法務局の屋根裏には
ねずみの兄弟が住んでいます。
「しかし、兄ちゃんあれだな」
「なんだよ」
「条文を読むと新しい発見があるな」
「なかなか読むことがないからな。
でも、法律というのは
知ってて当然、守らなかったら
罰せられることもある、
というものだからな」
「でも、実際は知らない法律の方が
ほとんどだよね」
「そうだな、法律の条文を読んだことが
なくても、これはやっちゃダメとか、
これをやると犯罪です、とか
たいていどこかに書いてあるからな」
「でも、法律に従って仕事をしている
者としては、ちゃんと知っておかないと、
ということだね」
「それはもちろん、だね。
根拠をわかっていないと、
お客様から説明を求められても
答えられないからな」
「大変だね、乙号の仕事も」
「ほんとは、法務局の職員が
すべき仕事だと思うんだけど、
どんどん職員の数が
減らされてるからな..」
「じゃ、不動産登記法第121条、
いきますか」
「 何人も、登記官に対し、手数料を
納付して、登記簿の附属書類
(電磁的記録を含む。以下同じ。)
のうち政令で定める図面の全部
又は一部の写し(これらの図面が
電磁的記録に記録されているときは、
当該記録された情報の内容を証明
した書面)の交付を請求することが
できる。 」
「これ、登記簿の附属書類、という
言い回しがわかりにくいけど、
土地所在図、地積測量図、
建物所在図、各階平面図のこと、
でいいんだよね」
「そうだな。
政令で定める図面、と書いてあるから
不動産登記令第21条。
法第121条第1項の政令で定める
図面は、土地所在図、地積測量図、
地役権図面、建物図面及び
各階平面図とする。 」
「あ、地役権図面も入るんだ」
「そうだね。でも、だいたい合ってる」
「じゃ、この条文は、地積測量図
その他の図面についての証明と。
次、第121条第2項」
「 何人も、登記官に対し、手数料を
納付して、登記簿の附属書類
(電磁的記録にあっては、記録
された情報の内容を法務省令で
定める方法により表示したもの)
の閲覧を請求することができる。
ただし、前項の図面以外のものに
ついては、請求人が利害関係を
有する部分に限る。 」
「これはちょっとさっきの条文と違うね」
「そう、第1項は図面の写しの条文
だったけど、第2項は登記簿の
附属書類の閲覧について書いてある」
「登記簿の附属書類って?」
「登記申請をした時の登記申請書
だと思う。図面以外のものについては
利害関係を有する部分に限る、
と書いてあるから」
「なるほど。図面については写しの制度が
あるけど、申請書は閲覧だけだもんね」
「で、第3項は
第119条第3項から第5項までの
規定は、登記簿の附属書類について
準用する。」
「第119条第3項は、手数料の額、
第4項は、納付の方法、
第5項は、証明は他管轄でもできる、
ということだね」
「そういうこと」