人柄、運、人間関係、そして贈った相手次第……
それがまさか、とんでもないホワイトデーに発展するなんて誰も思いもしなかった。
出来れば、あのバレンタインデーの当日まで時が戻ればいいのに……
ここはとある高校1年生のあるクラス。
ホワイトデーの当日。
まもなくチャイムが鳴り、担任の先生がクラスに入ってくるとみんな一斉に席につく。
その瞬間、一斉にスマホのバイブ音が鳴る。
もちろん先生もだった。
みんなが主に使っているトークアプリだ。
隣の席の子がスマホを出して見始めるので、ついつい自分も自分もなり、みんな見ることになる。
先生も見ると、そこにはトークアプリに1件のトークが入っていて……
開くと、
ーー本日、ホワイトデーですね。
おめでとうございます。
ホワイトデーにお返しをされなかった人。
ホワイトデーのお返しをしなかった人。
バレンタインデー何もしなかった人。
バレンタインデー貰わなかった人。
バレンタインデー他人に頼った人。
バレンタインデー本人に直接渡さなかった人。
など上記に該当する者は、ホワイトデーで死ぬことになります。
幸運を祈ります。
などと一方的なトーク内容で…!
「何!?」「死ぬって!」「誰だよ!」「いたずら?」
クラス中、騒然とする。
「キャーーー!!」
悲鳴に驚き見ると、悲鳴を上げた女子のまわりは一斉に倒れて白目を向いた生徒が続出した!
冷静なある男子が、倒れた生徒のひとりの首など触ると、
「死んでる……」
と呟いた。
すぐその場で倒れて死んだ者は、クラスの1/3……いやもっといるような? 男子も女子もいて……
「先生は……大丈夫なんですか!?」
「……あ、はい、とりあえず生きてますけど……」
先生は一歩も動けない。
「先生が倒れていないってことは……」
ある女子が気づく。
「判った! バレンタインデー貰っているってこと、だろう?」
するとある男子も気づいていた。
「……てことは」
先生も気づいた!
「バレンタインデーのチョコとかを、自分から相手に直に渡して、更にホワイトデーでお返しをしてくれた人達しか生きられないってことじゃないの!」
先生が言わんとすることを、先に女子生徒に言われてしまった。
その言葉で、更にクラス中の動揺が広がる!
「どうすんの!」
「どうなんの!?」
特に女子達はほぼパニックにおちいっていた。
「先生!」
ある女子生徒が叫ぶ。
「先生は倒れてないから、ホワイトデーのお返しは持っているんですよね?」
「え、あ……その……」
「誰にあげるんですか? いくつ持ってますか?」
女子達は先生の方へにじり寄る。
「たくさんあっても無くても…」
「先生のホワイトデーのお返しを下さい!」
「私に!」「私も!」「私よ!」
先生は女子達に囲まれてしまう!
「ま、待てっ! そんなことよりもこのトークを送った犯人を見つけないと!?」
先生も必死だった。
「案外、先生じゃないの? このトーク送ったのはさ」
などと疑う生徒まで出て来てしまい……
「違うよ! 今、ここにみんなといたし、先生にも送られてるよ! ほらっ!」
先生は慌てて、スマホをみんなに見せた。
「あ、本当だ」
「でも、先生だけ個人トークなんだあ~」
そうなのだ。
クラスの生徒達はグループトークになっているので、全員に一斉送信される。
「今日、休んでる子が怪しいんじゃない?」
……そんなわけで、今現在生きてる生徒達と先生で、このホワイトデーに起こった謎の死を解明していくことになる。
タイムリミットは……おそらく……放課後までだろう。