トラベル特集――台中 市場ぶらり散歩(後編) | 台湾観光のブログ

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企画構成/高田雅子 文/高田雅子 写真/陳正國・張晉瑞・視野創異行銷




台中 

市場ぶらり散歩
「台湾の中央」を意味する「台中」の地名が使われ始めたのは日本時代。台中に初の公設市場が誕生した1908年以降、市の中心には次々と近代的な市場が開設された。いくつかの市場は現在も同じ場所で営業を続けている。台中で、日本時代に開かれた5つの市場の面影をたどり、近年誕生した新世代の市場も訪ねながら、地元の歴史とご当地グルメに出逢う、ぶらり散歩に出かけてみよう!

おすすめコース
1日目:台湾鉄道・高速鉄道台中駅→第一、第三、第四市場
2日目:第二、第五、第六市場→台湾鉄道・高速鉄道台中駅

Access:台湾鉄道台中駅から徒歩またはレンタサイクルで各スポットへ

台中市公共レンタサイクルYoubike
Web:www.youbike.com.tw/region/i
 

 

第四市場  


旧名は「干城町消費市場」。1932年(昭和7年)に台中市で4番目に開場した「第四市場」だ。周辺の人口減少などにより、第四市場は1970年代以降は徐々に没落し、店舗がすべて撤退したのち、長らく放置されていたが、2015年に台中市の歴史建築に指定され、修復工事を経て2021年に文化基地として新たに生まれ変わった。

 



館内では、クリエイティブグッズや地元の特産品を紹介しているほか、不定期でマーケットやイベントも開催している。カフェの一番人気は、台中人がこよなく愛する甘辛い唐辛子だれ「東泉辣椒醬」を使った、ホットサンド「香腸阿伯十八啦熱壓吐司」とカフェラテ「東泉拿鐵」。

 


芋泥芋香、香腸阿伯十八啦熱壓吐司、東泉拿鐵


辛い物が苦手な人には、やさしい甘さのマッシュタロイモをサンドした「芋泥芋香」がおすすめ。お土産には、東泉辣椒醬の甘辛いキャラメルポップコーン「東泉爆米花」を持ち帰ろう!


東泉爆米花

Add:台中市東區南京路36號
Open:10:00-18:00
Ticket:カフェ:ミニマムチャージ1人1品またはドリンク1杯
Web:four-market.blogspot.com


周辺スポット
帝国製糖廠台中営業所


前身は「帝国製糖株式会社」の台中工場。1935年(昭和10年)建設の本館は敷地内で唯一現存する日本時代の建築物で、2007年に製糖業の歴史を伝える産業遺産として台中市の歴史建築に指定された。その後、2016年に指定範囲が拡大され、修復工事を経て2019年に文化複合施設として一般に公開された。

 



本館は薄灰色の屋根瓦と緑がかった薄茶色の外壁タイルの配色が美しい建物で、車寄せ正面は幾何学模様の文様で装飾されている。1930年代に流行したアールデコ様式の特徴がみられるクラシックな和洋折衷建築だ。現在、館内ではクリエイティブグッズや特産品などの展示販売を行っている。


敷地内の小さなサトウキビ畑

Add:台中市東區樂業路30號
Open:10:00-18:00、月曜休館
Ticket:入館無料
Web:facebook.com/atsugarstudio


第五市場
旧名は「旭町消費市場」。1937年(昭和12年)に台中で5番目に開場した市場だったため、「第五市場」と呼ばれた。本館は建設当時の建物が現在も使用されている。観光客にあまり知られていない地元民に人気のご当地グルメが多い。



Add:台中市西區大明街9號


阿彬爌肉飯
看板メニューの「爌肉飯」は豚の角煮を白いご飯にのせたミニ丼。醤油だれがしっかりと染み込んだ豚肉は、口の中でほどける柔らかさ。濃い目の味付けだが、添えられている生姜の漬物が口の中をさっぱりさせてくれる。付け合わせには、タケノコの煮物「筍干」や湯葉のような食感の揚げた豚皮入りのスープ「爆皮湯」がおすすめ。


手前から時計回りで小爌肉飯、爆皮湯、筍干

Add:台中市西區樂群街41號
Open:6:00-13:00


蚵仔粥
第五市場周辺で随一の人気を誇る名前のない食堂。看板メニューの「蚵仔粥」はカキと豚肉入りの雑炊。芹菜と揚げニンニクを浮かべたスープは薄味で、プルプルしたカキはうまみたっぷり。

紅麹に漬け込んだ豚肉の唐揚げ「紅燒肉」は、ほのかな麹の香りとサクサクした衣の組合せが絶妙だ。付け合わせのキャベツの甘酢漬けも箸休めにぴったり。

「肉捲」は、ひき肉、魚のすり身、刻んだ野菜などを捏ねて湯葉で包んださつま揚げのような揚げ物。半量の揚げ物2種類を盛り合わせたセットも選べる。


左から時計回りで蚵仔粥、紅燒肉、肉捲

Add:台中市西區樂群街80號
Open:9:00-20:00、月曜定休


楽群冷凍芋
「冷凍芋冰」はタロイモのシロップ煮のかき氷。やわらかく煮込んだタロイモの塊はなめらかな食感で、やさしい甘さ。透明のかき氷がタロイモ本来の美味しさを引き立て、さっぱりといただける。仙草ゼリーを加えた「冷凍芋仙草」は、薬草の清涼感とほのかな苦み、甘いタロイモのハーモニーが楽しい。


