さて、先週はうちの息子が京都で一人暮らしを始めるという話を書いたが、当の私は生まれてこの方、引っ越しというものをしたことがないのである。
うちの嫁も嫁で、結婚するまでは実家暮らしで、うちの家に嫁に来たときが唯一の引っ越しであった。
引っ越し経験がほぼない夫婦なのである。
去年、うちの娘が東京の大学に入学したときに引っ越しをした。東京と神戸は遠いので、はじめからレオパレスの家具付きのお部屋にしたところ、引っ越しはとてもラクチンであった。
しかし、今回の息子の場合は、当たり前といえば当たり前なのだが、カーテンから電球に至るまですべてを揃えなければならないのである。
しかしながら、大学の生協はすごいのである。
「月々2,000円で冷蔵庫・洗濯機・テレビの3点セットがレンタルできます」というものから「あなたのお部屋に必要なもの、お部屋のサイズに合わせたパックをご用意します」というめんどくさがり屋のわれわれにぴったりのものまで、商品ラインナップが多彩なのである。
「おお、助かる！」
が、しかし、2,000円のレンタルプランには電子レンジが含まれていないではないか。しかも、よく考えてみれば、1年間で24,000円、4年間利用すると10万円近くになるわけである。
「うーん、ローンで家電を買うようなものか‥‥」
ただ、レンタルでなにが助かるかというと、退去時にその家電製品の処分に困らなくてすむことである。
「いまの時代、家電の処分には意外とお金がかかって困るんですよ」と、先週書いた不動産担当のおねえさん同様、生協というイメージにふさわしくないミニスカートのおねえさんに言われると、「そ、そうですか」と説得されやすい私がいるのである
余談であるが、私のイメージで言えば、「生協＝おばちゃん」というかんじである。なのに、なぜ、最近の大学生協には、あのようにツヤツヤとした赤いルージュ
をつけたミニスカートのおねえさんばかりいるのであろう？
‥‥‥‥‥‥。
話を戻すが、有馬温泉近くのわが家からこの京都まで、距離にして80数キロである。一見、遠そうに見えるが、高速道路で結ばれているので、今日なんかは家から大学まで車で1時間15分で着いた。
ということは、軽トラあたりをレンタカーで借り、わが家にあるものを積んで引っ越すのも、たいした苦労はないのではないだろうか。
なにぶん、わが家は無駄なモノがとても多い家である。テレビを録画するレコーダーは4台もある。洗濯機は2台しかないのであるが、掃除機は3台もある。ネコに至っては21匹もいるのである。
そして、電車で通うと遠い京都なのであるが、クルマで通うと意外と近いのである。
とすれば、順調に単位が取れたとするならば、大学の4年生あたりはうちからクルマ通学しても、週1～2回のことなので、いけるのではないだろうか。
とすれば、先ほどの4年契約の家電製品あたりはリスキーなのである。
ほかにも、「生協食堂、どんなにお金がなくたって、ごはんだけは食べられますプラン」もある。
プリペイドカード方式で、先にお金を入れておく。食事にしか使えないので、ほかのことに使い込んだりする心配がなく、しかも、1回に700円分しか使えないので、使いすぎて1カ月の途中でお金が尽きてしまうという心配もない。
「だから、おとうさん、おかあさん、お子さんの食事はこれで大丈夫ですよ！」と親心を刺激するようなプランなのだが、1年の半分ほどがお休みになる大学生活で、1年分の食費を入れる意味はあるのだろうか?
同じく、「お子さまの食生活を支える2食付マンション」などというものもあった。
が、しかし、朝寝坊して朝食は食べないとか、コンパや飲み会などで夕食を食べないことも多い学生には意味のないプランといえそうである。そして、うちの息子がまさにそういうタイプなのである。
というわけで、あれやこれやとさまざまなプランがあるようなのであるが、赤のルージュとミニスカートにまどわされずに、親としての賢明な判断を求められる場面がとてもたくさんあるのである。
賢明な読者のみなさんならば、「では、判断は奥さまに任せたらよいではないか」というご意見もあろう。
返す言葉もないしだいである
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