コンタクトレンズ・バンジ〈12〉コンタクトレンズの影響 | いろいろしぃーのブログ

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音名しいかはあの不思議なコンタクトレンズ屋を見つけることが出来ずに、すごすごと来た道を戻る。


そうして大学のキャンパスへ入ると、

「君、何年生? サークルはどこかに入ってる?」

またもやいろんな男子から話しかけられるはめに……

何とかかいくぐって、講義室へ向かう。

「あれ? 君、見かけない娘(コ)だね、名前は?」

「音名……ですけど」

「音名さんかー、ねー一緒に学食行かない?」

やはりまた声をかけられることになるしいか。


「しいかちゃん…」

しいかの友達が神妙そうな顔で、しいかを見た。

「な、何? まりちゃん」

「急に変わっちゃったね」

と、しいかの友達の水田まりは呟くように言った。

水田まりも、コンタクトレンズを着ける前のしいかと同じように、黒髪にメガネな女子で……

「お、おかしいかな?」

慌てるしいか。

「ううん、凄いイイけど、私、一緒にいるのが恥ずかしい……」

そう言うと水田まりは先にバタバタと走って行ってしまった。

「そ、そんな~~」

とにかく、男性に話しかけられるしいか。

その代わりに仲良くしていた友達が去ってしまうことに……


うちに帰ると、

「どうかしたの? その格好!」

しいかの母親が最初にしいかの様子を見て驚愕する。

「変かな?」

「ううん、変じゃないわ! 逆に今までは地味地味過ぎてずっと心配だったの。

友達もやっぱり地味だったから~、それにしてもどういう心境の変化なのよ! しいか~」

母親はなぜか喜ばれた。

「……ちょっと成り行きで、ちょっとしたわらしべ長者みたいな目にあって……」

わらしべ長者とは違うかと心の中で自分にツッコむ、しいか。

「わらしべ……? なあに、それ?」

ハッとして、

「な、何でもない!」

しいかは自分の部屋に入った。


「ど、どうして…こんなことに……?」

しいかが途方に暮れそうになった時だった。

あのコンタクトレンズ屋で貰ったコンタクトレンズのケースを入れられた紙袋に、コンタクトレンズ・バンジと表記されて、

そこには、お客様相談センターへの電話番号が明記されていた。

「あ、こんなところに電話番号がっ」

しいかは電話番号を見つけると、さっそく電話をしてみることにした。


コールが何回か聞こえる。

そして、

『はい、コンタクトレンズ バンジ、お客様相談センターでございます』

あのカウンターから挨拶をしてくれたイケ女店員の声にとても酷似していると、しいかは思った。