深緑の森-小さな箱庭- -6ページ目

深緑の森-小さな箱庭-

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庭園の大広間。いつものこの場所で、もうすぐ作戦会議が始まる。

遅れて到着したシラタキがホワイトボードを見ると、何やら文字が書かれていた。




         俺が到着するまでに暗記しとけ 



異世界には大陸が三つあります。
そして大陸の名前がそのまま、国の名前になっている。



【 黎明の国 】
煉瓦造りの街が立ち並ぶ美しい国。木々が多く育つのも早いため、煉瓦造りには適した環境と言える。
この大陸では、『気体や空間に関するエーテル物質』を発見できる。


アルジの出身国だそうだ。ここに協力者がいるらしい。会ってみたいと思う人は名前を書け!

〔 L ム ヨモギ けいてぃ タコ〕ヨリ シラタキ



【 白雲の国 】
大理石で出来た大きな建物が沢山ある。一見すると海かと思うような湖があったり
腕の立つ騎士達が王都を守っていたり。

この大陸では『鉱物や金属に関するエーテル物質』が採掘されている。
お腹が減った人は名前を書け。

〔トゥージーこれ読んでたらシフォン〕ケーキ作って トゥージー Lヨモギ ム けいてぃ テイティ 
                   がらび ハゲ 師匠 アルジ ランプ タコヨリ シラタキ


【 朧の国 】
一言で表すと、戦いがすべての国。建築材料は様々だが、総じて住めば都って感じの雰囲気。
各地に闘技場があって、ここで行われる試合に出るために皆鍛練を積んでいる。

この前の戦いで出現した境界は、この国と繋がっていた。普通、境界っていうのは
いつ出現するかを予測はできても、どこに繋がっているかまでは分からないものなんだとー。

師匠が調査した結果、これには例外となる場所があることが判明した。まず一つ目に、ここ↓

つまり庭園だ。正確には庭園を囲う深い森。ここは他と比べて強いエネルギーを発していることが判った。
実は朧にも似たような森があって、その森に出現した境界は、必ず庭園の森に繋がると既に断定できているらしく
じじいはそういうことをもっと早く言うべきだと俺は思います。

取り敢えず庭園には朧専用のルートがあることだけ覚えておいてくれ。裏面につづく





シラタキはボードを思いっ切り回転させた。





ここまで言えば分かると思うけど、朧の国に王様がいる。
名前は『クルエル

側近の臣下は四人。この内の一人がエピセリートって奴だ。

盗み聞きしてた奴は知ってると思うけど、師匠の仲間の『カッコウ』って奴が密偵として王の部隊に潜り込んでいる。
最近は秘密主義が徹底していて、臣下四人に下された命令や、会話の内容を知ることはまず不可能みたいだ。

こいつは現在、単独で動けない立場にある。敵として出会う前に、なんとかこっちに引き入れたい。



…というわけで




ワイスバスターズは   




三つの部隊に分かれて行動します!!



クルエルは黎明や白雲を朧の力で打ち沈めることが最終目的だと言っていたみたいだが
これは嘘だと思う。本当の目的は別にある。

そしてそれは絶対に俺達と無関係ではない。


これから忙しくなるぞ。

だらけたり、謎を解明したり、朧の武人達と伍するくらいの力をつけたりね。
それぞれが出来ることをする。戦うのが苦手なら戦わなくていい。

でもこれだけは言わせてくれ。

俺は平和ボケした黎明の国の王様を蹴ってくる。



〔L ヨモギ ハゲ  テイティ  〕  







相変わらず字が下手だ。
シラタキは電波が来るまで、なるべく現実逃避をしていようと思った。


風車を眺めるのって楽しいじゃないですか。

逃避時間約2秒

読めればいいんだよ。なあ皆。

隊員は顔を見合わせた。






「恋妃」






Lが二匹いる。あ?ハゲ、えるさんが増えてる。


先程、俺は調理場でLを見ました。
そしてまだ奴がうろちょろしているのを確認してドアを閉めた。

その後、二階へ続く階段を登るLの姿が…。
こわっ…。ホラーじゃねぇか!

というか、よく考えれば調理場に奴が居たことも変なんだよ。どうやって入ったんだろうな。まあそれは隊員のだれかが誘導しなさったとかんがえれば大丈夫ですよ。ハゲは顔が青くなっていた。庭園て凄く広いじゃん?

