ええそれでは、これよりアルジの制作した武器の説明をします。合わせて決戦までにしておくことも言うからよく聞け。皆ノートに書いておくのを忘れるな!
さあ助手のアルジ、あれを持ってきなさい。そして出来上がったものがこちらになります。特殊弾使用『リボルバー』だ。回転式拳銃というやつだな。グリップ(持つ部分)から何からエーテルを含んだ硬質な素材で出来ている。これで使う弾丸が、今回の主役である。
電波はリボルバーの弾倉(弾を込める部分)から二つ、弾を外した。
さてリロード(再装填)。弾丸を新しいやつに変えるための方式は、スイングアウト(弾倉振出式)を採用している。こうやって弾倉を左にカシャッてすると、弾丸の詰め替えができるんだ。お前ら右利きだろ?!隊員は顔を見合わせた。んだ。ケイティが答えた。ならいい。弾丸には『メモリーキューブ』という物が入っていて、例えば俺なら『弾丸を電気に変える』感じで自分のエネルギーを思いっ切り込めるんだ。そうすると内蔵されたメモリーが、俺の『エーテルを電気に変化させる能力』を記憶してしまう。
悲しいことに。次にここを見ろ。グリップにメーターが二つ付いてるな?20ってかいてありますね。20発撃てるってことさ。ちなみに俺以外の奴は一回全力でパワー込めて満タンにするのは難しいと思うよ。せいぜい頑張ってくれ。
シラタキは電波の持ってる空っぽの銃弾を握り締めるとエネルギーを込めた。5発分。ほがああら!!弾丸の色が変わったのがわかるだろう。最初は灰色だったが、俺のは青、シラタキのは緑になった。二本あるメーターも青と緑に変化している。何の弾を何回撃てるかを知ることができるというわけだ。一つの弾丸につき20回撃てる!
このリボルバーがあれば威力は一定になりますが、誰でも電波さんの電撃や、ハゲさんの風の力を使うことができます。アルジが得意気な顔をして発言した。お前は黙ってろよ。(出しゃばった結果がこうだ)
皆さん!弾倉に注目!このリボルバーは本当なら6連装で、弾丸が6個入るように作られています。がしかし。電波が弾倉を引っくり返した。2個しかとれないだと?!!ハゲよ、何故だかわかるか。
それが僕にはわかりません。弾倉の内部に仕掛けがあって、△←三角を描くようにエネルギーが伝わるようになっている。つまり二つの銃弾を上下に込めることでそこを頂点とし、六芒星になるというわけだい。
俺の電撃とシラタキの重力場を交互に20回ずつ使用可能。攻撃の隙を少なくするための計らいだって。Lです。はからいとはなんぞや。辞書引け!!ばかたれ!!喧嘩するなら出てけ。タコヨ、タコヨリ!お前はどっちの味方だ!
さて、何か質問ある人いますかー。弾倉から外れない弾丸は、どうなってるんでじょうが。テイティ、それは気合いです。眠ってる時は落ちます。成る程です。はい質問が他になければ次の展開が待ってるよ。
Lです。自分とムササビは銃をもてません。それについてはアルジから。えっ?!急に表舞台に立てた。シーズー専用の手袋を改造し、シガーヘッドさんの火を吐く能力をプラス。それだけではありません。ドッグパワー、跳躍力の強化!すべては我輩の開発したメモリーキューブが可能にした。てぶくろじゃねぇか。気に入らないなら使うな。素手で戦え。
ありがとな!えるさんが嬉しそうで何よりです。んでシガーヘッドには重要な役をやってもらうから武器無し!シガーヘッドは驚いた。戦闘にも参加してもらうから安心しろ。今回の戦いでは全員がバトルメンバーだ。シガーは低く飛んで旋回すると、着地した。
決戦までに弾丸を『250個』制作。これはアルジと話し合って決めた。リボルバーは5挺あり、弾丸も攻撃用、防御用と5種類必要。六日目は作戦の最終確認と身体を休める日にするから、五日間で一人当たり弾丸50個!わかったか!みんな大変だがエネルギーを込めるこの五人はもっと大変。ふはは!
この際だから当日のフォーメーションと、作戦名『ワイスバスターズ』を説明してしまおう!
