夏になると、スイカがどうしても食べようと思っていても、食べれなくて……
あともうちょっとのところで、絶対に邪魔が入ってしまう。
さすがに3年ぐらい経つと、今年こそはと思うようになり……
でも、やっぱりダメだった。
スイカを食べることがことごとく出来ない!
彼氏の大内の家でまたもや食べ損ねた為、灯利はまた寸前で扉が閉まってしまうのを感じていた。
「トモさん、変なこと言ってイイ?」
「え? う、うん」
ある日の仕事場でコウが気になる言い方をして……
「何かね、うちのお母さんがぼやくんだけど」
ぼやく? 灯利は気になり、
「な、何て?」と聞く。
すると、
「スイカ、ここ何年も食べてないって……」
「えっ! ウソッ! あ、」
灯利はその言葉を聞き、自分と全く同じ人がいることに驚く。
がよくよく考えると、灯利もコウの母親もあの3年前に、しいなの持っていこうとしたスイカを拒否していたことを思い出す。
「考えたら、わたし、お母さんと一緒にいる時にスイカ、食べたことがないんだよね」
コウは相変わらずサラリと事も無げに言う。
そうなんだ……
私と全くもって一緒じゃない!
灯利はまたもや背筋が寒くなっていく。
「特にうちでは絶対食べたことがないんだよ」
コウはそう言いきる。
「でも、コウちゃんはスイカは食べることが出来るの?」
念の為に灯利は問う。
「うん、フツーにわたしは食べられるよ、お母さんが居ない時は食べられるかな」
「そ、そうなんだー……」
目の前がクラクラしそうになりながら、灯利はひとつの考えにたどり着く。
信じられないけど、これは……
しいなちゃんの……
お母さんの作ったスイカを拒否した
……スイカの呪い?
まさかね……
食べているならまだしも、食べてないスイカの呪いなんてあるのだろうか?
まさか! あるわけない!
灯利は頭(カブリ)をふり否定した。
だけど、更に時間が経つ程、じわじわとその効果はてきめんしてしまうことになるとは……