次男は時々、落ちる・・・
小さい頃は、癇癪持ちで、キレると手を付けられなかったが、それは外、というか、家族以外の人の前ではそうなならない、ということに気付き、ああ、これはキレ芸なんだな、とわかってからは、とりあえず家の中で暴れる分にはいいか、と思うようになった。
年を重ね、キレ芸はあまり見られなくなったが、気持ちの整理というのは、まだまだできないようで、時々、やけになることはあった。
しかし、どの程度の付き合いなのかはよくわからないけど、「友達」は多く、いや、私からみれば、どこかで一度や二度、顔を合わせたくらいなのに、彼は自信満々で、
「友達!」
と、言い切る。
ネットのゲームでたまたまエンカウントした外国の人とか、魚にハマっていた時の知り合いとかも・・・
そういえば、昨年、日本から一緒に遊びにきた青年も、近所のジムで仲良くなった人だったっけ。
まぁ、そんな社交的で、割と何でも器用にこなす彼なので、あまり心配はしていないが、時々、落ちるのだ。
そういえば、以前にも、
「どっかに消えたい・・・」
などと言い出し、何事かと思えば、「人間失格」を読んだ後だった、とか。
つまりは、かなりいろいろと影響されやすいのだと思う・・・
今年に入り、また突然、連絡をしてきて、
「もう仕事、辞める!」
と、言い出した。
何かあったのか、と思ったが、別に特に何もなく・・・
いや、特に何もないことに焦りを感じている様子で・・・
「辞めてどうするの?」
と、聞けば、具体的には何も考えてはおらず、特に何も起こらない日々を繰り返していても、きっとずっとこのまま年老いていくのだろうな、という、「焦り」から、とりあえず仕事を辞めて、変わらぬ日常から抜け出してみよう、というような感じだった。
まぁ・・・
わかるよ。
私もそんな時、あったもんな。
短大を卒業し、就職し、数年・・・
それなりに仕事もおもしろかったけど、同い年の大卒が入って来て、仕事内容は同じなのに、給料は最初から彼らの方が高かったりして、自分が無価値のような気がしたりしていた。
今ならば、大卒の彼らの方が給料が高いことは理解できるけど、当時はまだまだ世の中の仕組みというものがわかっているようわかっていなかったんだな。
どんなに頑張っても、きっと大卒の彼らより上に行くことは、この先ないな。
と、思ったら、何もかもが嫌になり、とりあえず仕事を辞めよう!と、思い、上司に告げたのだが・・・
一部上場のそれなり会社に勤めていた私であったが、何と、専務に呼び出された。
たまたま、専務は、私が新入社員で入社した時に、部長として、私の所属する部署の上司だったために面識はあった。
とはいえ、それほどの絡みはなかった、ように思っていたのだが・・・
緊張しながらも専務室に出向き、辞めたい理由を問われたが、特にこれといった理由があるわけでもないので、つらつらと結局は愚痴を吐き出していた。
今回の次男のように。
結局、専務は、辞めることを許可してはくれなかった。
(あ、決して、ブラックのような感じではなく、ね。)
その時、何を言われたのかは、もう覚えていないけど、それでも、会社の重役が私のような末端の一社員を引き留めてくれる、ということに感動したんだよね・・・
で、それからは、他人と比べることは馬鹿らしくなって、自分は自分の納得する仕事をしよう、と思うようになって、仕事より、プライベートを充実することにしたら、なぜか仕事もうまくいくようになって、割と出世もした。
で、そんなことをしているうちに、趣味の延長、というか、いろんな国に行ってみたくなったんだけど、その時には、会社では、それなりの立場にいて、そんなに長い休みが取れなくなっていてね・・・
とりあえず、一旦、会社を辞めて、行ってみたいと思った国、全部、回ってみよう、なんて思ったわけ。
で、上司にその旨を伝えたら、また本社に呼ばれてね。
以前、引き留めてくれた専務だった方は、その時には、社長になられていたんだけど、素直に言ったよ、辞めたい理由を。
行ってみたい国、全部、回ってくるって。
そしたら、社長は、ちゃんとやりたいことがはっきりしているなら、私が言うことはない、と、笑顔で送り出してくれた。
まぁ、それで、回ってみたい国を回っている途中のぽっかり空いた時間に、別に行ってみたい国でも何でもなかったフィリピンのセブに居ついてしまった、というね・・・
そんな過去がある私だけに、この時の次男の心情はわかったし、やけになっていて見切り発進をしてもどうなんだ?ということで、
「とりあえずさ、日本、出てみれば?」
と、言ってみた。
息子たちは、英語が話せるのに、フィリピンと日本しか行ったことがなく・・・
私的には、そんな強力なアドバンテージがあるにも関わらず、何ともったいことよ、と、常々、思っていたわけで・・・
ちょうど、アメリカに嫁いだ叔母さんの息子や、アメリカ在住の小学校時代のクラスメイトに、遊びにおいで、と、誘われていたそうで、アメリカに旅をすることになった。
一か月以上の予定で、夫は、仕事が~、と、ブツブツ文句を言っていたけど、そんなの気にせず行っておいで、と、送り出したのが、2月末のこと。
で、今週、無事に帰ってきた。
「世界は広かった!」
と、思い通りのリアクションをしてくれたのだが・・・
アメリカの叔母さんの息子は、衣類やおもちゃ、雑貨などを販売する店をやっているのだが、なぜか店番までこなしていた、と・・・
そこで、ポケモンカードのトレードもしていたそうで・・・
すっかりポケモンカードを集めることにハマってしまった。
(ポケモンカードそのものではなく、価値の上がるもの、という資産的な意味合いで)
嬉しそうに、彼のコレクションを見せてくれて、これは、絶対に値が上がる、とか、意気揚々と話をしてくれた。
「また、来年も行くから、仕事、頑張る!」
「・・・うん、まぁ、ほどほどにね・・・」
これまでにも、投資や転売など、私にしてみれば、危なっかしいことをして、自分の給料をかなり溶かしているので、ちょっと、いや、かなり心配ではあるものの、今のところ、他人に迷惑をかけるようなことをしていないので黙認しているのだが、またへんな方向に行ってしまった感じ・・・
まぁ、それもすぐに冷めるだろうが。
ところで、奴が帰ってくる数日前に、
「アメリカで何か買って来てほしいものはある?」
と、メッセージが着た。
いや、買って来てくれたとしても、それ、どうやって渡すつもりよ?
ヤツが、今度、セブに戻ってくるのは、一体、いつになるのかもわからないのに?
と、不思議に思ったし、特にほしいものもなかったので、
「特にないよ。」
と、返信しておいたのだが・・・
今週初めに、いきなり、アメリカの叔母さんがやって来た。
次男から預かった、というチョコと、ブラウスを持って・・・
へ?
帰ってくるなんて、全く知らなかったよ。
なるほど、そういうことだったのか・・・
と、納得したが、それならそうと一言、言ってくれれば、ビーフジャーキーでも頼んだのにな。
なんて思わなくもなかったよ・・・
私としては、堅実に生きていってほしいところだが、まぁ、彼の人生だしね。
金持ちになることを夢見ている次男の道のりは、遠いような気がする・・・
頑張って。