ホワイトボードを見よ。これがさっき師匠が描いたヘタな箱。
まず俺とハゲと師匠がオフェンス。箱を通って、異世界に向かう。この三人は銃を持たない。本当は5挺あるリボルバーを全部俺が装備したかったんだが、諦める。戦力を考えるとこうするしかない。あ!境界と箱が出現したと同時に、ケイティにしてもらいたいことが。んだ?氷の壁で箱の周りを囲ってもらいたい。出来るだけ広く。どれぐらいだ。戦闘するのに十分と思えるレベル。まがせとけぇい。やつらを庭園がら出さねぇためだな。その通り。
そうして囲われた空間をテイティのお力で!ダメージを負ってるワイスなら僕の能力で小さくできるどす。ありがとうございます。断られたらどうしようかと思いました。作戦が破綻するし。次にミッドフィルダー!える、シラタキ、ウィンドリット。お前らはとにかく扉から出てくるワイスを倒す。テイティは能力の使用で集中しなくちゃならねぇから、危なかったら助けるんだぞ。Lです。まかせとけって。
完全に倒されたワイスは記憶を失い、異世界に戻る。電波はそのことを隊員に言えなかった。最後に防御の要のー、ディフェンダー!の前にゴールキーパー。シガーヘッド、お前は虫取り少年になるんだ。この瓶の中に小さくなったワイスを詰め込む!これは本当に重要な任務だ。瓶に入ると更正するようになってる。機動力があり、器用なお前にしか出来ない。頑張れよ。そしてお待たせしましたディフェンダー!
アルジ、タコヨリ、ケイティ、テイティの四人!ヒット&アウェイが基本戦法。中衛の三人の後方を守りつつ、シガーヘッドやテイティのことも気に掛けなくてはならない。お前らは視野が広いからね期待してるぞー!以上、簡単ですが作戦会議を終わります。
…あれ何か質問は?
誰の能力を弾に込めるのかを言ってないですよ!電波さん!やべ。俺、ハゲ、シラタキ、タコヨリ、ケイティあとシラタキ。オレが二人いる!この五人が弾丸を制作します。受け取ったら散らばってよし。弾丸の名前と、使い方などは明日の発表会までに考えておくように!何時だ?朝の10時くらい。腹が減った。
ばか弟子と、はげ弟子は残ってくれ。なんだよ師匠。煮詰まって。あらたまってだろ。大広間には三人だけになった。
アルジ君から話は聞いたか。聞いた。そんなの気にすんなって言っておいた。おい、なんのことかさっぱりだ。昔話をしよう。師匠は静かに語り始めた。
彼は長い間研究をしてたんじゃ。境界を回避できる物質の研究を。そして一つの疑問に辿り着いた。生物と物質が境界の力を避けられないのは解っている。それでは『生物か物質か判別できない』ものならどうなるか。
異世界に住まうアルジ君にとって、人間の世界はとても魅力的に見えたそうだ。
はげ弟子よ、お前は向こう側に行ったことがあるだろう。そしてこちらに帰ってきた。なのになんで縮小されてないか説明しなされ。いや知りませんよ。彼の仮説だが、人間は何らかの『抑止の力』に常に耐えながら生きているのではないかと。境界に耐性があるということか。戦闘能力は異世界の住人に劣り、エーテルも持ってはいない。じゃがその特性故、少しでも人間の情報が欲しいという探究者は数多く存在した。
そして恐らくただ一人、遮断物質を完成させ、人間界へ移住したのがアルジ君なんじゃ。凄いじゃねぇか。異世界の奴らは何でそんなにこっちに関心があるんだ?別の世界の存在を知りながらも、手を出すことが容易ではない。鍵の無い宝箱を目の前にしたような気分だったんじゃろうよ。
二人は珍しく真面目に話を聞いていた。あ?ということは。ハゲやっとわかったか。研究資料を異世界に置いてくるなんてヘマはしなかった。アルジが以前住んでいた場所に踏み入り、消したデータを復元した奴がいる。そうして変換装置の作製法を知ったということさ。そういうことじゃのう。
しかし技術までは盗めなかった。装置を完成させるまでに随分と時間が掛かったみたいじゃな。
探究所を破壊しておけば、こんなことにはならなかったと言ってた。あいつのは好奇心だ。悪いことするために装置を使ったりしない。だが王とか言う奴は違う。こっちで何かするつもり、ですね。
アルジ君は人間界で安全に探究をするために城を建設し、亡者に守護させた。ワイスに追われていたらしい。
そして城を突破できる人間を待っていた。
『城を崩す者達。彼らは異世界に対抗するための鍵となる。』
なんだそれ。ランクSのエーテル物質、『氷の預言書』に記された一文じゃ。
この預言書に己の名前を書き込むと、その者にとってこの先で最も重要になることが浮かび上がる。覚えておいて損はないぞ的な?…まあそういうことだ。知ってるとは思うが、アルジ君は○○○才で、長生きをしておる。ずっと前に一度だけ、預言書の持ち主に頼み込んで使わせてもらったらしい。ほしかったでしょうねぇ。だよなー。電波とハゲは笑った。
そういえばさ、許されざる剣の本来の力ってどんなん。それを訊いてしまうのか!!訊きますけど!?異世界で五本の指に入るエーテル物質。それは大昔から歴史に登場しており、有名であることは間違いない。しかし見つけるのは非常に困難だった。どれが『それ』であるかを判別できなかったからじゃ。
ランクSのエーテル物質は、剣、ペン、書、車、計。あ?
