「今さらなんだけど」
「うん」
「建物が実際に建っているからと
いって登記があるとは限らないよね」
「当たり前じゃないか」
「いや、世間一般からしたら、
建物が建ってたら登記があると
思うでしょ」
「あ~、確かに、
簡易な建物ならまだしも、
ちゃんとした立派な建物が
建ってたら、絶対登記があるって
思うよね」
「でも、登記がないってことは
よくある」
「あるね」
「登記は申請主義だから
登記申請しないと登記がない。
駅前の大きなビルでも登記してない、
ってこともあるもんね」
「あるね~」
「登記ってなんだろね」
「何度も言うように、お金かな」
「お金?」
「お金」
「どういうこと?」
「お金を借りる必要がなかったら
登記してない可能性がある」
「あ~、抵当権を設定するために
登記をするってことか」
「そう。
現金で支払って建物を建てるので
あれば、抵当権設定の必要がない
から、登記をしないこともある」
「う~ん、それって、不動産登記法から
すると問題があるんじゃない?」
「建物を建てたら1ヶ月以内に
登記を申請しないといけない」
「だよね」
「でも、実際のところ、法務局が
一つ一つの建物を調査して、
登記があるかどうか、
実際の所有者が誰なのかを
確認するのは大変だから、
過料までは難しいん
じゃないかな」
「なるほど。
あと公的な建物も登記がないよね」
「そうだね。
建物の登記にも、
登記申請用の図面を書いたり
お金がかかるから
そこに税金をかけるわけにも
いかないんだろうね」
「なるほどね」
(つづく)