トラベル特集――台中 市場ぶらり散歩(前編) | 台湾観光のブログ

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企画構成/高田雅子 文/高田雅子 写真/陳正國・張晉瑞・視野創異行銷




台中 

市場ぶらり散歩
「台湾の中央」を意味する「台中」の地名が使われ始めたのは日本時代。台中に初の公設市場が誕生した1908年以降、市の中心には次々と近代的な市場が開設された。いくつかの市場は現在も同じ場所で営業を続けている。台中で、日本時代に開かれた5つの市場の面影をたどり、近年誕生した新世代の市場も訪ねながら、地元の歴史とご当地グルメに出逢う、ぶらり散歩に出かけてみよう!

おすすめコース
1日目:台湾鉄道・高速鉄道台中駅→第一、第三、第四市場
2日目:第二、第五、第六市場→台湾鉄道・高速鉄道台中駅

Access:台湾鉄道台中駅から徒歩またはレンタサイクルで各スポットへ

台中市公共レンタサイクルYoubike
Web:www.youbike.com.tw/region/i


第一市場

旧名は「榮町消費市場」。開場は1908年(明治41年)で、台中市初の市場だったことから「第一市場」と呼ばれた。建物の配置は現在の第二市場と同じく六角形の本館から放射状に3本の翼廊が伸び、周囲を店舗が囲む形だった。1980年代に商業ビル「第一広場」に建て替えられ、2016年に現在の名称「東協広場」に改名された。


Add:台中市中區綠川西街135號


周辺スポット
台中駅鉄道文化園区


建物の前身は、1917年(大正6年)に完成した台中駅二代目駅舎。赤煉瓦に白い石を帯状にめぐらせた姿は、東京駅を設計した辰野金吾が得意とした「辰野式」と呼ばれる建築様式が取り入れられているため東京駅とよく似ている。現在は三代目の高架駅に役目を譲り、鉄道文化と生活、クリエイティブ産業を融合させた文化複合施設として一般公開されている。


復元された日本時代の切符売り場


Add:台中市中區台灣大道一段1號
Open:11:00-21:00、土曜・日曜10:30-21:30
Ticket:入園無料
Web:www.tcrp.com.tw


宮原眼科
1927年建設の「宮原眼科」は、日本人の宮原武熊医師が開設した眼科医院跡。有名菓子メーカー「日出」の店舗になっている赤レンガの洋館内は、童話の中に出てくる魔法学園の図書館のよう。1階アーケードでは40種類以上のアイスクリームを販売しており、日出のパイナップルケーキなどをトッピングに選べる。

 



Add:台中市中區中山路20號
Open:10:00-21:00
※アイスはテイクアウトのみ、イートインは徒歩3分の系列店「台中市第四信用合作社」へ


緑川水岸廊道
宮原眼科前を流れる「緑川」の旧名は「新盛渓」。1912年に現地を巡視した台湾総督佐久間左馬太が、緑あふれる河岸の風景にちなんで「緑川」と改名した。戦後の経済発展とともに汚染が進行した時期もあったが、現在は美しい姿を取り戻している。夜はライトアップされ、きらめく灯りが水面に映り幻想的だ。



Add:台中市中區綠川西街


第二市場
旧名は「新富町消費市場」。1917年(大正6年)に台中市で2番目に開場したため「第二市場」と呼ばれ、当時は高級品を扱う市場だったことから「日本人の市場」とも呼ばれた。現在はB級グルメの殿堂として、観光客が必ず訪れるスポットのひとつになっている。


Add:台中市中區三民路二段87號


六角楼
第二市場の建物は日本時代の構造をほぼ完全な形で留めており、現在も六角形の本館「六角楼」から放射状に3本の翼廊が伸び、周囲を店舗が囲んでいる様子を確認できる。六角楼は平日のみ2階の見学が可能だ。



六角形の形がよくわかる天井

六角楼の模型

Add:第二市場 中央
Open:9:00-12:00、土曜-月曜休館
Ticket:入館無料


山河魯肉飯 


名物は豚の角煮を白いご飯にのせた「魯肉飯」。ほろりと柔らかい角煮は醤油だれがよくしみており、ご飯が進む。夏限定の「麻薏湯」は細かく刻んだモロヘイヤの葉の緑が鮮やかなスープ。ほのかな苦みがあるが、具材のしらすとサツマイモが風味を豊かにしている。


魯肉飯、麻薏湯

麻薏湯は夏季限定

Add:第二市場 内103
Open:5:30-15:00、水曜定休


王家菜頭粿糯米腸
看板メニューは、もちもちの大根餅「菜頭粿」ともち米の腸詰「糯米腸」。どちらかに目玉焼き「煎蛋」をのせるのが定番の食べ方だ。醤油だれと甘辛い唐辛子だれをかけていただこう。