剣(許されざる剣)、書(氷の預言書)、羽根ペン、車輪、時計。それぞれがその姿をしていることがわかっているだけで、感じ取れるエーテルは『無』であり、他の普通の物質と何も変わらんのじゃ。
お前よくみつけたな!うるせーハゲ!!きっと運が良かったんだ。
一説には『力が宿る』とされている。
そのため異世界では鍛冶屋だとか、羽根ペン、車輪の職人がわんさかいる。
よくある使い手を選ぶというのもあったかもしれんが、定かではない。収集家が持っていたという話も聞いたことがないな(言わないだけかもしれないが)
今のところ所在が解っているのは剣のみ。剣として許されない程の、恐るべき力。
な、なにが出来るんでしょうか。知らん。ばかが勝負しろ!!いい加減にしろ!向こうに行けばわかるんじゃから、そんなに興奮しなさんな。引っ張るだけ引っ張って答えの無いクイズが。でんぱ落ち着けよ。
けどそんなに凄い力をつかえたら、持ち主は有名になるんじゃないですか?
それは持つ者の使い方によるじゃろう。氷の預言書は預言の能力しかわかっておらん。他の物質も、広く知られているのは力の一端だけだ。
師匠は深く息をすると、何かを決意した顔で再び語り始めた。
…40年程前、異世界では二つの勢力が覇権を争っていた。王と、それを打ち倒そうと目論む者達じゃ。王は強き者を求めた。争いの最中聞こえてきたのは、雷を使うワイスの噂だ。
そいつは王と、王に反逆する者達の両方から勧誘を受けていた。
世界には『相克』というものがある。
火←→水 風←→土
火は水を蒸発させるが、水は火を消す。風は土を吹き飛ばすが、堅き土は風を防ぐ。
とてつもなく稀に『人間界の現象がワイスになる』ことがあるんじゃ。
彼らは現象の種類と同じ数だけしか存在しない。この意味がわかるか?火を扱えるのも、水を扱えるのも、世界で一人だけってことか。その通り。(あれシガーヘッドって)
雷は『相克の関係を外れた力』なのじゃよ。明確な弱点が無い。戦う上で雷のワイスは相当な戦力になる。だがそのワイスは覇権争いなどに係わりたくなかった。逃げ続けたんだ。
勧誘に向かった者は返り討ち。そうやって降りかかる火の粉を払っていれば、否が応でも有名になるというもの。気が付けば奴の隣には風のワイスが付き添っておったそうな。
いつしかその風貌から『雷のワイスナイト』などと呼ばれるようになり、防御に特化した力を持つ風のワイスと組んだことで、更に手がつけられなくなった。
覇権がどうこう騒いでいるのは『人間のワイス』
奴らのことだ、異世界のいざこざが片付けば、いずれは人間界へ侵攻するに違いない。こいつらは気に入らん。だから我らは人間界に付く。そういう結論になった。ちょっと待て。やっぱり気付いたか。
お前がその雷のワイスナイトかよ!!ええまあ。なんてこった。ハゲは転んだ。
異世界の牙が人間界に及ぶ時までに、奴らに対抗できる者を育てておく。それが儂と妻の企みじゃ。企みじゃ。じゃねぇよ!!なんで黙ってた。言うにはまだ早いと思ったからのうメリークリスマス!ぼけー!!すてきなプレゼントじゃないですか。電波の眉はメトロノームみたいに動いていた。ピタ。あ!とまった。
続きがあるんだろ。話せ!そうカッカしなさんな。
わしには二人の息子が居た。息子達二人に『風と雷』の力を受け継いでもらうためには、家族全員が揃っていてはならない。現象のワイスはそれぞれの世界に一人しか現れないからな。
考えに考えた末、能力を発現するまでの間、儂が気の強い弟の方と暮らし、妻が気の弱い兄と暮らすこととなった。
人間のサイズなら、風の衣を纏えば境界に触れずに進むことが出来る。本当なら儂が異世界側に残りたかったんじゃが、妻は危なくなったらすぐにそっちに行けるから、と言い、儂を人間界に送った。
これが間違いだった。ほんの数年、離れるだけだと思っておった。気弱な上の息子に雷の力が発現して間もなく、我が子は斬られた。
『許されざる剣』によって。
その時の剣の所有者が、儂の息子だったんじゃ。自分で自分を斬った、わけないよな。うむ。剣を奪われて、斬られたのだ。現象のワイスを倒した者は新たにその力の使い手となる。
剣と能力の両方を奪い、逃げおおせた者。これが、現在の王じゃ。
待て待て待て!待てー!分かり易く説明してやるよばか弟子!
