前回分
「さあ、風来坊帰るよ」
ナリゾウは黒い風来坊に言いました。
すると黒い風来坊は、ブォンブォォン!
マフラーを吹かして何だか威かくしているように見えます⁉
「どうしたんだよ? 風来坊!」
ナリゾウが更に声をかけました。
途端、マフラーの音が更に激しくなり何だか雲なのに猫のように毛が逆立っているように見えて……!
「風来坊?」
ナリゾウは風来坊に触ろうとした途端、
「いてっ!」
なんと黒い風来坊の表面はまるで、針のようにとんがっていてナリゾウの指に刺さりました。
「……風来坊が不良になった」
ナリゾウのその言葉で、レビンとトレノはつい吹き出しそうになりこらえます。
そして次の時には、ブオン! 黒い風来坊はナリゾウの周りをグルグル回りはじめて……
「風来坊~~おいらのことが判らないのか?」
ナリゾウの言葉に風来坊の耳に届かず……
黒い風来坊のマフラーの音だけがあたりにとどろきます。
「だから言ったでしょう、カレはもう鬼ックス クラウドの一員になったと」
ヨシ鬼が言いました。
「おい! こらっ! ヨシ鬼、風来坊に何をしたんだ⁉」
ナリゾウは聞きます。
「雲のクモだよ……」と1言。
「ええ?」とレビンとトレノ兄弟。
「どうかした?」とナリゾウは振り返りました。
「雲のクモに感染したみたいだ、その風来坊は……」とレビン。
「雲のクモは觔斗雲の中に入ると狂暴になるんだ」とトレノ。
「ええ~~⁉ どうしたら直るんだよ!」
ナリゾウは驚きます。
そして次の瞬間、
「ナリゾウ先輩危ないっ!」
レビンが叫ぶと、黒い風来坊はナリゾウに突進してきて……!
なんとナリゾウ、真っ正面から風来坊を受け止めます!
「ナリゾウ先輩っ‼」
レビン達は叫びました。
「くっ…」
ナリゾウは黒い風来坊を受け止めると離しません。
風来坊は離れようと暴れようとブオンブオン言いますが……
「風来坊……離さないぞ~~、戻ってこい!」
ナリゾウは風来坊を受け止めたままで……
まるでケガをしたオームとナウシカのようでした。
黒い風来坊はとうとう本気で怒り出し、また毛が逆立つように雲の1部だけをとんがらせて腕に刺さってしまい……!
「ナリゾウ先輩ーーー‼」
レビンの叫ぶ声が聞こえると……
どうするナリゾウ!
続き
