トラベル特集――いつだって、 行きたい台南!(前編) | 台湾観光のブログ

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企画構成/高田雅子 文/高田雅子 写真/季子弘・張晉瑞・宋育玫
 




いつだって、
行きたい台南!

台南は、台湾で最も歴史のある街。古い建物が多く街の歩調がゆったりしている古都は、初めて訪れてもどこか懐かしい雰囲気が感じられる。かと思えば、歴史建築の目の前にモダン建築がたっていたり、廃墟がアート空間に生まれ変わっていたり。迷路のような路地を曲がる度に、新しい景色が待っている。古民家を改装したリノベカフェやローカル気分満点のグルメ、別腹スイーツも次々登場して、台南の旅は終わることがない。いつだって、何度だって通いたくなる台南にあいにいこう!





おすすめコース
1日目:高速鉄道台南駅→台湾鉄道台南駅→台南市中心街
2日目:台南市中心街→台湾鉄道台南駅→高速鉄道台南駅

Access:台湾鉄道台南駅から徒歩・バス・タクシー・公共レンタサイクルで各スポットへ

台南市公共レンタサイクルT-Bike
Web:tbike.tainan.gov.tw

台南市バス大台南公車(日本語あり)
Web:2384.tainan.gov.tw/NewTNBusWeb 



アートスポット
古都に吹く芸術の風


河楽広場 The Spring
 

 

2020年3月にオープンした新スポット。設計を担当したオランダの建築設計事務所「MVRDV」は、「都市のラグーン」をテーマに大型ショッピングモール「中国城」をリノベーションし、廃墟の遺構に緑を配した美しいウォーターフロントを生み出した。メインとなるのは地下1階の景観池。水深は30㎝で、透明な水をたたえた浅瀬を台南に生育する植物が囲んでいる。池の水は毎日浄化されているので子供たちの水遊びも安心だ。夜はライトアップされ、幻想的な表情を見せる。古都に生まれたアートな新空間を体感しよう。



Add:台南市中西区中正路343-20号
Open:9:00-22:00、火曜休園
Ticket:入場無料
※池へのペットの立入禁止・池の照明器具への腰掛禁止


台南市美術館
 

 

2019年に開館した台南を代表するアートの発信地。1館の前身は1931年(昭和6年)に落成した旧台南市警察署。アール・デコ様式の特徴を持つ建物は、台南州技師の梅澤捨次郎氏による設計。本館裏手にはモダンな別館が自然な形で増築されており、新旧の建築の融合とアートを同時に楽しめるつくりになっている。2館は日本人建築家・坂茂氏が設計を担当した白亜のモダン建築。五角形が幾重にも重なるデザインの建物は、台南市の樹である鳳凰木の花をモチーフとしている。カフェやミュージアムショップも充実しており、1日じっくり芸術鑑賞が楽しめるスポットだ。

台南市美術館2館

台南市美術館1館(写真/台南市美術館)

Add :1館:台南市中西区南門路37号/2館:台南市中西区忠義路二段1号
Tel:06-221-8881
Open:10:00-18:00、土曜10:00-21:00、月曜休館(祝日の場合は開館)
Ticket:NT$200
Web:tnam.museum


藍晒図文創園区
 

 

旧司法宿舎をリノベーションした文化施設。新光三越に面した西門路側にたつ藍色の廃墟が目印だ。廃墟自体がアート作品で、藍色の壁に描かれた白い線画により、失われた日本家屋の室内の様子が3Dアートとして浮かび上がる仕掛けになっている。

 

 

廃墟後方の宿舎群はリノベーションを経て、MIT(メイド・イン・台湾)のクリエイターズグッズ・ショップやレストラン、カフェなどに生まれ変わっている。敷地内に置かれたオブジェやパブリックエリアのウォールアートがレトロな宿舎群とユニークなコントラストを見せており、写真撮影スポットとしても人気だ。個性的なショップで台南ならではのお土産を探しながら、散策を楽しもう。



Add:台南市南区西門路一段689巷
Open:屋外エリアは24時間開放、店舗営業時間は各店舗による
Web:bcp.culture.tainan.gov.tw



歴史スポット
台南の歴史を語る建物たち

台南孔子廟
 

 

鄭氏政権時代の1665年に建立された台湾最古の孔子廟。清代に学生の学び舎として使用されたことから、「全台首学(台湾の最高学府)」とも呼ばれている。赤煉瓦色の壁に囲まれた敷地には、緑あふれる庭園と15棟の美しい建築物が現存している。

 

 

建物の構成は、南に向かって右側に儒教の開祖・孔子を祀る聖廟、左側に学問所「明倫堂」を置く「左学右廟」様式をとっている。入口の「下馬牌」は、孔子に敬意を表すために馬から降りるように命じた碑文を刻んだ石碑。これは台湾に現存する最古のもので、孔子廟がいかに重視されていたかがうかがえる。国定古跡。


ギフトショップで販売しているユニークな孔子スナック


Add:台南市中西区南門路2号
Open:8:30-17:30
Ticket:庭園:入園無料/大成門内:NT$50


延平郡王祠
 

 

主神として祀られている鄭成功は、17世紀に台湾を占領していたオランダ人を一掃し、台湾に漢人による初の政権を打ち立てた英雄。鄭成功の功績を称え、彼が逝去した1662年に「開山王廟」として最初の廟が創建され、清代の1875年に清朝の大臣・沈葆楨によって中国福州式の廟が新設された。

 

 

この時の祠の建設許可を請う奏請書や、皇帝が建設許可を与えた光緒元年の聖旨、扁額などの遺物は、現在も祠内で見ることができる。日本時代の1896年(明治29年)には「開山神社」と改称されたが、清代に建てられた本殿は残された。第二次世界大戦後は中国風の鉄筋コンクリート建築の廟に建て替えられ、「延平郡王祠」と改名された。敷地内の文物館では明清代を中心とした台南の歴史資料が見学できる。


