われわれ人間は、生まれたかぎり、いつか必ず死ぬのが定めである。
この世に在るものに永遠のものは無く、すべてはいずれ滅んでゆく。
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先日、いつものように東京の常宿にチェックインし、荷物を片付け、そして、おもむろにテレビをつけたのである。
まず、テレビのリモコンの、きっと今はだれもさわらないであろう“アナログ”というボタンを押す。すると自動的に1チャンネルとなり、画面は砂嵐になる。
ほとんどの人は、間違って“アナログ”のボタンを押してしまったら、すぐに“デジタル”のボタンを押し、通常のテレビ放送を楽しむであろう。
しかし、じつはこっそり、常連だけがわかるサービスがあるのである‥‥。
この常宿のホテル、有料テレビはついていない。
いや、正しく言うならば、以前はあったのであるが、経営上の致命的なミスにより、今はついていないと言ったほうがよい。
出張族の男性の読者のみなさんならば、有料テレビを観るためには、1,000円のカードを自動販売機で買わねばならないシステムであることはご存じであろう。
この自動販売機が、私の常宿ではフロント横のエレベーターのすぐ脇に設置してあったのである。
よほどの勇者でないかぎり、人の出入りが多く、フロントから丸見えの場所であるために、なかなかカードを買うことができないのである。
したがって、フロントの人が業務に忙しそうにしているときや、フロントまわりに人がいないときを見はからって買おうとするのであるが、機械が古いので、千円札がなかなか入らず、返却されてくることも多かった。
シワを伸ばしたり、裏表を返したりと努力するものの、なかなか千円札を機械は食べてくれないのである。
そんなところでマゴマゴしていると、チェックインする人がいたり、上階からエレベーターで降りてくる人がいたり、フロントの人が気配を察しながらも見て見ぬふりをされているのが感じられたりと、とにかく気が気でないのである。
そして、ようやく千円札が食べられたとしても、カードが出てくるときに「ギギギギ〜〜〜〜!」とものすごい音がするのである。
もちろん、こちらとしても、大きめの鼻唄を歌ってみる、急にむせたような咳をしてみる、「さあ、いよいよ東京だ!」とわけのわからないことを大声でつぶやいてみるなどして音をかき消す努力をするのであるが、ほとんどの場合、より痛々しい結果が待っているのであった。
そんなこんなで、私のみならずほとんどのビジネスマンがこの1階エレベーターホールの機械の前で討ち死にしたようである。
その結果、だれも観ることのできない有料テレビは廃止されたわけなのである。
が、しかし、「平さん、アナログの3チャンネルをつけてみてください。フフフ‥‥」などと常連の客だけはこっそり耳打ちされるのである。そして、指示に従ってみると、なんと、無料で観られるようになっていたのである。
タダだからして、文句は言えない。
文句は言えないのであるが、ひとことだけ言いたい。
今年58歳の私が観て、私より年上の女優さんが出ているアダルトビデオはいかがなものか‥‥。
たしかに、人それぞれ趣味嗜好というものはあるであろう。この宿のオーナー社長の好みなのであろうか‥‥。80歳は軽く超えておられるので、社長にしてみれば、たしかに年下かもしれぬ‥‥。
しかし、それもいかがなものであろうか‥‥、と思いながらも、箸休め程度にたまに若い娘が出ることもあるため、ついつい、チェックしてしまうのである。
ところが、今回、いつものようにテレビをつけ、アナログの3チャンネルを押してみたところ、な、なんと、契約が解除されたもようなのである。
時のうつろいと申しましょうか、また一つ、時代が変わったと申しましょうか‥‥。
かつ消えかつ結びて 久しくとヾまりたるためしなし
『方丈記』より
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