マイニング日和

マイニング日和

仮想通貨をまったりマイニングしているサラリーマンのきまぐれ日記。

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何回かイーサリアム(ETH)のマイニング報酬が7月には今のレートとの比較で半分ぐらいにまで悪化しそう、競争が激化したらもっと減るかも、という話をしました。

 

私の理解が正確でないところもあると思いますが、お読みいただいたら、なぜ海外のマイナー達が大騒ぎしていて4月1日にデモのような活動をしようとしていたかお判りいただけたのではないでしょうか。

それで今どういうことになっているかというと、ここ数日の間で若干動きがありまして、7月に実装される予定の「送金手数料をマイニング報酬から減らそう」提案、EIP-1559というのに対して、Youtuberでマイナーでもあるマイケルカーターという人(チャンネル名はBits Be Trippin’)が、「だったら移行措置としてブロック基本報酬を2ETHから3ETHに増額して、四半期ごとに0.25ETHずつ減らしていくっていうのはどう?」という代案、EIP-3368というのを提案しました。

これが認められれば、ベース報酬が当初は1.5倍になり、今まで通りとはいきませんが劇的に悪化させずにゆるやかにマイニング報酬が減るというレベルに落ち着けることができます。

たとえばこれを書いているのは2021年の3月20日ですが、昨日(過去24時間)の1ブロックの報酬は取引手数料分を含め、およそ3.8ETHでした(基本報酬2ETH + 手数料1.8ETH)。これが3ETHになる、と考えれば現在のおよそ75%くらいの報酬が最初の3か月は担保される、という考えです。

 

こういう話をマイナーでない人が見ると「なんでマイナーはそんなに報酬額にこだわるんだ、がめついやつらだな」と思われるかもしれません。

ETHのマイニングに参加するマイナーのハッシュレートは昨年の夏ごろDeFiが盛り上がって取引の数が増えたころから上昇しています。取引が増えたことにより処理にパワーがいるようになったこと、報酬が増えたのでメリットを感じて参加するマイナーが増えたこと、需要と供給のバランスが取れた結果と言えると思います。

ここで7月から急に報酬が半分になったとします。現在はETHがマイニング報酬の面ではほかのコインと比べてダントツでマイニング報酬が高いのですが、半減となるとさすがにほかのコインと同じか下回ってくるでしょう(使っているグラボの得意不得意なアルゴリズムによる)。そうするとETHのマイニングに参加するマイナーが減ってしまうことが予想され、最悪の場合悪意があるマイナーの集団が全ハッシュレートの過半数をひとまとめにして虚偽の取引を正しいものとして承認したりすることが可能になってしまう、いわゆる51%攻撃が今よりかなりやりやすくなってしまう、というセキュリティリスクが増大するというのがEIP-1559に反対したり、EIP-3368を提案したマイナーたちの主張です。

(私個人的には半減でもまだ参加するマイナーは電気代の安い国に残って、51%攻撃が容易になるようなことはないんじゃないかと思いますが)

 

どうも今のところEIP-3368は順調ではなさそうですが、こうした提案を受けて4月1日に1つのプールに51%以上のハッシュパワーを集めるという脅迫めいたデモを企画していたマイナー(Youtuberでもあります)は、その企画を取りやめにしよう、と言い出しました。

仮に4月1日の51%企画が成功していた場合、そのまま51%アタックまで実施はしないにしても、ETHは51%攻撃が可能な脆弱性がある、という証拠になって短期の価格には悪い影響があったでしょうから、これ以上開発者やETHコミュニティとマイナーの溝が深くなるような事が回避されたのであればよかったと思います。

もうすこし事の成り行きを見守る必要がありそうですね。

さて、では7月に予定されている大型アップデートが適用されると、具体的にETHのマイニング報酬がどのくらい変わるのか確認してみましょう。

 

ETHマイニング報酬(1MH/sあたりのUSD価格)

このグラフは過去1年のハッシュレート1MH/sあたりのETHのマイニング報酬の推移です。

こちらのサイトからスクショさせていただきました。

ご覧になるとわかる通り、昨年8-9月ごろに一度山があり、一回レートが下がった後今年に入ってから急増して、2月末に一度下がりましたが現在は再び盛り返しています。

縦軸は1MH/sあたりの報酬のUSD価格ですが、実際は報酬はETHで支払われていますので、ETHの価格が上昇した年末から2月までで大きく伸びているのがわかります。

横軸は期間でこのグラフでは1年間で出力しているので、グラフの一番右は今からちょうど1年前ごろ。1MH/sあたりおよそ0.009USDで、つまり日本円にして1円程度しか報酬がなかったということです。

