「総統の町」大渓を歩く | 台湾観光のブログ

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桃園県の大渓には蒋介石父子文化公園が設置されており、さらに李登輝元総統の戸籍がまだ大渓に残っていることから、「総統の町」と呼ばれて親しまれており、このたび十大観光町村に入選した。百年の歴史をもつ大渓老街の人気もあって、休日には大勢のツーリストが訪れる。2011年にはミシュランガイドで紹介され、星二つをもらっている。


大渓一日コース 
蒋介石父子を偲ぶ

所要時間:3時間



蒋父子文化園は蒋介石・蒋経国という二人の中華民国総統を記念した公園である。国民政府が大陸から移ってきたとき、蒋介石は桃園角板山に仮の官邸をかまえた。その縁で、当地の慈湖(ツーフー)が永眠の地となった。その実子蒋経国も死去後そばの頭寮に墓をつくった。園内には、頭寮・慈湖陵寝・慈湖彫塑記念公園・大渓芸文之家(旧大渓鎮公会堂跡)・中正公園・角板山別荘・角板山公園が含まれる。


慈湖彫塑記念公園、慈湖陵寝
慈湖駐車場からすでに慈湖彫塑記念公園が望める。小橋をわたると一面の緑地が広がり、そこには百以上の蒋父子の塑像が立ち並ぶ。そのうち最大のものは高雄市から寄贈されたもので、修復を経て移設された。そばの小道をたどると慈湖陵寝(総統永眠の地)に至る。沿路は緑の樹木が生い茂り、山林の美が堪能できる。やがて慈湖が見えてくる。湖水に柳の葉が垂れ白鳥がゆうゆうと泳いでいる。これは蒋介石が愛でていたことから、国軍の担当者がいまもとくべつに飼育しているものである。慈湖陵寝の地は1906年までは炭鉱だったところ。慈湖水門のある場所にはかつて購買部があった。労働者は給与を得たのち、ここで生活用品を買った。現在陵寝は参観が許されている。大渓陵寝はもとは「頭寮別荘」だった。1962年の創建で、総統府資料保管室でもあった。抗戦時期の手稿・電文・日記などの資料が今も保管されている。蒋経国総統が亡くなったあとも遺体はここに安置された。黒瓦の平屋のなかには事務室があり、梅の木や龍柏が植えられ典雅な趣を見せている。

 


角板山別荘
広大な梅園を擁する角板山別荘は復興郷に位置し、敷地六ヘクタール。入口右側に台湾で唯一保存されている日本時代の「樟脳収納所」がある。当時台湾樟脳の生産量は、世界の七割に達し、樟脳王国と呼ばれていた。角板山はクスノキを伐採し、樟脳を生産する一大基地だったのである。軽便鉄道で大漢渓まで運び、台北を経由して全世界に輸出された。2009年に建物を修復して開放された。内部にはクスノキの香りが満ち、香しい。沿路は緑の木陰が続き、涼風が心地よい。路傍には内外から集められた各種彫塑品が並ぶ。思親亭からは渓口台地を望み、視界は広い。往時蒋介石がよくここでよく足を止めたことから、蒋経国氏が思親亭と命名したという。入口に「樟脳収納所」があり、動線に従えば、梅園を経て思親亭に至る。角板山別荘のなかには蒋介石の生前の写真や資料が展示され、片隅の階段を下ると「戦備隧道」へと通じる。全長百メートル、幅四メートル、高さ三メートルの非常用トンネルで、緊急避難と指揮所用として掘削されたものである。

 


大渓陵寝
ここには板橋林家の住宅があった。のちに資料保管室となり、蒋経国はここに祀られた。常時衛兵が配置されている。

桃園県大渓鎮復興路一段1268号(大渓ツーリストセンターそば)
tel:03-3883552
open:08:00-17:00
 

慈湖陵寝
1949年蒋介石は大渓に仮の官邸を建てて過ごしたことから、逝去後ここに祀られた。慈湖のそばにあって建築は典雅。



桃園県大渓鎮復興路一段1097号
tel:03-3883552
open:08:00-17:00
 

慈湖彫塑記念公園
渓流ながれる草地に二人の百以上の巨大な塑像が立ち並ぶ。いずれも著名芸術家が設計したもので、それぞれの個性が出ている。塑像のそばには説明のパネルがたつ。

