第471話 Trial Stone | 深緑の森-小さな箱庭-

深緑の森-小さな箱庭-

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電波の肩には殻火が乗っている


殻火が翼を大きく広げると、電波は顔を背けた

それ以上暴れたら降りろ


境界が出現するまで、まだ少し時間がある
迷わない程度に散策するもよし、地べたに質問するもよし

地べたはこういう時、何も答えてくれないんだ

ハゲは電波の調子に合わせた

向こうに着いたら別行動だな
おめぇ僕が居なくて退屈だろ

目の前に居る時にそれを言われてもね!
おら!トランシーバーハゲ!

電波は耳線を投げた

距離や場所によっては通じなくなる場合があるから、いつでもどこでも
連絡できるなんて思うなよ

心得た

ちなみにそれ、万が一壊した場合、アルジしか直せないからさ
壊すな  嫌だと言ったら? 没収する


ハゲは地べたに座ると、砂浜の方に目を向けた




──ここで、あいつらと出会った


この砂浜で


ただの無人島じゃねぇと思っとったが、まさか動くとは

踏み潰すつもりが勢い余って仲間になっちまった


タコヨリのことがあった時、オレじゃ奴を起こせねぇことはわかっていた
空間を使う相手に正攻法は通用せん

頼る相手として真っ先に浮かんだのが電公だ


『雷を使う人間』

噂に戸は立てられん

そいつは幾千の亡者が蔓延る骨の城を崩し
雪山の化け物が魔女であることを見破り、苦闘の末に倒した

そして誰も手が付けられないと言われていた翼のある鬼を、山へ還した

何れも力を誇示するような戦いじゃない

経緯を聞けば、こいつが戦うことに疑問を抱くことはなかった


飄々としていて、何を考えているんだか分からねぇが

この野郎は、意識してんのかしてないのか知らんが
人を助けるために剣を取る男だ


自分の為に。それも確かにあるだろう
だが真ん中じゃねぇ

せいぜい端っこに佇む程度



人間界を守るなんて大それたことは言わねぇ
そこまで過信はしてねぇさ

オレは隊員を、仲間を守るために戦う


結果としてどうなるかは、予想しないでおく
考えるだけ無駄だ

定刻まで海に向かって発声練習でもしとくか!!
ぐわっはっは!




──オラはムシじゃねぇ


気付けば雪山に弟と二人

この辺の記憶が曖昧で、いつ、どこから来て、何故あの場所に居たのか
思い出せないんだ

魔女に見つかったオラ達は、小屋に案内された
疲れと安堵感から、すぐに眠った

翌朝、宿泊の代金としてイエティの姿にされ、屋敷の使用人として働くことになる


師匠の話を聞いて、全部わかった

オラ達二人は異世界に出現した境界を通って、人間界に来たんだ

…そういえば雪山で倒れている時、温かい光の様なものを浴びた覚えがある
あれが魔女のエーテルだったんだろう

そうして縮小された状態から、本来の大きさまで戻れたわけだ


んなわけで、オラは最初から人間じゃなく
前はビッグ・フット。現在は寒冷地仕様の、イエティだ

…種族なんて関係ねぇ!

このこどがわがっただけでも、部隊に入って良かったと思う

電波達と出会った後に発現した、氷の力

今なら、前より役に立てるはず

しっかし、あの子(魔女)は何者だ?




──ボクは皆を援護する


部隊には役割がある。与えられた任務を全うするのは当たり前のこと
それが出来なくて悔やむこともきっとある

電波はそれぞれが出来ることをすると言っていたけど
その言葉に甘えては駄目だ

ボクは前線に立つほど強くない

だから、後方で最も頼れる、居ると安心できる奴になる

期待通りを、期待以上を見せてやる


なんて、肩に力を入れるなって再三言われたっけな
剣の才があるって師匠に褒められたけど、嘘かもしれないし

兄貴!ボクだって口調に困ってるんだ!




──我輩の罪は、赦されるものではない


城に居れば現れるであろう、約された崩壊を与える者達

預言書の通りであれば、複数のはず

我輩は城の螺旋階段を昇る試練を与え続けた


城が崩れた後、師匠の息子の魂を幽閉していたことを知り
罪悪感に苛まれる

これもすべて決まっていたことなのだろうか


師匠は言った

アルジ君や、お主は罪を罪と知った上で踏み止まれなかったわけではない
二度と言わないからよく聞きなされ

頼りにしておるぞ


身を守るため、盾に隠れた
懼れから、刃を付けた

我輩はこの物語を見届ける。見届ける義務がある
最後まで目を逸らさない

そして、自分自身がその物語の登場人物であることを、誇りに思う



電波!道案内は我輩に任せてもらいましょう!







「晴天」