岩手県紫波町の酒蔵で女性杜氏が麹菌を振りかけている画面が流れた。ふた昔前までは女性は杜氏を担えないと言われた。神事としての側面からの女人禁制だったり、ぬか漬けを触るからなど、様々な理由を仕立てられてのことである。古来、口に入れた米を吐き出して発酵させる口噛み酒を作っていたのは女性である。
寿司職人も女性が就きづらい職業だった。体温が少し高めなので、ネタの劣化を考えるとそぐわないと言われた。そんなのが如何ほどのものだというのだろう。意味のない暗黙のルールと言えよう。
時代が流れたなぁ、良かったなぁとつくづく思う。世界を見渡しても女人禁制の場所、場面は多く存在していたが、かなり柔軟になってきていると感じる。
以前紹介した、青森県下北郡佐井村での神楽も、御祭神である天照大神が嫉妬するという言い伝えから女性が参加できなかった。昨年、小学生の女の子が初めて参加できたのは時代の流れと運営側の柔軟さである。
https://ameblo.jp/tahbou-note/entry-12880492907.html
2018年に京都府舞鶴市で開催された大相撲の巡業で、挨拶中に突然倒れた市長の救命措置で土俵に上がった女性に、土俵を下りるようアナウンスが流れた。土俵周りのスタッフも下りなさいと指示していた。女性は現役の看護師だった。しかも、市長が担架で運ばれて彼女達が下りたあと、土俵に大量の塩を撒いた。
この報道に触れた時、命を軽んずる協会の対応に怒りすら覚えた。
天照大神を地上の最高神として尊崇する様に、女性はそもそも命を育(はぐく)み生み出す神々しい存在である。そこを飛び越えて、力の強い男性が有利な様に言い訳を積み上げて様々な場面から女性を排除したのは、浅ましい歴史と捉えている。
女人禁制のしきたりや風習、伝統を古来からの必然と捉えている関係者の皆さんは、未来に向けてより柔軟な姿勢で望んで欲しいと思う。