桃園県大渓鎮復興路一段1097号(慈湖駐車場そば)


角板山別荘
典雅な環境のなか、冬には梅の花が咲く。湖水の生態も豊かで、園内のスポットを巡る遊歩道が設けられている。

桃園県復興郷澤仁村中正路133-1号
tel:角板山管理ステーション03-3821678・風景区管理所03-3946061
open:09:00-17:00、月曜休館
 

思親亭
渓口台地を望む。大漢の渓流が角板山を通るとき、三角形の台地を形成した。角板山公園下の石段・渓口吊橋を経て台地に至る。
 


戦備隧道
地上の道標に沿って下ると、山を刳り貫いた隧道がみえる。玄関口には厚い防弾の鋼門がたち、戦時の緊張が伝わる。沿路の壁面に説明がある。


大渓一日コース 
大渓老街で「牌楼」見学と美食
 
所要時間:4時間


桃園の名所と言えば大渓(ターシー)の老商店街がその筆頭に挙げられる。その範囲は和平路・中山路・中央路に囲まれた一角。清代漢人が大挙大渓に入墾し、当地にいた先住民・タイヤル人たちと接触を開始した。富商林本源の家族が大漢渓を使って木材を運び始め、米・塩などの取引が盛んになり、当地は一つの経済拠点となっていった。


老商店街の家並み
清代末期から日本時代にかけて、大渓は木器・神棚・家具・食品産業が勃興した。街道は日本時代に進められた都市計画によって拡張され、漢人文化と欧米建築が融合する独特の景観をもつようになった。これは「大渓式建築」と呼ばれる。和平老街と中山路のバロック式建築がその代表である。なかでも富商の店舗の玄関に立つ「牌楼」(ゲート)が注目される。例えば、中山路35号の建成商行。当時樟脳や炭鉱業を営んでいた簡阿牛の住所だった。簡阿牛はもともと慈湖陵寝(当時は謙記炭鉱と称する)の土地の所有者でもある。住宅は老街上で最大・最高の「牌楼」を擁する。1920年代の流行に沿って、屋根は弓状に張り出し、両翼に塔がそびえ、そそりたつような三本の柱が勇壮である。珠を連ねた彫刻は算盤を意味している。山壁上には「簡」の字とともにローマ字で「Kensei Shoco、建成商行」と刻まれている。。


和平路26号の永発の「牌楼」には吉祥を意味する「鰲魚」と財富を象徴する三足の「金色蟾蜍」、ならびに子孫繁栄を代表する牡丹の花が彫られている。和平路24号の松茂茶桟上にある月を見上げる獅子の図は故郷を偲ぶ情を表わしているという。金鯉が龍門に跳ねる躍動感のある彫刻も見事だ。いずれも欧化の趨勢を反映したもので、壁面の外観には洗石子という工法が使われている。施工の匠は台湾で廟建築にたずさわった人たちで、「魚」「龍」「松」「鶴」「鳳」といった吉祥の紋様を赤レンガの壁に見事に配している。


懐かしい故郷の小吃
老建築群を鑑賞したら、台湾小吃に挑戦しよう。まずはレンタル自転車をゲットして、文化と美食の旅をスタート。但し休日は歩行者天国になるので注意。老街には多くの美食と玩具の店舗が密集しており、大渓人の暮らしぶりがうかがえる。例えば、大渓名物と言えばまず目に浮かぶのが「豆乾(トウガン)」。大渓は水質がよいことから上質の醤油や豆腐を生んだ。貧しい木工の弟子たちは醤油漬けにした豆腐を乾燥させて山仕事に持参し腹の足しにしたという。そして故郷にそれを土産に持ち帰ったことが大渓豆干の名をとどろかせた。