その時代の王が自分の子に『許されざる剣』を探せと命じていたんだ。剣を手にした者なら、誰でも雷を操れると思っていたのだろう。確かに許されざる剣を使えば、雷を操ることができる。しかしそれには相応のエーテルが必要だ。
仲間にならないなら同等の力を手に入れる。浅はかな考えじゃな。
その剣は『雷のワイス』が持った時に真価を発揮すると聞いておった。あの時は半信半疑だったが、我が子を剣が導いたと考えれば合点がいく。恐らく奴も、この儂も、剣の求める所有者ではないのだ。
どうやって儂の子を雷の使い手と見極め、剣と能力を奪ったのかは分からん。
奴は剣を王、つまり父親に献上した。しかし使える者がいなかったため、真贋を見定めることすらできんかった。王様は、ばかですね?はげ弟子の言う通りじゃわい。
剣は宝殿に納められた。奴の目的は父親の信頼を得ることであり、剣のことは二の次だった。戦いを恐れる弱気な男を演じたのだろう。平穏に過ごす振りをして、ひたすらに牙を研いだ。
時代が進み、王座を奪うに足る力、その力に従う者、すべてが万端整った。
そして奴は本性を現し、王を地に墜としたというわけだ。
あのさぁ。なんじゃ。俺は、ワイスなのか?いんや人間だ。正真正銘、人間だ。では何故エーテルを持っているんでしょうか。当然の疑問だのう。お前は儂の子に会ったことがあるぞ。
……ジゲか?!!おーいもっとわからなくなったぞー。何が、なんだ、おい!
わしの妻は完全に倒されたワイスを封じ込め、魂を『エーテルの情報』に変化させる特殊な筒を持っていた。息子が倒された時、記憶を失い土に還る前に、その筒に封じたのじゃ。
苦肉の策というやつだ。出来れば使いたくはなかった。エーテルのじょうほうとはなんぞや。
『雷を使う能力』を封じ込めたと言えば解りやすいかの。
でもその力は王の子にうばわれたんじゃなかったっけ。はげ弟子よ、雷の力を使うためには多大なエーテルと、変化させるための方法、感覚が必要なんじゃ。確かに奴は雷を扱える器になったが、使い方が留守であったため、相当苦労したはずじゃ。
電気を操るために必要な『エネルギーだけしか手に入らなかった』ってことだな。そういうことじゃ。
魂は自分を倒した者の肉体を経由し、使い方とエーテルを与えてから地に還る。もしものことを考えて備えておいたんだが。師匠は言葉を詰まらせた。
儂は妻に危険が及ばないようにと風の力を放棄させ、同じく風の力を持つもう一人の息子を育てた。
14歳になった頃、あやつは反抗期真っ盛り。気の合う仲間を集め、エーテルの満ちた地に赴いては凶暴なワイスと戦ったり、不可解な現象の真相を追ったりしておった。でんぱそっくりだな。うむ。しかし我が子、ルカの持つ風の力は、攻撃には向いていない。守りの力、援護に長けた力なんじゃ。
ルカは儂の忠告を無視して、仲間と共に深き森にあるという骨の城に挑んだ。
奴は帰ってこなかった。
アルジ君を責めることはできん。あれは止められなかった儂の責任じゃ。
…それからの十年間、儂は弟子をとりながら、『雷の力』を与えるに足る者を探した。そしてお前に出会った。
入門したての頃は不真面目で、人の話を聞かない生意気な坊主(これは今もだな)だったが、修行によってエーテルの片鱗を見せるところまで成長した。
気付くとお前の隣にもう一人、目に留まる者がいてな。僕のことか。
ふはは!やっと見つけた。強くそう思ったものだ。
お前達二人が19の頃、儂は異世界と人間界を行き来できる身体になっており、向こう側の情勢を調べるようになったんじゃ。異世界では先刻話した王が勝利し、一時の安寧が訪れていた。
何故これほど詳しく過去と現在の王のことを知ることができたか、ばか弟子ならわかるだろう。
『密偵(スパイ)』か。奴の配下に儂の仲間がいる。密偵というか、忍者に近いなアレは。ちなみにそやつは『土のワイス』だったりします。
そんで頃合いを見計らっておめぇに雷の力と!それを使うために必要なエーテルを託したんじゃああ!!だからお前全然電気使わないのか。使えねーんだよばか。エーテルが少ないからな!省エネだね。黙れ。
しかし予想外じゃよ。こんなのが全盛期の儂を凌ぐ雷の使い手になるとか。意味がわからねぇよ。師匠は納得がいかないようだった。
力を得たお前は調子に乗り、はげ弟子と二人でどこかに行きやがった。しかしそれは儂の思い描いていた結末。間違った道には進まない。そう確信しておった。
後は『その時』が来るまで、静かに待てば良い。
骨の城が崩れたことでルカの魂が解放されてな。儂の所に来たんじゃよ。
風の力をはげ弟子にあげてくれと頼まれた。不器用な奴なりに考えて出した答えなんだろう。
気が付けばお前の周りには沢山の仲間が居た。修行する暇はないぞ。皆を頼れ、ばか弟子。
電波は立ち上がると、二階へ続く階段まで歩いた。
じじい!!なんじゃあ?!明日は10時集合です!お菓子を持参するように!お断りします!
