夏のしっぽをつかまえよう 台湾鉄道「花東海岸線」一泊二日の旅 | 台湾観光のブログ

台湾観光のブログ

「台湾観光」は台湾の観光地・文化を始め、
イベントや業界情報まで富んだインフォメーションをお届けしております。

車を駆って台東を出発
東海岸11号公路に沿って
紺碧の太平洋を縁取る海岸線を進む
海を見て、散策し、水と戯れ、奇石を眺める
台湾で最もピュアな景色を目に収めよう
 
旅の途中には
地元の人とおしゃべり
美食を味わい、産物を愛でて
地元の文化を心に刻もう

さあ、しっかり
夏のしっぽをつかまえに行こう!!




DAY 1

AM8:00
列車はゆっくりと台北を離れる。私たちが乗ったのは最速の「自強号」。台湾本島東部の台東まで四時間四十分。一泊二日花東海岸線の旅がいよいよ始まる。花東海岸線は台湾で最もナチュラルな海岸線。東には紺碧の太平洋、西には緑滴る海岸山脈が迫る。台北から列車で台東へ向かい、台東でレンタカーを借りれば、花東海岸線の旅がぐっと気軽になる。


Info:和運租車(レンタカー)
和運租車で前もって予約したのはCamry 2.0。料金は一日3600元。花蓮で返せるのでとっても便利。和運の台東支社は台湾鉄道台東駅の横。駅を出て右折すれば10分ほどで着く。住所:台東県台東市岩湾路101巷610号 電話:089-224-000
 


PM12:40
列車は時間通りに台東着。一つ前の池上駅では有名な池上弁当を買った。駅弁は鉄道の旅の楽しみの一つ。台東の知本や宜蘭の福隆などいくつかの駅では、プラットホームで弁当が売られている。下車しなくても、窓を開けて、または出口まで行けば、作りたての弁当が買える。米どころで知られる池上の米は雪山山脈の清浄な水で育つ。これに排骨(ポークステーキ)、滷蛋(醤油煮卵)、青菜を合わせた弁当は絶品だ。
 


PM1:30
緑島行きの船が出る富岡埠頭を経て、台11線159K位置の小野柳風景区へ。特殊な風貌の地質景観が広がるこの地は、天然の「石彫公園」と呼ばれている。砂岩と泥岩が交互に堆積した地層が、地殻変動と長年にわたる波の浸蝕を受け、ケスト地形、蜂窩岩といった奇景ができ上がった。詳しいことは風景区内のビジターサービスセンターで聞こう。遊歩道をたどり海辺へ向かうなら、ちょろちょろ駆け回る可愛いヤドカリを踏まないよう気をつけよう。
 

PM3:00
ニュートンの原理によれば、重力があるため、リンゴは木から落ち、水は下流へ流れる。けれども、台11線148K位置には、奇観「水往上流(上流へ向かう水)」がある。でもじっくり観察すれば、周りの風景の傾斜が平面より高いための、目の錯覚だと気付くだろう。そうとは言っても、やっぱりおもしろい。


PM3:30
目の錯覚の真理を研究した半時間後には、約二キロ北上して都蘭へ。都蘭は東部海岸の南側で最大の原住民集落。ここの有名スポット、新東製糖工場は日本時代に建てられた。閉鎖後、アートスポットとしてリニューアルされ、愛好者のメッカとなった。今ではコーヒーや木彫が楽しめる空間。「好的,擺」は「好いものしか陳列しない」という意味のアート小物店。店内には原住民の手工芸品が所狭しと並ぶ。籐カゴ、手織みバッグ、皮革バッグなど、どれも独特の風格があり、ほんとうに「好的(いいもの)」だけが「擺(陳列)」されている!


PM4:30
「好的,擺」の店員さんが紹介してくれたお隣さんは、特別な芸術家。先住民の一つアミの巴奈さんは御年80歳。「巴奈達力功坊」を設立し、「樹皮衣」の創作、普及、販売にまい進している。樹皮を剥ぎ、打ち伸ばし、洗浄し、乾燥させるという複雑な手順を経て、硬かった樹皮は柔らかな布状になる。これを用いて衣服や帽子、バッグを作っている。
 

Info:「巴奈達力功坊」では樹皮文化の紹介とDIY教室、伝統のアミ食文化体験教室も開催している。参加希望者は、電話かインターネットで要予約。住所:台東県東河郷都蘭村43鄰445-13号。予約は、電話0988601323か、kikisweets@gmail.comまでE-mailを。