現在消費電力に対してハッシュレートの効率(ワットあたりのパフォーマンス、いわゆるワッパ)がよいグラボの場合、目安としてだいたい1MH/sあたり2wくらいの電力を消費します。2wの電力というのは1日の電気代でいうと1kWh = 28円の場合でおよそ1.3円/日。つまり、電気代に対して完全に赤字のレートとなります(日本の電気代では、という意味です。念のため)。

このレートは1年後の現在とくらべて1/10以下です。なぜこんなに差があるのか?一つの理由は報酬の通貨であるETHの価格がまったく違うからです。これを書いている3月19日現在、1ETH = 19万5千円前後の価格で取引されていますが、1年前はおよそ1万3千円程度。ほぼ15倍の差がありました。

収益性が悪かった1年前と、格段に収益性がよい現在とではマイニングをしているマイナーの数、投入されているグラボの数が段違いに増えていて同じハッシュレートで獲得できるETHの基本量はむしろ減っているのですが、USDや日本円に換算した際の価値が15倍も違えばドル建て、円建ての収益は向上するわけです。

つぎに見ていただきたいのが同じサイトの別のデータのグラフです。

 

ETHマイニング報酬にしめる送金手数料(fee)の割合

さきほどのグラフとくらべて、昨年8-9月の山が今年に入ってからの山よりすこし高くなったりしていますが山や谷のある時期は一致しているのがわかると思います。

ひとつ前のエントリでETHのマイニング報酬は今年7月予定の変更で変更され、送金手数料がマイナーに支払われなくなる、という説明をしました。

ETHのマイニング報酬は、ブロック報酬と呼ばれる1つの計算のかたまり(ブロック)を処理するのに貢献したマイナー全員に分配される定額の報酬と、それに上乗せされる送金手数料とで成り立っています。

ブロック報酬が基本給だとすると、送金手数料は早く・たくさんの計算をしてほしい送金依頼者からのチップのようなものです。このチップに相当する報酬の大部分がマイナーに支払われなくなる、というのがアップデートの基本的な内容でした。

そこで問題なのが、たとえば3月19日現在1MH/sあたりおおよそ11円くらいのマイニング報酬のうちどのくらいがこのチップに相当するのかというと、このグラフをみるとほぼ50%に達しているのがわかります。

つまり、今日のETH価格のまま、いますぐアップデートが実行された場合、マイニング報酬は現在の約11円/MH/sから、だいたい6円/MH/s程度までほぼ半減してしまうと予想されます。

2つのグラフを合わせてみると、USDを日本円にざっくり換算して以下のようになっています。

・2020年3月18日は総額約1円/MH/sで、手数料分を除くとおよそ0.95円前後

・2021年1月1日は総額約5円/MH/sで、手数料分を除くとおよそ3.7円前後

・2021年3月17日は総額約12.5円/MH/sで、手数料分を除くとおよそ6.3円前後

2020年3月18日はだいたい1ETH =1万3千円くらい、2021年1月1日におよそ7万7千円くらいで現在はだいたい19万5千円ですから、送金手数料のブーストを除いてもETHの価格が上昇した分だけ報酬はよくなっているのですが、よく見ると2020年3月18日は報酬 / ETH価格はだいたい13,000分の1くらいだったものが、2021年1月1日は20,800分の1前後、3月17日は31,000分の1あたりまで比率が減少しています。

1つのブロックの計算を処理した際の報酬総額は固定のはずなのに、なぜ実際の報酬が減っているのか?答えはマイニングをする人が増え、また1人が導入しているグラボの数が増え、マイナー同士の競争が激化しているからです。つまり、1人当たりの取り分が少なくなってきているのです。

 

ETHマイニング総ハッシュレート推移

このグラフは上に書いたタイトル通り、ETHのマイニングに参加しているすべてのマイナーの(あるいはグラボの)ハッシュレートの合計の推移です。

ご覧の通り1年前は低い水準で推移していたのが、昨年の8-9月ごろにDeFiというETH特有の取引が注目を集めたことから取引量が増え、手数料増加に伴うマイニング報酬の上昇がマイナーの流入を促した結果が見て取れます。その後いったん上昇ペースは鈍化しましたが、昨年末から今年の年明けにかけて値動きが激しくなったことに伴い、報酬のドル・円建ての利益が増えたことと、取引量そのものが増えたことの相乗効果でマイニング報酬が急上昇し、あわせてマイナーの数が右肩上がりで増えてきている、という状態になっています。

もし、ETH価格が現在の水準のままだったと仮定して、このままマイナーの数、グラボの数が増え続けていった場合、しばらくは現在のマイニング報酬(1MH/sあたり10から13円程度)がゆるやかに下降する程度で推移すると思いますが、さらに取引手数料が報酬から除かれるアップデートが入った場合はどうなるか?

