いつものことながら、出張が多いのである。
俗にいう、「枕が変わると眠れない」タイプなのである。
一見、「いつでも、どこでも、だれとでも、寝られるタイプではないですか?」と思われることが多いのであるが、いつもの枕と、抱き枕と、ネコがいないと安眠できないタイプなのである。
最近、家では、大きいネコと子ネコの2匹態勢で、それはそれは至福の眠りをむさぼっている。
だからして、とくに旅先では、淋しい思いをするのである。
ところで、かねがね思っていたことなのであるが、どうして、ホテルのベッドカバーと掛けぶとんは、あのように固くキツくピッタリと、マットレスに挟まれているのであろう?
眠るとき、みなさんは、これをどうなさっているのだろうか?
あの、固く閉ざされた隙間にむりやり体をめりこませて、まるでサランラップで包装されたがごとくの状態で眠られるのであろうか?
それとも、ピッチシとセットしてあるベッドカバーとふとんをマットレスから引っぱり出して、体にゆるやかに巻きつけたりしながら眠られるのであろうか?
年間、100泊以上の外泊をしている私なのだが、いつも、まずは、あのピッタリとした掛けぶとんとシーツの間にもぐり込む。
そして、もそもそと体勢を入れ替えつつ、あまりの窮屈さに、むりやり掛けぶとんを引っぱったりする。
すると、マットレスの下に固く差し込まれたベッドカバーと掛けぶとんと私の綱引きが始まるのである。
たいがいは私の勝利に終わるのであるが、思いきり引っぱるので、血圧が上がり、眠りにくくなるというペナルティが勝者には与えられる。
また、ベッドメイクをしたのが、ベテランのおばさんだったのであろうか、たまに、この私がである、この綱引きに負けることがあるのである。
どれだけ引っぱっても、外れないのである。
一度、「ビリリッ」という、ベッドカバーか掛けぶとんが破れる音がしたので、綱引きはそこであきらめ、知らん顔して眠ったのである。
むりやり引っぱり出すと、「あなたが引っぱったから、破れたじゃないですか!」と言われると怯えたのである。
だからして、「いいえ、見てのとおり、ベッドメイクされたままではありませんか。私はむりやり引っぱるような人間ではありませんよ」と言えるようにと証拠を固める必要があったのである。
しかしながら、どのホテルも「安らかな睡眠」を謳い文句にしながら、日々、客にこの攻防を味わわせるとは‥‥。
ホテル業界は、いったい、安らかな睡眠というものをどのように考えているのか、問いたい!
その点、温泉旅館ではこのようなことがなく、どデカイふとんが1枚掛けてあるだけなのであるが、それはそれで、また問題なのである。
どのような温泉旅館に行ったとしても、毛布と掛けぶとんというような組み合わせは、まず、ないのである。
なにゆえ、あのどデカイ掛けぶとん一つなのであろう?
私は毛布を体に海苔巻きのように体に巻きつけ、そして、その上に掛けぶとんを掛けて眠るのを好むのである。
そして、毛布と掛けぶとんの間に、ネコが丸まって寝てくれると、完璧な睡眠が約束されたも同然なのである。
話はホテルに戻るが、ほとんどどのホテルで、掛けぶとんはとても薄っぺらい。
私は基本的に、寝るときに暖房・冷房をかけたくないほうなのである。
なぜなら、朝起きたとき、のどがカラカライガイガになるのがいやだからである。
しかしながら、夏は冷房を切って寝たところで、汗だくになって目覚めるぐらいですむのであるが、冬は暖房を切ると、寒くて寝られないのである。
仕方なく、暖房を入れるのであるが、のどを守る対策として、加湿器を借りるようにしているのである。
ところが、この加湿器の良し悪しにより、次の日の朝の状態が変わってきたりする。
最新式の加湿器は、湿度設定までできるようになっていたりするスグレモノなのであるが、昔ながらの加湿器だと、「いちおう、湯気は出しますけど、3時間ほどで枯れはてますよ」というかんじで、あまり効果がない場合もあるのである。
そんな加湿器に当たってしまった暁には、浴室のバスタブに熱いお湯を少しため、その湯気を加湿器のかわりにして眠ったりするのだが、この塩梅がなかなかうまくいかない。
ヘタをすると、湿気が多すぎて、朝、サッシが凍りつき、部屋が氷の世界になってしまったりするのである。
そんな不自由を解消するために、宅急便で自宅から毛布とネコを送ろうかと、真剣に考えている今日このごろなのである。