「海水サーモセラピー？！ なんや、それ？」
大阪で研修生を務めてくれていたビリーくん。どう見ても“アヤしい外国人”という風体なのだが、本名は村上秀樹くんといい、それはそれはハートの熱い男である。
その彼が、アヤしいボディワークを始めたという。
基本、私は真面目なおじさんである。
キャバクラにも通わず、ギャンブルもせず、お小遣いはただひたすら、温泉とマッサージをはじめとする体のケアに費やしている。
で、私を知るみなさんのほとんどが誤解をなさっていると思う。多くのみなさんは、私が太っていると認識されていることであろう。
じつはこれは“むくみ”なのである。
“コリ”なのである。
つまり、なかなかほぐれないものなのだと考えていただきたい。
だからして、東によいマッサージがあると聞けば訪ね、西に達人の整体師がいると聞けば事務所スタッフに予約をとらせ、とにかく、日々、揉みほぐされているわけなのである。
私は温泉マニアとしてちと有名であるが、じつはボディケアのマニアでもあるわけである。古今東西のマッサージやボディケアはほとんど体験したことがあるといっても過言ではない。
だからして、ビリーが“海水サーモセラピー”なるわけのわからないものを始めたと聞いたときにもすぐに興味をもったのである。
そんなとき、ビリー本人から、「モニターになっていただけないでしょうか？」というメールが来た。
渡りに船。「ぜひぜひ！」ということで、さっそく体験する運びとなった。
ビリー曰く、「平さんのような太‥‥いや、むくんだお体は、2日連続で施術しないと十分にむくみがとれないでしょう」。
ということで、2日連続で体験することとなったのである。
この海水サーモセラピーというのは、温めた海水で蒸しタオルを作り、そのタオルを体に押しつけられるというものである。
不思議なもので、すぐに「アチチチチ！」となる箇所があると思えば、「平さん、熱くないですか？」と聞かれるほどなんともない箇所もある。
どうも、血行が悪かったり、コリがあったりするところには冷えがあり、すぐには熱くはならないらしいのである。が、そんな箇所も蒸しタオルが何枚も替えられていくうちに、急にやってくる。
それまでホカホカと気持ちが良いというレベルだったのが、急に「アヂヂヂヂヂーーッ！！」となるのである。
その瞬間、ビリーがタオルをパッと取ってくれるので、すぐに熱くなくなる。
しかし、たまに、泣きわめいても3秒ほど取ってくれないときもあるのである。
そんなときは、愛を教えている身なれど、殺意をしっかりと感じることができる。まだまだ修行が足りていないようである。
ともあれ、海水サーモセラピーでは、そんなことを何回も繰り返しながら、熱を足元から頭のほうに上げていく。
そして、最後の最後には、頭のてっぺんを熱ーーい蒸しタオルで温められ、魂が天に召されるわけである。
それはもう、見事な魂の抜けっぷりである。
これを2日間やってもらったわけだが、ものすごく体が軽いのである。
それはもう、「20kgほど痩せたか？」とカン違いするほど軽いのである。
体重計にも載ってみた。もちろん、そこには、なに一つ変わらぬ、見慣れた数字が並んでおった。
が、しかし、ほんとうに軽いのである。
お世辞ぬきに言う。
その後、2週間、私はマッサージを受けておりません。
みなさんも縁があれば、一度、体験してみられるとよいと思います。
たまに殺意も感じられます。
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