最近、なにやら、たくさんの贈答品がわが家に届くのである。
圧倒的に食品が多い。
宛名は私の名のものもあるのだが、奥さまは私に見せもせず、一人でこそこそニマニマとしているのである。
アヤしい。
ものすごーくアヤしい。
「だれからのお届けもの？」
「あなたには関係ないから、気にしなくていいわよ」
私宛に届けられたものであるにもかかわらず、白状しないのである。
ものすごーーーくアヤしいのである。
奥さまが出かけたので、送られてきたダンボールを漁ってみたのである。送付票の送り主の欄には、全国各地、まったく縁のない市町村の名前があったのである。
これは、日本各地の地方都市が、この私に講演会かなんかをしてもらいたくて、こびへつらっているということであろうか？ でも、なぜ、事務所ではなく、うちの家に送ってくるのであろう？
‥‥まったくヘンな話である。これはきっと、なにか深ーいワケがあるに違いない。
ということで、奥さまを問いつめたのである。
ふだんは私が強い立場でものを言うことなどまずない。むしろ怒られたり、説教されたりする側である。
なにかともの忘れするようになっているもので、先日も息子の引っ越し用のダンボールを持っていくのを忘れて怒られた。頼まれて二つ返事をしていたのであるが、家の外に出てひなたぼっこのネコをなでているうちに、すっかり忘れてクルマを出していたのである。
しばらく運転してそのことに気づき、家に戻ったにもかかわらず、クルマを降りたらうちのネコたちが寄ってきたのでたわむれていた結果、ダンボールのことは忘れてまた出かけてしまった。
奥さまに事情を説明したところ、「ネコのせいにするな！！」と厳しく説教されたのである。
このようなことが日常のわが家であるので、これはめったにできない上から目線でものを言うチャンスではないだろうか？
“千載一遇の機会”というのは、こういうときに使う言葉なのかもしれない。
ということで、厳しく問いつめたところ、奥さまが白状したのである。
『ふるさと納税』をしていたというのである。
うちの奥さまは、当社の経理ならびに社会保険担当であり、私個人の税務申告も丸投げでしてもらっているのである。
よって、どのようにも経理操作ができるのである。
ネット通販でのショッピングが趣味であるうちの奥さまは、どうも、ふるさと納税のことも調べ上げたらしい。
そして、自分の名義のみならず、私の名義まで使い、各地の市町村にふるさと納税し、返礼品と呼ばれるさまざまなものを送ってもらっているようなのである。
先日も返礼品だという豚肉やうなぎがわが家の食卓に並んだ。
たしかに、私もその一部をご馳走になっているのであまり強くは言えない。
「でも、せめて、ひとことあってもいいのではないか？」
「稼ぎの悪いだんなさまから食卓を守る主婦として、背に腹は替えられずしたことでございます。ネコのエサ代や病院代もかかるのに、最近、還暦だとかなにかと理由をつけては、面談カウンセリングの本数を減らそうとしているではありませんか」
下からにらみつけるようにしてそう言われた次第であります。たまに上から目線でもの申した結果、ひどい目に遭ったわけでございます。
しかしながら、ハンパなく送られてくる地方からの物品‥‥。
どのような仕組みになっているのかと気になったのですが、「あなたは知らなくても大丈夫よ」と言われ、そのセリフになんらかの深ーーい事情を感じる今日このごろでございます。
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