大渓人はお正月に、お供え物にする地瓜(サツマイモ)餅をまとめ買いして持ち帰る。かつて当地の人はサツマイモを薄く切って蒸し、さらに焼き上げて地瓜餅を作り戦乱や飢饉に備えた。外型が三日月に似ることから月光餅ともいう。現在はサトイモや抹茶味も登場し、ツーリストの人気を集めている。焼き立ては香しく、冷えたあとは弾力が増す。

 


木業盛んなとき、神棚や木器を作る産業が発達した。今も老街上で買い求めることができる。木を使った玩具も盛んにつくられた。いまでも大小の独楽が店頭に並ぶほか、大渓文化祭では大型独楽の実演が披露される。


月眉通道
かつて富商は交通の便が良い月眉に邸宅を構えた。のちに撤去されて街道に変わった。これがいわゆる月眉通道である。現在は牌楼(ゲート)の表面のみが残り、僅かに往時の面影を残す。
 


達文西瓜芸文館
なかなか興味深い玩具屋の一つ。オーナーはかつて豆干を商っていた旧家のため、大渓の歴史に詳しく、店内には布袋戯と呼ばれる人形劇の人形が展示され、実際に動かしてみることができる。独楽彩色DIY課程もある。

桃園県大渓鎮和平路29号
tel:(03)387-3089/0910-910-287
open:09:00-18:00


大渓陳媽媽月光餅
発端は障害をもった子供の糧になればとなればと始めた菓子作りだという。近年当地十大手土産に選定され、休日には行列ができる人気。抹茶・サツマイモ・サトイモの三種から選べる。

桃園県大渓鎮和平路87号
tel:(03)3882451
open:10:00-18:00 
 

大房豆干本舖
当地の老舗ブランド。豆干大王黄家の子孫が経営している。美しいパッケージの桐花ギフトセットには、蛋豆角・烘肉片・御蔵坊豆干丁・拌嘴角など看板商品の詰め合わせ。陶璽甕陳年手工豆腐乳は口のなかでとろけるまろやかさ。毎日手作りされる黒豆干は無添加の健康食品だ。

桃園県大渓鎮中正路46号
tel:(03)388-3457
open:08:00-18:00,休日-18:30


達摩切仔麺
亭主がダルマに似ていることからこの名がある。看板メニューの切仔麺は豚骨と鵞鳥肉を煮込んでスープを仕上げる。秘伝の油豆腐と温泉卵の口当たりの黄金蛋、そして猪嘴辺肉もぜひあわせて注文したい。

桃園県大渓鎮中正路34号
tel:(03)388-4654
open:06:00-14:00,月曜定休
 

解放咖啡館
休日にはライブがある。台湾の歌手が中心。布朗尼などオリジナルのケーキのほか、アイスクリームを挟んだクレープがお勧め。コーヒーもいろいろな種類がそろっている。



桃園大渓鎮復興路26号2階
tel:(03)387-1801
open:11:00-22:00,金・土-23:00,月曜定休


百年油飯
百年の歴史を擁する。かつて嫁は子供を産むまで食べさせてもらえなかったという曰くの逸品。店内で「肉羹」「油飯」「肉捲」は三宝と呼ばれている。油飯は大渓の温体豚肉・雲林濁水渓の円糯米(もち米)・桃園復興郷のシイタケ・宜蘭の蝦米といった材料を香料とともに炒める。化学調味料を使わず、油分と塩分を抑えたヘルシーな名物。



桃園県大渓鎮民権路17号
tel:(03)388-1681
open:11:00-20:00,水曜定休


大渓一日コース
中正公園・大渓橋
 
所要時間:2時間


中正公園を起点に徒歩で大渓橋・武德殿・大渓芸文之家など史跡を巡る。道標があるので迷う心配はない。中正公園は大漢渓に面し、明治時代に大渓神社・忠魂碑(現在の復興亭)・土俵・公会堂(現在の大渓芸文之家)といった施設が設置されたという。園内には多くの石のテーブルが点在するが、椅子はよくみると石灯篭が使われている。大渓神社はいまはないが、往時の神器は健在で大渓のお祭りには顔を見せてくれる。

