業界関係者が語る外国為替証拠金取引(FX)について
近年人気が出てきた金融商品外国為替証拠金取引(FX)。。
ただ、みなさんは人気や時代の流れやブームだけで取引を始めており、このFXに関して理解していますか?

私は、2002年よりFXの業界におり、その後皆さんが知っている某大手FX会社の立ち上げや某大手FX会社の役員をやっていました。
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業界再編

仕事柄いろいろな業者さんとお話しすることが多いのですが、
徐々に業界再編の波が現実実を帯びてきているのを感じます。

先日、大きな合併のニュースもありました。

http://jp.reuters.com/article/stocksNews/idJPJAPAN-12164320091028

今からFX業者も合併、事業譲渡、廃業のニュースがかなり飛びかうこととなりそうです。


その原因となるのは、今回の法規制です。

ここで、今回の法規制を整理してみます。

①レバレッジ規制
皆様ご存知の通り、レバッレジ規制が、まず今年の8月に50倍となり、その一年後に25倍になります。
この影響は、直接業者の収益にヒットしてきます。
レバレッジを規制されることにより、同じ金額でもポジションが建てれる量が大きく減るために、
取引高が減少します。

取引高が減少すると、ディーリング収益の減少や手数料収益に減少に繋がります。
もう一つ大きな問題は、レバレッジが規制されることにより、投資家のFX取引の意欲をそぎ、
解約口座等が増えるのも懸念されます。

決してレバレッジが高いのいいとは思いませんが、投資家が90%以上反対している規制です。

私自身は、投資家個人の資産状況が違うのにも関わらず、一律に規制をかけるのはおかしく、
業者が投資家の資産状況にあわせたレバレッジの設定するように、指導すればこと足りるのでは、
ないのかと思います。


このレバッレジ規制をすることにより、利益を見込めない業者は、倒産する可能性もあるため、
結局顧客保護につながらないのではと疑問もあります。


②ロスカット規制
ロスカットは、各社によってルールが違います。ロスカットはなく、追加証拠金を入れさせるところも
あります。ロスカットは、今回の規制で、できる限りリアルタイムで行うことなり、業者にとってみたら
システムの変更に繋がります。

この仕様の変更は、対応していないところは、システム投資がかさみますし、結構重たい部分になる
と思います。

③信託保全(完全信託)の義務化
信託保全スキームも一部信託や、いろいろな信託スキームがあるのですが、一番大きな点は、
投資家のお金をカバー先にいれれなくなったり、カバー先に業者が取引する際のLG(信用状)
が、信託保全されているお金を担保にいれれなくなるということです。

あとは、カバー取引を実施している会社は、投資家の取引と業者が銀行に行う取引が一時的にずれて
いるためその部分のお金を逆に信託口座に積み立ておくことが必要が出てきたりします。


①~③が大きな変更点だと思いますが、
業者にとってみたら、収益減、負担増になり、業者としてやっていけなくなるところも増え、
役三分の二に業者がなるのではないかといわれています。

とにかく、今皆様が取引している会社が残れるかどうか確認し、危ないと思うのであれば、
余剰資産のお金は、引いておいたほうがいいかなって思っております。

業者は、今から取引高UPの施策を打ち出してくると思いますので、
今後は、シストレなんかを積極的に取り入れてくるのではないかと感じております。

MJ行政処分【続報】

昨日ブログを書いたら今日早速処分がでましたね。

http://www.mof-tokai.go.jp/kinyuu/kinyuu/21.10mj.pdf

やっぱり、業務停止処分ですね。

ただ、期間はそんなに長くないですね。

平成21年10月26日(月曜日)から同年11月1日(日曜日)の一週間停止で
停止内容は、以下になるそうです。

1.新規建て玉の取引
2.新規口座開設(審査中の口座開設申込の処理も停止いたします。)
3.入金の取引
※通常のご入金(新規取引のためのご入金等)は、ご遠慮下さい。なお、ロスカット回避等のやむを得ない状況であるとお客さまがご判断された場合のみ、ご入金いただくことが可能であり、その場合、当社はお客さまからのご入金をもって前記状況であると解釈し、入金対応をいたします。

思いのほか短かったんで、取引してる方のことを考えるとよかったなって思います。

ただ、同時に業務改善命令がでました。

内容としては、以下となります。

1.今般の法令違反行為の責任の所在を明確化すること。
2.システム障害の発生原因を十分認識・検討し、対応方針を策定すること。その上で、監査の実施及びシステム障害発生時の速やかな報告態勢の確立等、実効性のあるシステムリスク管理態勢の整備を図り、確実に実行すること。
3.システム活用ガイドの「成行注文は、今の為替レートで素早く約定する」という記載が、カバー取引が成立した後に注文を約定させていた顧客にとって、誤解を招く表示であった旨を公表すること。
4.業務運営の各局面において、顧客間の公平を損なう取扱いが行われていないか、また、説明内容と実態に乖離が生じていないかを検証し、必要に応じて改善を図ること。
5.役職員の法令遵守意識を高めるよう、必要な研修等を実施すること。
上記の1から5について、その対応・実施状況を命令1ヵ月後までに東海財務局へ報告することとし、2から5については、その実施状況を、当分の間3か月ごとに東海財務局へ報告すること。