翌日。
俺の弾丸の名前は『サンダードードー』!!電撃を使えるんだぞ。凄いだろ!次シラタキ!どんなものでもこの円で『踏み潰し』!!重力場で敵をサンド。はい次、タコヨリ!
『トラベルショット』例えば、時計目掛けて走ってたのに当たると風車が見えるみたいな。進んできた方向と逆に進むというわけか。ほほう。次ケイティ。
『ごおりめろ』もう一回。『げありみた』誰か通訳。『氷メロン』氷の球体を敵に向かってドカドカ撃つ。ケイティ普通に話せるんじゃん。最後ハゲ!『トントップー』!!以上で発表会を終わります!
「劔」
ある晩のこと。師匠は庭園の付近にある沼地の傍らで、不気味な光を見た。目測で高さ8メー
トルから9メートル。…遂に来たか。次の日、彼は電波に電界執行部の全隊員を集めるように
告げた。電波はそれをクリスマスパーティだと勘違いし、そういう触れ込み(事前にする宣伝)
で皆を集めた。当然だが大広間に来た者は、誰もが美味しい食事やケーキが用意されている
と思っており、いつも置いてあるテーブルしか目に入らなかった時、あれ?という感じの空気が
部屋中に流れたそうな。夜の7時。ちゃんと全員集まってくれたみたいじゃな。ばか弟子が手を
挙げているが、無視します。師匠は電波がこれまで見たことのない険しい顔をしている。…お主
らは人間界とは別に、もう一つ世界があることを知っているな?知っているも何も、ここにいる者
の殆どが、元々は異世界の住人です。アルジが発言した。そうじゃ。で、お前さんはどうやって
こっちに来た。空間がゆがんでいる場所を偶然見つけて、そこに飛び込み。『境界線』だ。この
世界と向こうの世界を分かつ場所。それは大気にエーテルが満ちた地に出現しやすい。そして
この境界線が現れる時には必ず兆候、前触れがあるんじゃ。小麦粉が結晶化してたけど沼地
でね。おい!不思議なことが起こるのは大気中のエーテルが原因。なにしろこちらに存在しな
いエネルギーじゃからのう。アルジお前。すいません電波さん。我輩はそれを知った上で庭園
をここに建設しました。師匠と友達か?答えなさい。(すごい怒ってる)弟子よ、こいつを許して
やってくれ。いぬころでんぱをおさえるんだ!何もしないってば!どけばか!我輩の罪滅ぼし
です。あ?…こちらに住む者を人、人間というように、あちら側の住人にも呼び名があるんじゃ。
ちょっと待てよ。なんでお前そんな向こう側に詳。黙って聞け。やだ。ワイルド・ソーサー。通称
『ワイス』と呼ばれておる。野性の皿?生物が進化の過程で失った野性的な力、凶暴性、それ
らが流れ込む世界。異世界とはそういう場所なんじゃ。人間に出来ることは限られている。能
力の制限。それが向こうには無いのだ。つまりその、受け皿となる世界が無かったら、人間に
もタコヨリやイエティ兄弟の様な力を発現する奴が出てくるかも、しれないってことか。察しが良
いな。当たり前じゃん。そんで罪滅ぼしって。…シラタキ、タコヨリ、シガーヘッド、イエティ兄弟
アルジ。お主らは同族と戦うことができるか。どういう意味だ?眠そうなタコヨリが目を開いた。
アザラシやイエティのワイスが相手でも、戦うことができるのかということじゃ。…しばし沈黙
した後でシラタキが腕を振り回し立ち上がった。オレは物心ついた時からこっちに居たからな。
急に自分がワイスだとか言われても、実感がなぁ。なあ?んだな。悪さするならイエティどが
がんけいねぇ。成敗するど。そうだろテイティ。どちらかと言えば僕らは人間に近い気がする。
どうするか決めるのは私達じゃない。タコヨリが電波の方を見た。隊長は電波だ。お前の決定
に我々は従う。師匠、何が起こるのか教えろ。言っておくが内容次第ではお断りします。ほほ
