福岡のセミナーには、当社のトレーナーたちがこぞって行きたがる。
福岡メンバーの人柄の良さもさることながら、どこよりも圧倒的にメシがウマいからである。
私が愛してやまないモツ鍋、呼子のイカの刺身、ゴマサバ、ゴマカンパチ、宮崎の地鶏にさつまの黒豚‥‥。
それに、地酒と焼酎のラインナップの豊富なこと、豊富なこと。
「2泊3日で2~3キロは軽く太れます!」
さらに温泉好きなら、セミナーの翌日あたり、九州各地に点在する名湯のいずれかに入りにいくもよし。
「もう、たまりませんねぇ」
よって、だれが福岡セミナーの担当者となるかは、愛を教える会社でありながら殺伐とした雰囲気のもとに発表されるのであります。
もちろん、私とて黙ってはいられない。
社長の権限をできるだけ利用し、へリクツをこねながら、私が担当することの正当性を述べるのである。
「ここは一つ、社長みずからが出向き、士気を上げる必要があるのではないでしょうか? 博多駅前にマルイができたことでもありますし」
「マルイは関係ないと思いまーす」
「黙らっしゃい! マルイといえば、私の体型も丸いではないか! こんなキャラかぶりを見過ごせるもんですかい!」
そして、今回、6月の福岡ワークにやってきたのである。
この日、私は朝から村用で忙しかった。
現在、日本の農家は、“減反政策”と呼ばれているのであるが、米が余りすぎているので、国策により、あまりお米を作ってはいけないことになっているのである。
そして、それぞれの地域に米作りをしない田んぼが割り当てられているのだが、各農家がその言いつけを守っているかどうかを確認しに、この日は朝から田んぼの見回りに行っていたのである。
その後、トマトとイチゴの大がかりな生産工場が近所にできたので、農会としてその視察に行った。水耕栽培と呼ぶのであろうか、いま、トマトとイチゴは土に植えるのではなく、プラントに植え、それを大きな温室のような工場で生産するのが主流になっているのである。
そして、昼の1時過ぎには食事が出るのであるが、今回、視察した7名のうち3名は仕事があるからとそれぞれの会社に帰っていったのである。
さらに、残った4名のうち1名が昨夜からお腹をこわしていて、まったくなにも食べられないという状況であったので、7人前のすき焼きを3名で食べるハメとなった。
わが家は神戸牛の産地のど真ん中に位置する。しかも、きょうは農会の仕事なので、特級の神戸牛のすき焼きが目の前に並んでいるのである。
「準ちゃん、若いから、ガンガンいけるやろ?」
たしかに、きょうの参加メンバーの中では、私はダントツの若さを誇る57歳である。57歳の私に、まるで高校3年生の息子に言うようにすき焼きの肉をすすめるわけである。
「ありがとうございます。いただきます」
高校3年生の男の子のように食べられる私がいるのである。
「ああ、おいしい」
軽く3人前は食べたであろう。
で。
話が長くなったのであるが、このようなランチをすませたあと、私は博多に着き、夜の講座を終え、『モツ鍋24』の濃厚なモツ鍋を夜の9時からたらふく食べたのである。
人によると、「肉はどれだけ食っても太らない」ということだが。私の場合、深呼吸しても太る体質なので、肉を食ってもよく太る。
それも、モツ鍋のギトギトのホルモンは食べるわ、シメのラーメンなんかを「ちょっとだけ」と言いながらついつい食べちゃったりするわなので、それはもう、ものすごいことになるのである。
今回、泊まったお宿が温泉付きのビジネスホテルなので、毎朝、風呂上がりに体重計に乗ってみると、成長の度合いがすぐさま判明する。
ここの体重計は最新式で、“体脂肪率”などという、望んでもいないものの数値までムリやり見せられるので、体重および体脂肪率の上昇とともに気分は下降するばかりなのである。
しかしながら、私は今回のこの福岡セミナーのあとにひそかな野望を企んでおり、こんなことでヘコんでいる場合ではないのである。
フフフ