街道散策ーー台北の温泉郷「北投」 | 台湾観光のブログ

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台北の温泉郷「北投」
「地元の生活」を体験しよう


企劃構成/朱佳雯
文/朱佳雯‧劉宛昀 写真/宋育玫‧視野創異行銷

「北投」は台北市郊外の「温泉郷」として知られているが、実は現在の台北市内のよりも先に開発されていたと言われている。数百年前にはケタガランと呼ばれる先住民が集落を築き、明代には硫黄採掘の記録があるという。日本時代に入り、温泉保養地として栄え、不朽の名声を歴史に残す。いまも温泉博物館・普濟寺・梅庭といった歴史的建築が残り、独特の風情と暮らしぶりを今に伝えている。早朝、北投市場の二階で朝食をとったら、路地裏を歩いてその情緒を楽しみたい。一年を通じて通いたい湯の里である。

北投文物館
前身は1921年創建の「佳山旅館」。往時北投最高級の温泉旅館だった。現在は文物展示館として再利用されている

北投温泉博物館
前身は北投公衆浴場。1913年の創建で、当時東アジア最大の温泉浴場といわれた

地熱谷
北投温泉の湯元の一つ。泉温は90℃から100℃。常時硫黄煙を巻き上げ、幻想的な景観を醸している

梅庭
1930年に書道家于右任氏の別荘として建造された。現在展示空間・ビジターセンターとして再利用されている

瀧乃湯
1907年前後の創建と言われる北投で現存する最古の浴場。とくに男湯は百年前の体裁を保っている。希少な青硫黄温泉で北投三大名湯の一つ

北投温泉親水公園
北投温泉博物館そば。大人40元。水着着用。場内に四つの温水プールと二つの冷水プールがある

凱達格蘭文化館
当地先住民のケタガランのほか台湾各原住民族の歴史や風俗を紹介している

普濟寺
日本時代の総督府鉄道部職員が寄付を募って1905年に創建。温泉の守り神である湯守観音が祀られている


新旧北投
 北投(ペイトウ)は17世紀以前、「北投社」と呼ばれる先住民の集落があった。「北投」は彼らの地名「Pataw」に漢字を当てたもので、大屯火山に属し硫黄の産出で発展の基礎を築いた。実は「北投」はMRT北投駅周辺の「旧北投」と磺港渓以北の「新北投」に大きく分けられる。ぜひ二つの北投の魅力を探訪したい。


 旧北投地区には、光明路上の町屋・周氏節孝坊・北投穀倉・普濟寺など今も清代・日本時代の建築が数多く残るほか、新市街上の北投市場には伝統の小吃が集結している。淡水線MRT北投駅を出たら、ノスタルジックな路地裏を散策し、市場の小吃にチャレンジしよう。さらに光明路を進めば新北投の温泉街まですぐだ。


 光明路と中山路の中間にある北投公園は住民憩いの場所であるとともに、主要な観光スポットが点在している。そのひとつ北投温泉博物館はもともと入浴施設で、1913年に台北州庁が建造した東アジア最大規模の公衆浴場がその前身だ。台湾でもっと美しい図書館と呼ばれる北投図書館も園内にある。船型の外観をもった木造建築は周囲の自然に溶け込み優美な姿を披露している。温泉博物館にほど近い「梅庭」は書家の于右任の別荘。また北投文物館は日本時代、当地を代表する温泉旅館だった。そして北投温泉のシンボル的存在が地熱谷。90℃から100℃の熱水が硫黄の煙とともに吹き出す景観はまさに幽玄そのものだ。


北投市場
 新市街上の北投市場は今も昔も北投人の台所だ。一階は生鮮品と雑貨を販売し、二階はフードコートとなっている。台湾でもっともうまい「滷肉飯」といわれる「矮仔財」にはいつも長い行列ができ、その中には外国人ツーリストの顔も見える。地元の味に触れるなら北投市場が一番!


 二階にはそのほか「酸菜」入りの「滷肉飯」で著名な「黄家酸菜滷肉飯」がある。甘辛い滷肉にやや酸味のある「酸菜(白菜の漬物)」が加わって、いっそう風味が増すと評判が高い。「白菜滷」「紅焼肉」などの小皿と併せていただきたい。


 またカキ料理で名高い「營養蚵仔」もお薦めの老舗。「營養」の二文字を掲げて30年。「乾蚵」と「蚵仔米粉」が看板メニューだ。さらに豚骨でだしをとる「米粉湯」の屋台もある。看板には「米粉湯(ビーフンスープ)」「炸魚片(魚の素揚げ)」「炸豆腐」と三品が並ぶだけで、店名はない。北投市場の「米粉湯」だけで通る名店なのである。


