先日、娘の引っ越しを手伝った。荷台が箱型になって覆われているアルミバントラックを借りて、むつ市から青森市の我が家へと荷物を運んだ。その後、少しばかり残った荷物を借りっぱなしにしてある弘前市のアパートへと運び、最後に冬服を積んで我が家に降ろして完了。正直終われてほっとしている。
むつ市から青森市に向かう時には娘の車には妻が乗り込み、トラックは僕が運転した。そして、我が家に娘の車を置いて、青森市と弘前市の往復は三人一緒にトラックに乗った。二人は、目線の高さに驚いたり、何だかアトラクションみたいと楽しみながら乗っていた。
トラックでマックに乗り付けて食べたり、ドラッグストアに立ち寄ったり。マイカーの様に使いながら、僕も不思議な浮遊感を覚えていた。
間もなく我が家に着くという頃に、「こんなになかよしの家族ってどこにも居ないよね」と娘が言った。妻は「本当だね」と返し、僕は「そうかなぁ」とはぐらかす様に応えた。
僕が何よりも嬉しかったのは、「なかよし」だと言ったのが娘だったことだ。親である僕たちが言うのならばともかく、既に立派に仕事をこなしている娘が何のてらいもなくさらりと言ったことだ。親としてこんな幸せなことはない。
何があっても親は子供のことを一番に考えて、良かれと思って様々な体験をさせ、一緒に遊んで美味しいものを食べて時を過ごす。しかし、思いが溢れる余り、時には一方通行になることもあっただろう。その全てを包み込んで出た言葉が『なかよし』である。
僕がトラックを運転しながら応えた「そうかなぁ」に娘はまた返した。「居ないよ」と。