黒七夕~昔の彼女への未練な思い~ | いろいろしぃーのブログ

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下矢印前回

黒七夕、その名の通り黒い短冊で願い事を書くことである。


それだと字が書けないじゃないかとなるが、なぜか書くことが出来るのだ。


黒い想いが強ければ……


年に1度、たどり着く人がまたひとりやって来る。



地分川流(ジブン  カワル)、38歳独身男性……


「どこだ? ここは」


あたりを見回すと、薄暗い空にそびえ立つのは大きな笹があるだけ。

それにはたくさんの黒い短冊をつけられていた。


黒い短冊……


何だか薄気味悪い雰囲気を感じる川流。


かといって来たところを引き返す気もない。


そうしてもっとその笹の葉に近づくと、その笹の葉の下には机が1つだけ置いてあり、やはり黒い短冊が箱の中にたくさん入っていた。


その机の上をよく見ると、やり方まで丁寧に書いてあり、



ーー黒七夕、あなたの奥底にひそむ想いを叶えることが出来ます。


ただし、対価が必要になりますのでお気をつけ下さい。


「対価……」


思わずピタリと黒い短冊を取るのを止めかける。


しかし、どうやらどうしても先に進むことが出来ず……


何か書かないと通れない⁉


結局、川流はペンを取ることになる。


そして……



ーー木来菜湖(キライ ナコ)とよりを戻したい。



そんなこと……まさか……


思ってもいないはずのことがその黒い短冊に書かれていった。



木来菜湖……20代の頃に付き合った唯一の女性、別れてしまい今は他の人と結婚して子供までいるという……

 

そんなこと出来るわけがないのに。


もう連絡すらとれるか判らない。



すると、いつの間にかあの黒い短冊の笹の葉は無くなり……



気づくと、


「川流、元気?」


なんと川流の目の前には、さっそく木来菜湖が現れて話しかけてきた。


「何で?」


動揺する川流。


「ずっと、ずっと……別れた後も川流のことを心配してたから……」


うるうるする木来菜湖。


「でも、結婚したんだろう?」


と川流。


「それでも……いつも心の中には川流がいたよ、だから会いたかった」


そう言うと、木来菜湖は川流に抱きついてきた。


戸惑いつつ、嬉しく思う川流。


「オレも…」


川流も抱き締め返した。



「今日は川流さん、機嫌が良さそうですね、どことなく笑ってるみたいに見えますね」


看護士さんが入院中のベッドに横たわる川流を見てそう言った。


「何だか良い夢でも見ているみたいで……」


川流の母親が思わず涙ぐむ。



川流は、交差点で信号無視してきた車と自分が運転していた車とぶつかり事故に遭う。


そして、全身動かすことが出来ず……


意識は辛うじてあったものの、とうとう7月7日を過ぎた辺りから意識すらも失くしてしまうことになる。


それが川流への代償。


永遠の夢の中で、昔の彼女との夢を見続ける。


死ぬその時まで……



 最初の黒七夕