 二階の食べ歩きが終わったら、一階の高記茶荘で口直し。伝統の手法で淹れられた紅茶・烏龍茶のほか緑茶と烏龍茶を調合した「無憂茶」がお薦め。市場わきの磺港路上には屋台が密集し、なかでも蚵仔煎・花枝羹・蝦仁羹・九份肉圓で有名な「阿宗蚵仔煎」にはぜひ立ち寄りたい。


北投公有市場
Add: 北投区新市街30号


矮仔財
Location: 北投市場一階436号ブース
Open: 7:00-14:00 月曜定休

黄家酸菜滷肉飯
Location: 北投市場一階500号ブース
Open: 6:00-14:00 月曜定休

高記茶莊
Location: 北投市場一階13号ブース
Open: 7:00-22:00

米粉湯
Location: 北投市場二階429号ブース
Open: 7:00-13:00 月曜・木曜定休

營養蚵仔
Location: 北投市場二階398号ブース
Open: 8:00-15:00 月曜定休

阿宗蚵仔煎
Add: 台北市北投区磺港路24号
Open: 11:00-深夜2:00


人気の名店
Beitou Sheme House 拾米屋
穀倉跡を利用したカフェ

 大同街、北投農協そばの「拾米屋」は日本時代の穀倉を利用したカフェ。日本時代、陽明山竹子湖でジャポニカ米の植栽実験がおこなわれていたが、収穫した米は北投に運ばれて処理された。それが「拾米屋」の由来となっている。店内には焙煎室や焼き窯を具え、まさに作りたて、挽き立てのコーヒーやスイーツがいただける仕組み。スイーツはすべて産地直送の旬のフルーツを使い、台湾らしい個性を発揮して、特製コーヒーとの相性もぴったり。お薦めの「鳳梨鹽味磅蛋糕」は自製のパイナップルアイスクリームを使い、ケニア・カリンガコーヒーが一番よくあうとのこと。


Add: 大同街153号1号倉庫
Tel: +886-2-28922800
Open: 13:00-20:00
Web: www.sheme.tw
予約:不可/カード:現金/サービス料:無/チャージ:一人一杯。立ち飲みカウンターはコーヒー半額。満席時:お食事1.5hr以内


CJ Patisserie
フレンチ式烘焙坊


1. 金棗馬卡龍(キンカンマカロン)
2. 焦糖鳳梨瑪德蓮(パイナップルマドレーヌ)
3. 抹茶達克瓦滋(抹茶ダックワーズ)
4. 剝皮辣椒法式月餅(フランス風ピリ辛月餅)
5. 紅茶可那蕾(紅茶カヌレ)

 この業界で十年の経歴を持つChrisとJenniferが創立したフレンチベーカリー。台湾各地のフルーツと食材を組み合わせ、フレンチスタイルの精緻なスイーツを産みだした。手軽にギフトや手土産にできるように大部分のスイーツは可愛いケースに収まっている。日本とフランスでパン作りを学んだChrisは高い質感をもつ菓子を創ろうと台湾各地に食材を求めた。海外からの旅客は絶品スイーツと同時に台湾フルーツも味わうことができる。店内にはフランス風のタルトや季節のフラッペ、フルーツティのほか、十数種のケーキ類が用意されている。

Add: 北投区珠海路22号
Tel: +886-2-28931258
Open: 12:00-21:00月曜定休
Web: www.facebook.com/CJpatisserie


solo singer B&B
北投人の暮らしを体験


 北投温泉路の路地裏に分け入ると半世紀以上の歴史を持つ宿屋が潜んでいる。Solo Singerチームは、こうした「老旅社」を再生させようと、アーチストや郷土史家にデザインを依頼し、半年をかけてリニューアルした。玄関を入ると、六面鏡と大理石の床が旅人を迎えてくれる。古い黒電話・カレンダー・Art-Deco風の照明・鉄枠の窓とともに「賓城旅社」の看板が長い歴史を感じさせる。室内はテレビもないシンプルな佇まい。世界各地から蒐集された骨董家具と北投の歴史を伝える雑誌が落ち着いた旅情を誘う。一階にはキッチン、三階には夕涼みができるベランダが設置されている。徒歩圏内に浴場や個人風呂があるほか、隔壁にsolo singer life caféが併設。朝食は当地の名物「肉羹麺」などがサービスされる。温泉路は、その名の通りかつて旧北投から新北投へと結ぶ温泉街として賑わった。歴史を感じさせる宿で当地の暮らしぶりに触れてみたい。



カフェ




Add: 温泉路21巷7号(温泉路7号から入る)
Tel: +886-2-28918312
Web: thesolosinger.com/jp
備考:歯ブラシなどは自身でご用意ください。