う。いいんじゃな?解決したら何かくれ。わかった。知っての通り、ワイスは人間界に来ると小
さくなってしまうわけだが、それは物質も例外ではないのじゃよ。生物に物質、どちらもエーテ
ルの満ちた地に何十年も留まることで、元の大きさに戻れる。おい初耳だぞ!!うさぎ連れて
こい。…虹蛇の件はアルジ君から聞いた。そしてハッキリしたことがある。探索隊から彼が貰い
受けた虹蛇の角は『一部』だった。恐らくそこに蛇の精神体が入り込んだわけなんだが。あった
んです。なにが?あのあと我輩は探索隊の人に、本当に何気なく訊いてみたんです。角はこれ
で全部ですかと。答えは否、大部分が別の場所に保管されておった。これは次の事実を意味し
ている。境界による縮小を『回避できる物質』に、ワイスを変化させる技術が異世界には存在す
るということだ。多くのエーテルを持つ者以外は、境界を通ると消滅してしまう。こちらに来れる
のは、ある程度の強さを備えた者達だけ。しかしその者達も、境界を通れば縮小されてしまう。
ここからが本題だ。師匠はホワイトボードを持ってきた。そしてマジックペンで何か四角形な。
箱、じゃ。箱だ?!×8 恐らくは弟子の持つ剣を狙う王の仕業だろうが、ワイスをその境界
遮断物質に変化させ、どんな生物でも通れば『縮小されずに』人間界に行ける、扉付きの箱
を作ってるんじゃ。虹蛇で実験したのだろう。あれだけ大きな角がそのままのサイズでこちら
に来たということは、変換装置が完成していると見てまず間違いない。箱を作り終えたら後は
押すだけだ。それがこっち来たら様々なワイスが走ってくるということか。ハゲこれやばいね。
なんとかする?しましょうか。ばか弟子に身分を隠してたのは、異世界の偵察を邪魔されると
思ったからじゃ!電波以外の全員が笑った。何かにつけて呼ばれていたんでは、目的達成の
直前で諦めなくてはならなくなるだろうが。そうだね。てめぇ勝負しろ。昨晩わしは沼地の辺り
で光を見た。あと七日。七日後には箱が押され始める。出現位置を特定されているなど、奴等
は思いもしないだろう。箱が押されるの待たないでこっちから壊しに行けばいいんじゃねぇの?
それができないからこの作戦なんじゃ。箱の硬度は凄まじい。お前の電撃でも絶対に破壊でき
ん。じゃあどうするんだい。こちら側からでは、無理じゃ。しかし異世界側からなら可能。向こうに
行けばお前の体内にある『許されざる剣』が、本来の力を取り戻す。だったら壊しに行こうぜ!!
電波はワクワクしていた。おめぇえなぁ、ちょっと静かにしとけや。師匠は鬼の形相だった。では
質問じゃ。はげ弟子、お前は自分の凄く大切な宝物がある場所を弱いワイスに守らせておくか?
いいえちがいます。そうじゃろう。こっちに来る者来ない者、全部のワイスが箱付近に控えている。
そんなとこに突撃したって、囲まれて飛ぶだけだろう。わかるな?境界が出現すれば、箱の中を
走る者と、装置を守る者に分散するはずじゃ。ワイスを物質に変換する装置と、境界を遮断する
箱の両方を破壊。これがお前達にしてもらいたいことだ。成る程ねー。弟子よ、これは総力戦じゃ
激しい戦いになる。誰一人傷付かずに終わることは、叶わぬかもしれん。電波は隊員達を見た。
一人一人の顔を見た。そして立ち上がると、ボードの前までゆっくりと歩いた。みんな多分これは
俺一人じゃ無理。手をかせ!このやろう!!!!広間は大騒ぎ。じじいどけ俺が作戦考えるから
奴らと戦うためには武器が要る。アルジ何か無い?取っておきがあります。よし!罪滅ぼしって
なんなんだよ!!終劇。おはよう。どうして王は許されざる剣にそこまで固執するのかとか、その
へんは次回ということで。反省は後。取り敢えず完成まで突っ走る。今日も寒い。一日頑張ろう!
