時間はまもなく午前2時になろうとしていた。
私は女房と二人、心電図の画面を見つめていたのである。
少し前まで120を超えていた心拍数は、どんどん落ちてきて50を切り、30を切るようになってきた。そのあたりから、心電図の波形も乱れてきた。
先生が強心剤を注射すると、心臓はしっかりとした脈拍を取り戻すが、それは10分間ほどしかもたない。
クスリを変えながら10本ほどの強心剤を先生に打ってもらったが、それによって心臓の動きが保たれているだけで、意識が回復することはない。
私の目には、もう魂は肉体にはなく、とっくにお空に帰っていっているように見えていた。それで、先生に頼んだのである。
「これで、最後の注射にしてください」
そして、10分後、生後6カ月の“てんちゃん”は旅立っていったのである。
てんちゃんは、少し前に交通事故に遭った。
だれに似たのか、落ち着きのない子ネコだったがゆえ、走り回っていたときの交通事故であった。
が、しかし、打ちどころがよかったというか、ほかのネコたちが交通事故に遭ったときは、ほとんどが即死であったのにもかかわらず、てんちゃんは股関節の脱臼と内臓の一部破裂程度ですんだのである。
すぐに病院で手術をしてもらい、5日ほど入院し、退院後はうちですこぶる元気に過ごしていたのである。
しかしながら、3日前、激しく嘔吐したという連絡が出張先にあった。そして、女房が病院に連れていき、そのまま入院するハメとなった。
原因は不明なれど、カリウムの値がものすごく減っており、「この状況では、食事をしないでしょう」ということで、点滴治療をするための入院であった。
出張から帰り、病院にてんちゃんのお見舞いに行ってびっくりした。
そのやつれよう‥‥。生きているのがやっとというばかりに肩で息をしている。私の顔を見ても、近づいてもこないのである。
だっこしてなでてあげると、ようやく少しだけグルグルと言いはじめたが、ほんとうに弱っているのである。そして、なでてあげていたら、私の胸に嘔吐した。
「先生、これはどう考えても尋常ではないですね」と訴えたものの、血液検査の数値はそんなに悪くはなかったのである。
そして、女房に「びっくりするほど悪かった」と伝えながら、その夜は村の役員会に出席したのである。
私の村は過疎なので、うちの家をはじめ、携帯電話がなかなかつながらない。役員会をしていると、そこの固定電話にうちから電話がかかってきたのである。
てんちゃんが危篤になり、手術をするかどうかという相談であった。おそらく内臓のどこかが損傷しており、それが原因であろうと推測されたらしい。
それを推測したのは、この動物病院のオーナーであり、名医と評判の大先生である。この病院には獣医さんが8人ほどいるのだが、しかし、この大先生でもっているようなものなのである。
女房から相談を受けたものの、さきほどの面会のときの様子を思えば、手術に耐えられるほどの体力はどう考えても残っていないと思われた(大先生も同意見であった)。
しかし、「少しでも可能性があるなら、なんとかしてやりたい」という女房の希望もあり、いちおう手術してもらうこととなったのである。
開腹してすぐにわかったのであるが、てんちゃんは食道の一部が裂けており、そこから食物が漏れだし、化膿し、炎症を起こしていたのがすべての原因であった。
交通事故後にエコーを撮っていたが、その亀裂は見つけられなかったという。それに関しては、まったくその通りだと思う。このネコの寿命であったのであろう。
根本的な問題は、わが家に棲息しているネコの子どもたちは、すべてが野良ネコの子どもだということである。
ほかのネコに比べ、ものすごく小柄なのである。幼児期に栄養が足りていなかったのか、ほとんどの子の体重が通常の子ネコの半分ほどしかない。
なにかというと病院に連れていってケアしたり、インターフェロン入りの抗生物質を含む目薬を投与したりといろいろしているのであるが、やはり基礎体力というものがないと実感するのである。
そこで、そんな子ネコたちには、髙栄養価のキャットフードなどを与え、なんとか抜本的な解決を図っていきたいなどと考えている今日このごろであります。
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