 

付近の武德殿は1935年(昭和十年)の創建。伝統の社殿造りに欧風の柱がよく調和している。外壁の洗石子と飾り窓の対比も美しい。徒歩二分でかつての公会堂に達する。戦後は蒋介石の別荘となり、現在は「大渓芸文之家」と称される。戦時、武德殿は軍営となった。庭を加えて一千三百坪に達する広大な敷地である。



中正公園の帆船広場から大漢渓と大渓橋が一望できる。平日は半分だが、金曜から日曜まで全面ライトアップされるので絢爛たる夜景が楽しめる。石段を降りると大渓橋。往時この橋は軽便鉄道が走っていたが、戦後三線省道の橋となった。いまも欧風の典雅な趣を呈する。夕暮れ時は、眼下の大漢渓とともに赤く染まってとくに美しい。
 

大渓橋
青い空と白い雲がよくあうが、夜間ライトアップされるとまた格別の華やかさがある。ダムからの放水も見もの。ときに橋上で文化イベントが催される。
桃園県大渓鎮大漢渓上
 


中正公園
木陰がうれしい市民憩いの場所。台湾本島の形をした池や独楽広場が点在する。土木局の基点は台湾でももっとも早期に設置されたもの。老街の起点ともなっている。

桃園県大渓鎮興和里普濟路
 

大渓芸文之家
公会堂と蒋介石別荘を含む。公会堂は現在文芸スペースに生まれ変わっている。傍らの志清亭からは石門ダムが眺望できる。

桃園県大渓鎮興和里普濟路21-3号
tel:(03)388-6461
open:火曜-日曜09:00-21:00,月曜と夜間は要予約 
 

足を延ばせば:

花海農場
かつてはハーブと茶を栽培していたが、いまは農場として開放されている。十数ヘクタールにわたってラベンダーなど四季を通じていろいろな花が咲き綻ぶ。ドラマの撮影に利用されることも多い。牧場では小動物に接したりDIY体験コーナーがある。

桃園県大渓鎮復興路一段1093巷27号
tel:(03)388-0801
open:平日08:30-17:00,休日08:00-17:30
入場:150元


武德殿
中山公園付近にあって、老街からも近い。日本時代は警察官や青年の身体鍛錬の場だった。和風の神殿造りは昔のままだが今は文化センターにリニューアルされている。

桃園県大渓鎮普濟路33号
open:10:00-12:00,13:00-15:00
 

李騰芳古宅
李騰芳の邸宅は1864年の創建。玄関・本堂のほか左右の橫屋の屋根には六対の燕尾翹脊と呼ばれる伝統のしつらえがある。木彫と泥塑、赤レンガと黒瓦、そして白壁などの対比が美しく客家建築の特色がよく出ている。国指定の史跡。

桃園県大渓鎮月眉路15号
open:火曜-金曜09:00-17:00,月曜休館


大渓へのアクセス:
高速鉄道:桃園駅で快速シャトルバス170番に乗車し、中壢市にある桃園客運バスの中壢バスターミナルで下車。観光シャトルバス「台湾好行」慈湖線に乗り換え。または、中壢駅裏から桃園客運バスの5098番に乗り換え、大渓方面へ。新街尾バス停で下車後すぐ。
台湾鉄道:中壢駅で下車後、桃園客運バスの中壢バスターミナルから観光シャトルバス「台湾好行」慈湖線に乗り換え。または、中壢駅裏から桃園客運バスの5098番に乗り換え、大渓方面へ。新街尾バス停で下車後すぐ。

交通情報は変更されることがあります。お出かけ前のご確認を忘れずに。


レンタサイクル:
大渓月眉レンタルセンター 
大渓鎮月眉里月眉105号(月眉活動センター・月眉駐車場内)

大渓橋レンタルセンター
大渓橋そば
open:平日10:00-18:00,休日06:00-22:00