PM5:15
車を北へと走らせる。途中、東河に立ち寄り、東河肉まんを買う。薄い皮の中にジューシーな肉餡がたっぷり。台湾西側の肉まんとはかなり違う。そして、今夜の宿「福樟紅檜木屋度假村」に到着。

PM6:00
ここは山を背に海に面した美しいリゾート。ヤシの木が点在し、のんびりした南洋風情が漂う。紅ヒノキで作られたコテージは木の香りが心地よい。前庭にはイスが二脚あり、ボーっとしたい人には持ってこいだ。

福樟紅檜木屋度假村
Info:電話 : 089-841-639 住所 :台東県成功鎮信義里豊田路27-5号

PM7:30
成功鎮で夕食をとろうと車で二十分走らせる。ここは近海を黒潮が回流するため、漁獲資源が豊富。零下五十 度の急速超低温冷凍技術を持つ「佳浜成功旗魚(カジキ)餐庁」で「招牌旗魚火鍋」、「旗魚サシミ」を食べ、食材の新鮮さが料理のおいしさの決め手だと実感した。最後に、レモンの「曼波魚(マンボー)デザート」を。台湾海鮮料理の裏ワザに感動した夜だった。


PM 11:10
波音を聞きながら、お休みなさぁ~い。



DAY 2

AM4:45
早起きして、三仙台で日の出を見る。面積約22ヘクタールの三仙台は実は三個の巨大な岩石でできていて、三人の神仙がかつてこの島を訪れたとする伝説に因み名づけられた。神仙には関係ないだろうが、1987年に「八拱跨海步橋」ができるまでは、人が三仙台へ行くには干潮を待たなければならなかった。波のようでも龍のようでもあるこの橋は、東海岸を代表するランドマークの一つ。三仙台上には「環島步道」があり、風化と海蝕が形作った天然奇景、林投、白水木といった海岸植物の生態が眺められる。


AM10:00
台11線98K位置の烏石鼻へ。海中に突き出した黒い鼻のような巨岩は、黒色安山岩でできている。大小の潮溜まりと海蝕溝が点在し、潮間帯の生物を観察するには絶好の場所で、釣客にも人気がある。地元住民は多くがアミの人たち。毎年七月の豊年祭前には、干潮時にここでアサリ、ウニなどを拾うという。ほんとに豊かな海なんだ。


 


PM11:00
さらに20キロ進むと八仙洞。そう、長浜文化遺跡に着く。ここは台湾で初めて発見された旧石器時代の遺跡で、国家一級史跡に指定されている。十数個の自然にできた海蝕洞穴は三万年前から五千年前くらいまで先人の生活の場だったが、今ではたくさんの神壇が設けられている。ここの洞穴はもとは海面すれすれだったが、地盤の隆起で、今は高いところで海抜百三十メートルもある。崖伝いに遊歩道を行けば、大自然の技に目を奪われる。



PM13:00
ようやくランチタイム!台11線72.5Kを左折し、「陶甕百合春天餐庁」へ。ここのオーナーはアミのCanglahさん。Canglahとはアミ語で春のことで、陶甕と百合は長女と次女の民族名。店の名前はこんな風にロマンチックで、海に面した景色と特色ある料理にも合っている。食材は季節の海鮮のみ。木彫りの器はCanglahさんの手作りで、料理には美感と創意が融合し、どの料理も強烈な個性を放つ原住民アートのようだ。


Info:「台甕百合春天」の料理は要事前予約。価格は一人800元から。電話:0921633406。


PM15:00
北回帰線が通る台湾は亜熱帯と熱帯が同居し、産物が豊かで気候は快適。北へと北回帰線へ向かおう。台11線69Kには白くそびえる記念碑がある。日が射す位置は季節に応じて巡るが、夏至になると、太陽は白い塔に沿って東から西へと動く。この日には影ができないという珍しい体験ができる!
 


PM16:30
ラフティングの聖地、秀姑巒溪口を過ぎ、最後のスポット、石梯坪へ。台11線64K位置にある、この広大な海岸段丘には海蝕地形が広がる。中でも、甌穴は見逃せない。澄んだ水は青い空と旅人の笑顔を映し出し、ベストショットが狙える。潮溜まりには海藻、魚やエビ、貝類がひしめき、小さな水族館のようだ。

 

Info:台湾鉄道花蓮駅前の和運租車(花蓮駅前事務所)で車を返却。住所:花蓮県花蓮市国聯一路69号。19:45の自強号に乗れば、二時間半で台北に到着。晩夏、本島東部のドライブツアーは無事に終了!