「君という花」
トルから9メートル。…遂に来たか。次の日、彼は電波に電界執行部の全隊員を集めるように
告げた。電波はそれをクリスマスパーティだと勘違いし、そういう触れ込み(事前にする宣伝)
で皆を集めた。当然だが大広間に来た者は、誰もが美味しい食事やケーキが用意されている
と思っており、いつも置いてあるテーブルしか目に入らなかった時、あれ?という感じの空気が
部屋中に流れたそうな。夜の7時。ちゃんと全員集まってくれたみたいじゃな。ばか弟子が手を
挙げているが、無視します。師匠は電波がこれまで見たことのない険しい顔をしている。…お主
らは人間界とは別に、もう一つ世界があることを知っているな?知っているも何も、ここにいる者
の殆どが、元々は異世界の住人です。アルジが発言した。そうじゃ。で、お前さんはどうやって
こっちに来た。空間がゆがんでいる場所を偶然見つけて、そこに飛び込み。『境界線』だ。この
世界と向こうの世界を分かつ場所。それは大気にエーテルが満ちた地に出現しやすい。そして
この境界線が現れる時には必ず兆候、前触れがあるんじゃ。小麦粉が結晶化してたけど沼地
でね。おい!不思議なことが起こるのは大気中のエーテルが原因。なにしろこちらに存在しな
いエネルギーじゃからのう。アルジお前。すいません電波さん。我輩はそれを知った上で庭園
をここに建設しました。師匠と友達か?答えなさい。(すごい怒ってる)弟子よ、こいつを許して
やってくれ。いぬころでんぱをおさえるんだ!何もしないってば!どけばか!我輩の罪滅ぼし
です。あ?…こちらに住む者を人、人間というように、あちら側の住人にも呼び名があるんじゃ。
ちょっと待てよ。なんでお前そんな向こう側に詳。黙って聞け。やだ。ワイルド・ソーサー。通称
『ワイス』と呼ばれておる。野性の皿?生物が進化の過程で失った野性的な力、凶暴性、それ
らが流れ込む世界。異世界とはそういう場所なんじゃ。人間に出来ることは限られている。能
力の制限。それが向こうには無いのだ。つまりその、受け皿となる世界が無かったら、人間に
もタコヨリやイエティ兄弟の様な力を発現する奴が出てくるかも、しれないってことか。察しが良
いな。当たり前じゃん。そんで罪滅ぼしって。…シラタキ、タコヨリ、シガーヘッド、イエティ兄弟
アルジ。お主らは同族と戦うことができるか。どういう意味だ?眠そうなタコヨリが目を開いた。
アザラシやイエティのワイスが相手でも、戦うことができるのかということじゃ。…しばし沈黙
した後でシラタキが腕を振り回し立ち上がった。オレは物心ついた時からこっちに居たからな。
急に自分がワイスだとか言われても、実感がなぁ。なあ?んだな。悪さするならイエティどが
がんけいねぇ。成敗するど。そうだろテイティ。どちらかと言えば僕らは人間に近い気がする。
どうするか決めるのは私達じゃない。タコヨリが電波の方を見た。隊長は電波だ。お前の決定
に我々は従う。師匠、何が起こるのか教えろ。言っておくが内容次第ではお断りします。ほほ
う。いいんじゃな?解決したら何かくれ。わかった。知っての通り、ワイスは人間界に来ると小
さくなってしまうわけだが、それは物質も例外ではないのじゃよ。生物に物質、どちらもエーテ
ルの満ちた地に何十年も留まることで、元の大きさに戻れる。おい初耳だぞ!!うさぎ連れて
こい。…虹蛇の件はアルジ君から聞いた。そしてハッキリしたことがある。探索隊から彼が貰い
受けた虹蛇の角は『一部』だった。恐らくそこに蛇の精神体が入り込んだわけなんだが。あった
んです。なにが?あのあと我輩は探索隊の人に、本当に何気なく訊いてみたんです。角はこれ
で全部ですかと。答えは否、大部分が別の場所に保管されておった。これは次の事実を意味し
ている。境界による縮小を『回避できる物質』に、ワイスを変化させる技術が異世界には存在す
るということだ。多くのエーテルを持つ者以外は、境界を通ると消滅してしまう。こちらに来れる
のは、ある程度の強さを備えた者達だけ。しかしその者達も、境界を通れば縮小されてしまう。
ここからが本題だ。師匠はホワイトボードを持ってきた。そしてマジックペンで何か四角形な。
箱、じゃ。箱だ?!×8 恐らくは弟子の持つ剣を狙う王の仕業だろうが、ワイスをその境界
遮断物質に変化させ、どんな生物でも通れば『縮小されずに』人間界に行ける、扉付きの箱
を作ってるんじゃ。虹蛇で実験したのだろう。あれだけ大きな角がそのままのサイズでこちら
に来たということは、変換装置が完成していると見てまず間違いない。箱を作り終えたら後は
押すだけだ。それがこっち来たら様々なワイスが走ってくるということか。ハゲこれやばいね。
なんとかする?しましょうか。ばか弟子に身分を隠してたのは、異世界の偵察を邪魔されると
思ったからじゃ!電波以外の全員が笑った。何かにつけて呼ばれていたんでは、目的達成の
直前で諦めなくてはならなくなるだろうが。そうだね。てめぇ勝負しろ。昨晩わしは沼地の辺り
で光を見た。あと七日。七日後には箱が押され始める。出現位置を特定されているなど、奴等
は思いもしないだろう。箱が押されるの待たないでこっちから壊しに行けばいいんじゃねぇの?
