第470話 烏兎匆々 | 深緑の森-小さな箱庭-

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四人は鏡の向こうへと歩いてゆく盟友達を見送った

師は喧騒が過ぎ去った大広間を眺め、懐旧の情に駆られながら、静かに目を瞑る
先々への不安と期待。それらは声にはならず、暗黒に弧を描いて散っていった




──思えば遠いところまで来たものだ


目的地が見えない間は、無我夢中で走り続けるだけだった
儂にも守るものがあって、それを守りきれなかった己を、己に宿った力を憎む日もあった

二人の息子を失い、息子にも等しい者達と出会い

始めの内は茫漠としていた想いが、日を追うごとに輝きを増してゆく
牙を持たない人々の盾となり、剣となる決意

なぜ人間に味方するのかと問われたら、こう答える

踏み躙る者を砕くために立ち上がる者がいなければ、物語は面白くないだろう

まさか再び騎士として戦うことになろうとはな
どうやらあの馬鹿には、隠居させろなどと言うだけ無駄らしい

年寄りの冷や水。とくと見せて進ぜよう




──私はそれ程、人に思い入れがあるというわけではない


あの二人に関わったことで、色々と面倒なことになってきたものだ

しかし後悔は微塵も無い

偽りの大海で浮かんでいた私に、本当の、波と風のある海を、あいつは見せてくれた
夢の世界に居れば、苦痛や哀しみ、その他すべてのものから解放される

私の望む世界、だからな

何もかも想像通りであれば苦労はない。

あの場所は、居心地が良かった
だが心の隅の隅で、これでは駄目だと解っていたんだ

力が使えなくなったことで、自分を省みることができた

苦楽があるから必死になれるんだ

誰かを救うために、危険は覚悟の上で、あの二人は濁流へ飛び込んだ

その手で、私をも救ってくれた

この借りは、倍にして返さねばな




──料理人のワイが、役に立てるやろか


俺の部隊に来い

なんや、やぶからぼうに。めっちゃ真っ直ぐな目でそないなこと言われて
断る理由を探す方が難しいっつう話ですわ

他ならぬ恩人の言葉やし、それに
この人は何かやる

そういう確信めいたもんがあったんや
ボケッとしとったら祭りに乗り遅れるでぇ!

戦うのが苦手なら戦わなくていい

何を言うんやと、そんなん言われたら頑張りたくなるやないですかと

足手纏いにはなりとうない
ランプはんと特訓して、少しでも腕を磨いとかな

おんどれ食器割ったら承知せえへんど!




──強い 人間


あれと居れば、人の言葉、覚えられる
旨いもの、多く食える

ランプが負けた奴、あいつだけ

バリッ、バリリッ!

あれは、どうしたらできる?

人間の癖に、生意気だ




…さて、儂らも出発じゃ

部隊長の第一声に、三人は表情で応えた

足取りはいつもと変わらない

荷物は少々重たいが、私一人で背負うわけではない

タコヨリの脳裏に、あの時の掛け声が響き渡った



そうさ俺達?!


ワイスバスターズ!!






「WISH」