今日時点で手数料を除いてすでに1MH/sあたり6.3円程度のマイニング報酬はさらに悪くなる、ということになります。

もちろん、たとえばマイニング報酬がETH建てで半分になったとしても、ETHの価値が日本円建てで2倍になれば今までと同じ利益率が確保できます。が、それを織り込んで投資するのはさすがに非現実的でしょう。私は実際の取引手数料が激減するわけではなさそうなこのアップデートでそこまでETHの価値が上がるとは思えません。

あるいは、労力に対して得られる報酬が減ることでマイナーの一部がETHマイニングから撤退し、同じハッシュレートで得られるETH報酬が増えることはあり得ます。しかし、この場合先に撤退するのは電気代が高額な国や地域に住んでいるマイナー、すなわち日本のマイナー達でしょう。

 

ここでは送金手数料は7月以降マイニング報酬には一切回らなくなった場合、の金額で試算しました。実際はたとえば今の半分ぐらいは報酬に残るのかもしれません(そのあたりを詳しく説明している情報がどうにも見つかりませんでした)。ですが、ETHのデベロッパー達がこの変更についてtwitterなどで語っているときの内容を見ると、「送金手数料を釣り上げるマイナー、あるいはアタッカー」と言っていたり、「この変更が今導入されていたら1日で市場に新規発行されるETHがこれだけ焼却される(流通されず消滅する=その分ホルダーの手元のETHの価値が上がる)」という事を誇らしげに語っていたりと、どうにもマイナーに手数料が渡ってその分のETHが市場に売り出されるのを快く思っていないのは明白かと思います。あまり期待しない方がよさそうだ、7月以降はいきなり電気代を利益が下回るとまではいかないまでも、いまとは全く違う収益構造になる、と思っておいた方がよいと私は思っています。

どうも、「今から始めても手遅れだ、やめておけおじさん」です。

巷ではRTX3060のマイニング性能リミッターがnvidiaのミスで解除されてしまった、と話題になっていますがみなさまいかがお過ごしでしょうか。

先日から「現在の価格であたらしくグラボを買ってもETHのマイニング報酬が下がるまでには初期費用を回収できない」という話をしています。

その後いろいろと状況が変わってきていて、最初にこのテーマで記事を書き始めたときはハッシュレート1MH/sあたり10円のマイニング報酬、というのは「いまのところそのぐらいだが、今後も続くと思わない方がいい」というレベルでした。しかし、この数日は価格の変動があったため売買も活発になり、これにともなって送金手数料が上昇したことからマイニング報酬が1日平均で1MH/sあたり12から13円くらいに上昇しています。

比較的安く、はやめにグラボを入手できた人は以前の記事よりすこし早く回収が期待できるかもしれません。もっともその記事より現在のグラボ価格相場がずいぶん上がっているようなので、難しいとところですが…。

 

さて、今日のテーマは7月に予定されているイーサリアムの取引手数料のルール変更でマイニング報酬はどのくらい減るのか?です。

おさらいしますと2021年7月にイーサリアムの大型アップデートが予定されており、そこではこれまで取引の内容をブロックチェーン上で検証するマイナーに支払われていたETHの取引手数料(英語でfeeと呼ばれています)を、今後マイナーには支払わなくする、というものです。

自分でもこの仕組みは理解しきれていませんが、時々言われている「これにより取引手数料が安くなる」というのはどうも誤解のようで、今までのように取引が増えると手数料は上昇するが、単にそれがマイナーに支払われなくなるだけ、と思ってよいようです。

これだけ聞くと「なんのためにそんなマイナーへの嫌がらせのようなことをするの?」と思いますが、賛成派の動機としては「世の中に流通するETHが手数料の新規発行分だけ減少するのでデフレ効果ですでに流通している分のETHの価値が上がる」というもの、もうひとつは「現在の取引手数料は早く送金したい人がより多く手数料を払うことができるが、この仕組みをマイナーが悪用して手数料を釣り上げている。これを抑制することですこし手数料は安くなる(はず)」というものです。

一応後者は「価格操作をしていた証拠がある」んだそうですが、その真偽は置いておいて、この変更で実際どのくらい報酬が減るかが気になるところです。

 

ここ数回長文ポストをしすぎた気がしているので、実際にいくらぐらい減りそうなのかについてはつづき(その2)で考察します。