それができないからこの作戦なんじゃ。箱の硬度は凄まじい。お前の電撃でも絶対に破壊でき
ん。じゃあどうするんだい。こちら側からでは、無理じゃ。しかし異世界側からなら可能。向こうに
行けばお前の体内にある『許されざる剣』が、本来の力を取り戻す。だったら壊しに行こうぜ!!
電波はワクワクしていた。おめぇえなぁ、ちょっと静かにしとけや。師匠は鬼の形相だった。では
質問じゃ。はげ弟子、お前は自分の凄く大切な宝物がある場所を弱いワイスに守らせておくか?
いいえちがいます。そうじゃろう。こっちに来る者来ない者、全部のワイスが箱付近に控えている。
そんなとこに突撃したって、囲まれて飛ぶだけだろう。わかるな?境界が出現すれば、箱の中を
走る者と、装置を守る者に分散するはずじゃ。ワイスを物質に変換する装置と、境界を遮断する
箱の両方を破壊。これがお前達にしてもらいたいことだ。成る程ねー。弟子よ、これは総力戦じゃ
激しい戦いになる。誰一人傷付かずに終わることは、叶わぬかもしれん。電波は隊員達を見た。
一人一人の顔を見た。そして立ち上がると、ボードの前までゆっくりと歩いた。みんな多分これは
俺一人じゃ無理。手をかせ!このやろう!!!!広間は大騒ぎ。じじいどけ俺が作戦考えるから
奴らと戦うためには武器が要る。アルジ何か無い?取っておきがあります。よし!罪滅ぼしって
なんなんだよ!!終劇。おはよう。どうして王は許されざる剣にそこまで固執するのかとか、その
へんは次回ということで。反省は後。取り敢えず完成まで突っ走る。今日も寒い。一日頑張ろう!
「君という花」
『逃げるなドーナッツ』
ドーナッツは皿に盛られた。そして少し崩れて、小さくて見えにくいけど勇気がなくなった。

他は全部残ってる。でも勇気がなくなった。
勇む力がないドーナッツ。
勇気はあるけど小粒過ぎてどうしようもないドーナッツ。
必死に戻るように説得するが、小粒ドーナッツは俺一人で充分だとか言い始める。
そこに人が集まってきた。
小粒ドーナッツは彼らにとって獲物としては不十分であるため、標的にならない。
しかし勝負を挑んでくる。
受け流しても受け流しても、果敢に挑んでくる。
人々は大きなドーナッツをどうやって仕留めるか話し合った。
勇気のあるドーナッツは、自分だけではこいつらを倒せないと悟る。
戻ることを決意した。
けれど自分から突き放しておいて、今更どんな形状で戻ればいいんだ。
見えない場所から、そっと帰ろう。塔の最上階へ。
ドーナッツが左を見ている時、小粒は塔の梯子を急いで降りた。
…長すぎやしないか?
そう、ドーナッツは梯子を降りる小粒ドーナッツを見てしまったのだ。
左を見続けてくれて、ありがとうお前ら。
俺が戻ったら、皆で勇気のある撤退をしよう。
力が戻ったドーナッツは怒り爆発。
人々を残さず追い払ったとさ。おわり。
ドーナッツは皿に盛られた。そして少し崩れて、小さくて見えにくいけど勇気がなくなった。

他は全部残ってる。でも勇気がなくなった。
勇む力がないドーナッツ。
勇気はあるけど小粒過ぎてどうしようもないドーナッツ。
必死に戻るように説得するが、小粒ドーナッツは俺一人で充分だとか言い始める。
そこに人が集まってきた。
小粒ドーナッツは彼らにとって獲物としては不十分であるため、標的にならない。
しかし勝負を挑んでくる。
受け流しても受け流しても、果敢に挑んでくる。
人々は大きなドーナッツをどうやって仕留めるか話し合った。
勇気のあるドーナッツは、自分だけではこいつらを倒せないと悟る。
戻ることを決意した。
けれど自分から突き放しておいて、今更どんな形状で戻ればいいんだ。
見えない場所から、そっと帰ろう。塔の最上階へ。
ドーナッツが左を見ている時、小粒は塔の梯子を急いで降りた。
…長すぎやしないか?
そう、ドーナッツは梯子を降りる小粒ドーナッツを見てしまったのだ。
左を見続けてくれて、ありがとうお前ら。
俺が戻ったら、皆で勇気のある撤退をしよう。
力が戻ったドーナッツは怒り爆発。
人々を残さず追い払ったとさ。おわり。