この忙しい時に!
届久からの着信だろう、相変わらず町替は届久のケー番を登録していなかった。
とにかく町替は封書を破いても、捨てても戻ってくる現象に思い悩んでいた時に、絶妙なタイミングで届久からの着信ありで……
町替は何となく出てみることした。
「どうかしたー? あれから何も関わってないけど? というか、今ちょっとたて込んでいてさ、破いても捨てても封書が戻っ……」
『弟が……弟が……!』
すると最後まで町替が話し終わらない内に、届久が切羽詰まった感で話してきて……
「弟、何かあったのか?」
『 交通事故に合って……』
交通事故とは穏やかではない。
「大丈夫なのか!?」
一応、町替は心配になる。
『……ました』
「え? 何て?」
『弟は……死にました』
え? 死に……ましたって、え?
「そんな……」
『即死でした』
「まさか……あの封書の中のカタログの……せいか?」
『……はい、多分そうです』
届久の声が小さくて……何とか聞き取る。
「弟は何を選んだんだ? 何かおかしなことはなかったか?」
『どうやら……呪う為のものを買ったと思いますね』
「買ったものは何か判るか?」
『判ります……でも、番号しか載っていなくて……』
「え? それはどういうことだよ?」
『注文はどうやらスマホでしたらしく、履歴が残っていました』
「スマホ?」
『完了通知のメールも届いていたみたいで残っていました』
やはりなネットで注文するようだ。
『そのメールに返信してみたら何も言ってこなくて……』
あー多分返信不要なメールだからか。
「弟さんは……誰を呪ったんだ?」
『そこは判りませんが、呪いの完了通知もきてて……』
てーことは、やっぱり届久の弟は誰かを呪ってやりたいと願い、何のためらいもなく呪いを成就させたのか。
「成就したから弟は亡くなった?」
『多分……』
後はついつい沈黙になる。
どのくらい経った頃……
「……そういえば封書はどうなった?」
『封書は……見当たらない……です』
「ええっ!?」
封書は、任務を全うというか遂行すると消える?
「そういえば、カタログの最初のページは注意事項とか増えてなかったか?」
電話越しに町替は尋ねると……