どっしりと食べごたえがある菜頭粿と煎蛋、糯米腸の盛り合わせ

Add:第二市場 臨175
Open:6:30-18:00


第三市場
第三市場の歴史は、1922年(大正11年)に開場した「櫻町消費市場」にさかのぼる。台中市で3番目に開設された市場だったことから「第三市場」と呼ばれた。1932年(昭和7年)に現在の場所に移転し、「敷島町消費市場」と改名された。外からは見えなくなっているが、建築当時の姿を留める市場本館の妻壁にはいまも日本時代の台中市の市章が刻まれている。



正門にシンボルとして掲げられている日本時代の台中市の市章

Add:台中市南區台中路90號


三廣商行


1922年に櫻町消費市場で創業し、1932年に市場の移転に伴い現在の場所に店を移した老舗菓子店。創業当時、創業者の黄寬文さんが「黄さん(こうさん)」と呼ばれていたことから店名が「廣三」、のちに前後を入れ替え「三廣」となった。パイ生地で麦芽糖と蜂蜜の餡を包んだ「蜂蜜太陽餅」は店の看板商品。若い人にはスポンジ生地にクリームをはさんだ台湾式マカロン「台式馬卡龍」が人気。


台式馬卡龍(プレーン&チョコ)

蜂蜜太陽餅

Add:台中市南區台中路92號(郵便局右側市場入口すぐ)
Open:8:00-20:00


順口香麥仔煎
「麥仔煎」は、大きな鉄鍋で焼いたホットケーキ生地に具材をのせ、折りたたんで切り分けた軽食。キャベツ炒め入りの「高麗菜」は軽い昼食に、ピーナッツ粉と黒胡麻入りの甘い「花生芝麻」はおやつにぴったりだ。




高麗菜

花生芝麻


休日には小豆入りの「紅豆」も登場する

Add:台中市南區信義南街・民意街の角(第三市場A54)
Open:10:00-18:00


台中肉員
1933年創業の名物店。「肉員(肉圓)」は、弾力のあるでんぷんの皮で豚肉餡を包み、低温の油で揚げた料理で、醤油だれ、米粉で作った甘くて白いたれ「白醤」、おろしニンニク、パクチーを添えていただく。

 

 

付け合わせには魚のつみれスープ「魚丸湯」や春雨スープ「冬粉湯」がぴったり。


手前から時計回りで肉員、冬粉湯、魚丸湯

卓上の白いたれは唐辛子入りの辛いたれなのでご注意を

Add:台中市南區復興路三段529號
Open:11:00-19:30、水曜定休


周辺スポット
文化部文化資産園区
台湾鉄道台中駅南に位置するクリエイティブ産業の発信基地。前身は1916年(大正5年)に創業した民営の酒造工場「大正製酒株式会社」。1922年に台湾総督府による専売制度実施にともない公営化され、戦後も「台中酒廠」として酒類を製造していたが、1998年に工場が台中工業区に移転したため閉鎖された。

 



ほぼ完全な形で残された工場施設は、2002年に近代産業遺産として歴史建築に登録され、2011年に「台中文化創意産業園区」として新しいスタートを切り、2018年には正式名称が「文化部文化資産園区」に改められた。5.6haの広大な敷地に建ち並ぶ倉庫や宿舎などの建物は展示館やショップとして利用されている。

展覧会やショップをのぞきながら歩いてみよう



Add:台中市南區復興路三段362號
Open:屋外6:00-22:00、展覧館9:00-17:00
Ticket:屋外入園無料、展覧会はイベントにより異なる
Web:facebook.com/moc.boch


富興工廠1962
2021年にオープンした「富興工廠」は、一見すると何の変哲もない古いビル。しかし中には、若い人に人気のカフェや雑貨のショップ、ギャラリーなどが入居するお洒落な空間が広がっている。

 

 

築約70年の建物の前身は、台湾初の化粧品会社「盛香堂」の工場。建物は元の様子をできるだけ保存する形で改装されており、3階では当時の調剤用具を見ることもでき、工場の歴史が感じられる。


写真撮影スポットとしても人気のレトロな館内

古書と骨董品の展示販売コーナー

工場時代の調剤用具

Add:台中市東區復興路四段37巷2號
Open:11:00-20:00(店舗ごとに異なる)
Web:www.fusionspace1962.com

 

 

※掲載情報は取材時のものであり、現在の情報とは異なる場合があります。