シーズーがもう一匹増えていようが関係ないと思うんだ!!実際のところね!
まあ、そういうこともあるかもしれませんね。いぬころが増えたのではなく、増えはしたが別のモンスターであるという。

電波は調理場のドアを開けた。ハゲー。なにもいうな。えるが居な。だまれっていってるのがきこえねぇのかおめぇ!!
冷や汗の数百倍の重圧だ。俺はウィンドリットを呼ぶ。正面扉の見張りをしてもらって、絶対に、えるを逃がすな。

森に入り込まれたが最後、樹に生るヤシの実の如くLの降下作戦が開始されるのも時間の問題だ。

もう『える』ではない。『える隊』だ。




タコヨリは建物の外で草餅を食べていた。

例えば庭園と戦場を繋げるとする。

その場合、目的の場所が遠ければ遠い程、繋げるために必要となるエーテルの量は増加し、私が暗闇に見る対象地点の波形を読み取ることも難しくなる。『波形』とは、物質が無意識に放つ波動のようなものだ。

人間の鼓動と似た様なものと考えてくれ。シガーヘッドは草餅を見ていた。

庭園の波形と、目的地の波形を同調させることで空間は繋がり、道として使えるようになる。この前まで同時に読み取れる波形の数は二つが限界だった。

大きな戦いを終えて、私の能力が向上したようだ。三地点の波形を読み取ることが出来る!

庭園の大鏡に勝利したのだ。私は勝ったのだ!あの鏡は隊員が訪れたことがある場所と、庭園の二地点を繋ぐ。
だが私はどうだ。調理場から階段へ、階段を進んだ先に師匠の和室へと続く空間の歪みを発生させることに成功した。

二つの空間の歪み。

これを利用すれば、無人島の風車Aと、風車Bを短時間で行き来することができる。

※ 同地点に風車Aへ続くものと、風車Bへ続くものの二つの歪みを配置。風車同士がどんなに離れていても、歪みの発生場所を経由すれば往来が容易となる。

更に私の場合、対象となる土地の波形さえ読み取ることができれば、訪れたことが無い場所とでも空間を繋ぐことができる。

これは大差だ。大差の勝利だ。タコヨリ君、ちょっと話があるんじゃが。
儂の不可侵領域、畳(たたみ)にいぇるちぇんを送り込んだのはお主か。

タコヨリはシガーに草餅をあげた。






「Destiny -太陽の花-」






落ち着いたらしてみたいことがあったんだ。おや電波さん、お前いつの間に入ってきた。
アルジの探究室に電波は居た。最近忍者っぽいとよく言われる。

何の用ですか?リボルバーの弾丸を改造したい。

…予測していた事態ですが、いざ起きてみると反応に困りますね。

キューブの容量をオーバーしなければ良いんだろう。

まあ、そうですけど。暴発とか、怖いですよ。俺の電気とシラタキの重力場を合成したらどうなるか。既に銃弾は一つ貰ってあるから、あとは俺がエネルギーを込めるだけ。

ハンドブックに書いてありました。銃弾の名前を書き込んでいなかった我輩の凡ミスだ。こんちくしょう。特に問題は無いと思って黙認していましたが、こんなことになるなら取り戻しておくべきだった!!

それを返せ!

近付くな!!込めるぞ。


『ハンドブック(百歴守本)』 部屋に入った者の種族と、入室、退室の時間を正確に記録する本。入退室の記録は24時間でリセットされるが、部屋にある物が移動していた場合、持ち主が消すまで履歴が残る。豪華なページに名前を書き込むと物体の移動を防ぐことが可能。食べ物や飲み物も守ることが出来る。書き込んだ物の名前を丸で囲むと部屋の中であれば移動でき、何もしなければ微動だにしない不動物体となる。


(机の上にハンドブックは置いてある。電波が込める前に我輩の腕が伸びれば、名前を書き込んで銃弾は見えない障壁に守られ、その状態を保ち続けるのだ。)

しかし距離が、距離が離れ過ぎている!!

なに?しまった。こっちの話です。無駄なことをするなアルジ。

ハンドブックだろ。ばれてますね。相変わらず鋭い。

ここで残念なお知らせがあります。あれは贋物です。電波は遠くの方を見ていた。
嘘はいけませんよ。いや別に信じてくれなくてもいいし。

その投げ遣りな態度!本当に判りやすいですねあなたという人は!うるさい!!
俺とお前の腕、どっちが早く机まで届くか競争してみよう。

四日間耐久で、どうだ。何がしたいんですか?

おうりゃあ!!電波は銃弾にエネルギーを込めた。


深い森で日光浴をしていたハゲは、アルジの怒号を聞いた。

『壊れてるぞ!!どうしてくれん$#☆☆がぁ!!』

青空と怒号。退屈な昼寝に調味料。






「Amazing」