)、大槻閑人(漫画)
「アンメット - ある脳外科医の日記 - 』
脚本:篠﨑絵里子。
主題歌:あいみょん「会いに行くのに」。
オープニング曲:上野大樹「縫い目」。
演出:Yuki Saito、本橋圭太、日髙貴士。
出演:杉咲花、若葉竜也、岡山天音、生田絵梨花、山谷花純、尾崎匠海(INI)、中村里帆、安井順平、野呂佳代、千葉雄大、小市慢太郎、酒向芳、吉瀬美智子、井浦新。
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若手脳外科医である川内ミヤビは、1年半前の不慮の事故により脳を損傷。記憶障害となってしまった。今日の事を明日には全て忘れてしまい、それ故に過去約2年間の記憶が彼女には無かった。
毎日その日の出来事、感じた事を日記に書き、毎朝その日記を確認。事故の事から昨日までの事を全てを覚えて、ミヤビはその日を生きます。
だけど今まで同様に外科医としての仕事は出来ず、任されるのは看護師の補助のみ。
「私には今日しかない。だから今日出来る事をやろう。」
自分の状況を理解・納得し、ミヤビはこれからを生きていく事を決めた。
そんなミヤビの前に現れたアメリカ帰りの脳外科医・三瓶友治。不遜な態度でマイペースだが、診断、手術、共に超一流。
ミヤビの症状を知っても驚かず、誰もしなかったミヤビの医療行為を肯定した。
三瓶と共に医療行為に携わる事になったミヤビは、再び医者としての道を歩むことになる。
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記憶障害の医師というのがまず新鮮な設定。
それで医師としての仕事が出来るのか疑問でしたが、やはり出来る事は限られます。患者の診察や治療など、患者の生命に直接関わるような仕事は任せてもらえません。手術なんてもってのほか。いくら毎朝覚え直しているとは言え、任せるのは不安だし危険です。
それが普通です。
しかし三瓶は、事故以前の記憶は残っていて、医療知識もあるという事を理由に、ミヤビに医療行為をさせます。
本人の努力と、周りのサポートが前提ではありますが、しっかりサポートすることが出来れば、記憶障害があっても以前と同様の仕事が出来る事が証明されました。
あのメンバーだからこそ、ミヤビは自分を信じられたのだと思います。
ミヤビ同様、毎回脳に障害がある患者が登場し、障害者の生き方や社会復帰についてが描かれています。
脳を損傷したことによって言葉を話せなくなったり、身体を上手く動かせなくなったり、症状は様々です。脳は記憶だけでなく、身体を動かし、普通に生活するための要である事がよく分かります。
少しの損傷により生活は不自由になり、仕事も思うように出来なくなります。
障害者はただ生きているしかないのか。
これまで通り生活していくのは非常に困難です。
しかしミヤビのように、周りのサポートと理解があれば、今まで通りとはいかないまでも、普通に生活することが出来つ、社会復帰も可能なのではないでしょうか。
院長の訴えには痺れましたね。
そして最重要ポイントは、ミヤビの記憶障害を良しとする奴らの企みと三瓶との関係性。
なぜ記憶障害が起きて良しとなるのか。
これに関してはある程度予想は出来ます。だけど思ったよりもあっさり企みは崩れます。最後まで関わってくるのかと思っていましたが、最後まで関わって、悪事を大々的に明らかにするような展開は、この作品で描きたい事から外れていると思いますし、今まで描いてきた事が薄れてしまうので、あっさり退場で良かったと思います。
悪い奴らが裏で色々企んでいる中、ミヤビと三瓶は仲を深めていきます。コーヒーの注文や2人で出勤しているのとか、ほのぼのしてて良かったです。
同時に2人しか知らない過去が少しずつ明らかになってきますが、最終話はすごかったです。様々な事が明らかとなり、色々な事が繋がりました。あのグミにも意味があったとは。
症状が進行し、記憶が1日も保たなくなり、いつ脳梗塞が起こってもおかしくないような状況でのミヤビと三瓶の同棲は、優しく平和な雰囲気が流れていましたが、いつ終わりが来るか分からない怖さもありました。
出来ることなら、ずっとこの生活が続いて欲しい。
そう思えるような生活をしていたため、限界が来た時の絶望感は凄まじかったです。
ミヤビと生活したことにより、よりミヤビが自分に無くてはならない存在となった三瓶には、あの状況はキツかったでしょう。
ミヤビの日常を取り戻すため、三瓶含むサポートメンバーは全身全霊で脳の絶対不可侵領域に挑むことになりますが、この手術シーンも凄かったです。手術部位を見せなくても、集中力の高まりと緊迫感が伝わってきました。
手に汗握る素晴らしい手術シーンでした。
最後のミヤビのあの言葉とあの涙。
みんな昨日が今日に繋がったのだと信じたい。
「記憶障害の脳外科医」
この興味だけで見始めましたが、とても心に刺さるドラマでした。
どんな形でもいいので、この続きが見たい。
みんな幸せになってもらいたい。