鄭成功の石像

Add:台南市中西区開山路152号
Open:9:00-17:00、月曜休館
Ticket:参観無料


国立台湾文学館(旧台南州庁)
 

 

建物の前身は1916年(大正5年)に落成した旧台南州庁。日本時代に官公庁を数多く設計した建築家・森山松之助氏の代表作のひとつに数えられる。建物中央に背の高いマンサード屋根、玄関に円柱を配した華麗な西洋風建築は、台南最高の行政機関にふさわしい厳粛な雰囲気も併せ持つ。戦後も1997年まで台南市政府庁舎として使用されていた。

 

 

現在は修復を経て、台湾文学がテーマの文学館として一般公開されている。外来文化の影響を受けながら多元的に成長してきた台湾の文学の収集・保存・整理・研究を行っており、展示室で貴重な文物を展示している。国定古跡。


Add:台南市中西区中正路1号
Tel:06-221-7201
Open:9:00-18:00、月曜休館
Ticket:入館無料
Web:www.nmtl.gov.tw


司法博物館(旧台南地方法院)
 

 

日本時代に設立された台湾総督府法院の地方法院(地方裁判所)。建物の設計は台南州庁と同じ森山松之助氏。1912年(大正元年)の完成後、戦後も2001年に新庁舎に移転するまで地方法院として使用されていた。バロック様式の建物は正面に円柱が並ぶ壮麗なつくり。

 

 

玄関から中に入ると、まずホール上部の優美な曲線を描くドーム屋根に目が惹きつけられる。壁面や円柱の精緻な彫刻、床面の幾何学模様のタイルなど、細部にまで施された装飾も美しい。館内には法廷、拘置所、金庫室、資料室が残っており、建物の見学と写真や資料などの文物を通して台湾における司法の歴史にふれることができる。国定古跡。


Add:台南市中西区府前路一段307号
Tel:06-214-7173
Open:9:00-17:00、月曜休館
Web:facebook.com/districtcourt1912



路地裏散歩
懐かしい古都の風景

府中街
 

 

孔子廟向かいの商店街。入口にたつ石の門「泮宮石坊」は、本来は南門路を挟んだ向かいにある孔子廟の一番外側の門として建てられたが、日本時代に造成された南門路により孔子廟から離され現在の姿となった。レトロな飲食店やカフェ、雑貨店などが立ち並び、散策が楽しい商店街だ。路地の奥まで探検すると、思わぬ掘り出し物にであえるかも。


泮宮石坊

Add:台南市中西区府中街


神農街
 

 

北は台南駅前から続く成功路、南は円環から延びる中正路、東は赤崁楼わきの新美街に囲まれた一角は、「五條港」と呼ばれるエリア。清代には海に続く5本の川があり、新港墘港、佛頭港、南勢港、南河港、安海港の5港周辺が台南の商業の中心として賑わっていた。神農街は五條港地区の中心部にあたる。

 

 

現在は、古い建物が並ぶ路地の風情に惹かれた若いアーティストやオーナーが手掛けるショップやカフェが集まるアートスポットに変身を遂げている。


Add:台南市中西区神農街


信義街
 

 

五條港地区北側の信義街も歴史の面影が色濃く残る路地。西端の「兌悅門」は、清朝に築かれた城郭都市「台南府城」の城門。かつて14か所あった府城の城門のうち、現在も通行できるのはここだけという貴重な歴史遺産だ。

 

 

兌悅門の外にあった水路の面影はすでにないが、城門を中心とした古い街並みが往時の面影を留めている。路地の風景に溶け込むように佇む古民家を改装したレストランやカフェを巡るのも楽しいスポットだ。


Add:台南市中西区信義街



安平の注目スポット
河港の街と最新アート

安平運河
台南市中心部と安平港を結ぶ運河。最初の運河は清代に開通したが、日本時代になると洪水被害や土砂の堆積により再整備の必要が高まった。大正15年(1926年)に完成した現在の運河は、外海と市街地を結び台南の発展を長く支えてきたが、戦後になると安平港の水位の低下などにより貿易港としての機能は衰退。現在は観光利用が主になっている。

 

 

運河沿岸には遊歩道や自転車道が設置されており、自転車に乗って運河沿いの風景を楽しみながら安平老街や漁光島などの観光スポットを巡ることができる。天気が良ければ、遊覧船で水上の旅に出かけても気持ちがいい。


安平運河
Add:台南市中西区、安平区

立驛国際安平遊港遊運河(遊覧船)
Add:台南市安平区安億路(安平漁人碼頭)
Web:facebook.com/anping.yacht.tour


大魚的祝福 Greetings from the Whale
安平港ちかくの港濱歴史公園に2019年に登場した大型インスタレーション。制作は台湾の著名アーティストの楊士毅氏。全長23m、幅10m、高さ8mの巨大なクジラの上半分は3714本のステンレス管を溶接した幾何学模様で覆われており、腹部には448枚のカラフルなステンドグラスで形作られた台湾本島がはめ込まれている。

 

クジラの口の展望台からは安平港が眺められる

 

国際的な評価も高く、2019年の「台湾景観大賞」、2020年の「2020 IESA(米国国際照明デザイン賞)」に続き、2021年にはアメリカの照明デザイン賞「2020 LIT ライティングデザインアワード」を受賞している。


地上から見たステンドグラス

Add:台南市安平区安億路(海濱歴史公園内)
Open:24時間




※掲載情報は取材時のものであり、現在の情報とは異なる場合があります。