間引き……苗の良好な生育の為に良い苗を残して他を引き抜き、十分な間隔をあける作業のこと。
ある日のこと、高校生の伊達省我(ダテ ショウガ)が帰宅して自分の部屋に入った時のことだった。
「な、なんだこれは⁉️」
テーブルの上いっぱいに無数の小さな苗木がテーブルの大きさの入れ物に土ごと置かれている!
省我は立ち尽くすしかなく……
「何これ? どういうこと? 誰が……いつ? はあ~~~~⁉️」
省我は戸惑うしかない。
とりあえず、どこかに持っていこうと持ち上げようとすると、
「うう、お、重い……」
そして持ったところでどこにもやれない!
てことに気付き、とりあえず少し持ったもののそのまま、また元に戻すしかなくて……
しかもそもそも、省我しか家に誰もいないのに家族の誰かが置いたわけでもなさそうで……⁉️
「だ、誰がこの部屋へ? 泥棒は盗んでいくから置いていかないし、何で苗木? こんなもんどうすんだよ! いらねーし!」
省我は半ば発狂しかけた時だ。
ピコーン、スマホからメッセージの受信音がする。
誰だ? と見ると……
苗木さんと友達になりました。
とメッセージは勝手に友達登録されていて……
トークが入っていた。
苗木〉おめでとうございます。
伊達省我さん、あなたは地球を救う為の間引きをすることに選ばれました。
間引きは目の前にある苗木から行ってください。
「はあ~~~~⁉️ 間引き~~!」
まだまだトークは一方的に続く。
苗木〉そのたくさんある苗木から間引きをするのを5つだけ選んで下さい。
間引きするのは1日1回のみです。
それを守れない場合はあなたの大切な人が間引きされてしまいますので気をつけて下さい。
ピコン、ピコンと次々にトークは送られてくる。
間引きが完了されないと、その間雨が一切降りません。
ですが間引きを選ぶと同時に、選ばれた苗木は人であり誰かが亡くなることになります。
そして亡くなることにより雨が降ります。
その5つの苗木には伊達省我さんの命も含まれていますので慎重に選んで下さい。
「はあ~~⁉️ 何だよそれ! 俺も含まれているってことは、選んだら俺自身も死ぬってこと?」
そのままの気持ちを省我はトークに入力した。
苗木〉はい、死にます。ですが雨は降りますのでご安心下さい。
「何がご安心下さい、だよ! ふざけんな!」
省我は何とか苗木の間引きのロシアンルーレットを回避出来ないか尋ねると。
苗木〉残念ですが、5つ選び終わるまでは回避不能です。
「ウソだろ~~~~」
省我は頭を抱えた。
「とにかく選ばないことにはどうにもならないと……で早期でも1日1回だけだから5日かかるってことか……」
しかももしも自分の苗木を間引いた時は自分の命を落とすって……
「何この、リアル鬼ごっこの佐藤さんが多いから殺す的な類似版!」
クラスの誰かのいたずら?
まさか……
「それより何で俺が選ばれたんだ?」
トークに入力。
苗木〉今までも試しました。
頭の良い人や優秀な人、それから逆に残忍な殺人者など、でも誰も正しく間引けませんでした。
なのでとりたてて普通な、そして若い方にしたわけです。
「ええ~~⁉️ それだけで俺が選ばれるって……」
でも待てよ、正しく間引けなかったって?
誰も5つ選び終わる前にまさか……⁉️
ゾゾゾゾ~~~~と途端に背筋が寒くなるのを感じる。
すると、
苗木〉そうです、誰も5人選び終えることなく失敗していきました。
えええ~~~~!
これ、かなりやべえやつじゃん……
とんでもないことを引き受けることになった省我。
「え……と、コツとかあったら教えて下さい」
苗木〉間引きをしたい人の指定は出来ます。
ですが、自分の感情や私利私欲で間引きをした場合は必ず自分も間引かれてしまう率が高くなります。
なるほど……と省我。
「これって……かなりなヒントじゃね?」
つまりは誰かが自分に酷いことをした場合、そいつのことが憎い消したいとかいう呪い殺す的なことなんだろうと推測……
「え、でもそれがないと選ぶのは余計にムズイような……?」
省我は結局、その日は苗木のどれか抜いて間引きすることは出来ずに終わった。
それがまさかのとんでない日々の幕開けになるとは……
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