冷凍芋冰、冷凍芋仙草

レトロ可愛い店内

Add:台中市西區樂群街94巷3號
Open:10:30-19:00


周辺スポット
台中文学館


柳川の傍ら、「台中文学公園」内に佇む日本家屋の宿舎群は、1934年(昭和9年)に完成した台中州警務部官舎だった建物。1800坪あまりの広大な敷地に6棟の宿舎が保存されており、台湾の文学を紹介する資料館として公開されている。

 

 

敷地のほぼ中央で大きく枝を広げるガジュマルの樹の下は市民の憩いの場だ。カフェになっている建物で、緑あふれる公園を眺めながら休憩すると気持ちがいい。台中市歴史建築。



Add:台中市西區樂群街38號
Open:10:00-17:00、月曜・祝日定休
Ticket:参観無料
Web:www.tlm.taichung.gov.tw


柳川水岸景観歩道
「柳川」の旧名は「東大墩渓」という。日本時代の初め、両岸に柳の木が数多く植えられていたことから、1916年に現在の名が付けられた。戦後は緑川と同じく深刻な水質汚染に陥ったが、近年は河岸改修工事の完成と浄化場の汚水処理が進んだことで水質が大幅に改善している。河岸には台湾ならではの樹々も数多く植樹されており、四季折々の景観が楽しめる。夜はライトアップされ、いっそうロマンチックな雰囲気。

 


Add:台中市中區柳川東路三段7號
Open:6:00-22:00、土曜・日曜6:00-24:00


台湾府儒考棚 x 中島GLAb
「考棚」とは清代の科挙のための試験会場を指す。1892年に建設されたもとの建物は、日本時代の1913年に台中州庁の庁舎建設と拡張のために取り壊され、1924年に遺構の一部が現在の場所で州庁職員のクラブと議事堂として再利用された。

 


清代の建物の遺構を保存したアートな空間


現在の建物は、2006年に台中市の古跡に指定されたのち、修復工事を経て2021年にオープンしたギャラリーやカフェのある文化複合施設。モダン建築の内部に清代の建物の骨組みが芸術作品のように保存されており、独特の美しさのある空間となっている。

カフェカウンター

 



Add:台中市西區府後街38-8號
Open:11:00-18:00、月曜休館
Ticket:参観無料
Web:glab.com.tw


道禾六芸文化館
建物の前身は1937年(昭和12年)建設の台中刑務所演武場。建築様式は上部は切妻造り、下部は寄棟造りの特徴を備えた入母屋造で、外壁は木造建築を模したコンクリート、屋根は瓦ぶきのモダンな建物だ。

 

惟和館の見学は外観のみ

 

台中市内で唯一現存する演武場で、保存状態も非常に良く、歴史的価値が高い。現在は「惟和館」という名の剣道場となっており、外観のみ見学できる。

 


心行館では台湾茶が楽しめる


敷地内には職員宿舎とクラブだった建物も残っている。元宿舎の「伝習館」で演武場の歴史的な文物を見学して、元クラブの茶館「心行館」で香り豊かな台湾茶を味わいつつ、ゆったりした午後の時間を過ごしたい。台中市歴史建築。


もとは宿舎だった伝習館

伝習館の館内展示

Add:台中市西區林森路33號
Open:心行館9:30-17:30/伝習館9:30-17:30、月曜休館(正午休憩あり)
Ticket:屋外:入園無料
Web:www.sixarts.org.tw


第六市場
新世代の注目市場


2017年にオープンした「第六市場」は、日本時代から続く市場の精神を継ぐ、新しいスタイルの伝統市場。台湾鉄道台中駅からMRT市政府駅に続く台湾大道に面したデパート「金典緑園道」の3階に位置する「台湾初のデパートに入店している伝統市場」だ。

 

 

売り場は、小さなブースが並ぶ伝統市場の雰囲気を踏襲しつつ、クリエイティブデザインを取り入れたおしゃれな空間。肉・海鮮・野菜・果物などをあつかう生鮮食品売り場のほか、乾物、生活雑貨、個性的な総菜や地元グルメを集めたコーナーもそろう。お洒落で快適なデパートで地元の食と文化を満喫できる、いま注目のスポットだ。



Add:台中市西區健行路1049號3F
Open:10:00-20:30、月曜休市
Web:www.parklanes-shop.tw
Access:台湾鉄道台中駅から市バス300で「科博館」下車、徒歩6分




※掲載情報は取材時のものであり、現在の情報とは異なる場合があります。