業務改善命令の対応としては、以下のことが起こると予想できます。

1に関しては、部長か役員の変更や処分などで対応していくと思います。
たぶん、システムの不備などが目立つので、システム責任者かシステム管掌役員あたりが変更になり、併せて経営管理体制もとわれているので、社長の交代などが起こると考えられます。

2に関しては、社内の中での対応となるのですが、規程の見直し、コンテンジェンシープランの策定、安全対策の整備などを文書化から管理体制を作るための、会議体や報告体制など大幅に人員の変更をおこなったり、外部委託先とのサービスレベルの再設定などいろいろかえなきゃいけないので、結構大変な作業になると思います。それ併せて、報告していなかった74件のシステム障害の原因の調査、改善策の策定をし、当局に一件ずつ報告しなおさなきゃいけないことになると思います。

3に関しては、契約前の重要事項の変更や、書面で交付しているものに関しての変更、ここに書かれているシステムガイドの変更などをおこない顧客に対して説明している資料の見直しも必要なり、本来行われているカバー取引方法に内容を差し替える作業をすると思います。

4に関しては、カバー取引方法だけはなく、コールセンターでの対応や、各種書面の内容で実体運営と違う点をすべて変更しろということなので、各種業務の見直しなどを行い、顧客への開示情報も変更していくこととなります。

5に関しては、コンプライアンス意識の向上のために、研修をするだけではなく、コンプライアンス方針やマニュアルを定め、業務運営における役職員に対してのコンプライアンス意識を周知徹底し、再発防止をする処置をしなければならなるとおもいます。

この1~5だけでの対応だけはなく、私の予想では、損失補てんに関するルール作りや損失補てんを行った顧客と行っていない顧客の差をうめるために、行っていない顧客に対しての損失補てんをおこなう作業なども発生すると思います。まとめると、今回かなりの作業や社内体制の変更が行われると予測できます。その作業をしながら、顧客からの問い合わせも対応していかなきゃいけないですし、出金などの件数も増えると予測できますので、資金繰りも懸念されます。MJに関して、どういうスキームでビジネスをおこなっているか詳しくありませんが、もしLG(カバー先に差し入れる信用状)など発行して、カバー取引をおこなtっているのであれば、LG契約の契約解除事項等に行政処分がでた場合などという事項があれば、もしかしたら、カバー取引も行えなくなる状態になるかもしれませんね。

最悪のケースを考えると、出金が増え、取引は増えずに、LGの契約が解除となり事業が継続できなくなる場合も想定されます。(たぶん大丈夫だと思いますが。。。)

それぐらい、行政処分は重たいことだと思います。

FXのOTC業者は、自社で事業者と、取引所を兼ねています。

だからこそ、システムの管理体制やガバナンスはかなり高いものを求められます。
これはOTC業者の宿命です。

私は、信託の義務化、レバレッジ規制、ロスカットルール、など法規制が強まれば強まるほど、
OTC業者はそれに対応しなければならなくなり、生半可の気持ちでは事業はやれなくなってくると思います。

すでに、今年の冬にかけて、信託保全の対応ができなくなる業者も増えてくるので、倒産していく会社や合併される会社や買収される会社など増え、業者として生き残れるのは、ごく少数になり、マーケットから退場していくことでしょう。


そんな業界の流れだからこそ、FXを取引する皆さんも目先のコストだけにとらわれず、自分の取引している会社は、今後生き残っていけるのかを見てみてください。

いくらスプレッドが狭くても、法令に遵守していなければ、事業者はFX業界でビジネスを行えなくなります。

勧告や処分をうける会社は、何かがあるから、処分をうけるのです。

ただ、無料で証券取引委員会がコンサルをしてくれたと思ってこれを気にMJも頑張ってもらいですね。

たくさんの顧客を抱えている会社なので、企業の社会的責任を果たしてもらいたいです。

今後のMJの動きに期待致します。

MJの勧告処分について

ブログ久々に書きます。
先日某雑誌にコメントを出したのですが、このブログがキッカケとなったので、
ブログを再開しようと思いました。

皆さんよろしくお願いいたします。


久々なんで、何から書こうかなと思ったのですが、いいネタがあったのでMJの証券等取引委員会の勧告
処分のことについて書きたいと思います。

http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2009/2009/20091009.htm

この中身を解説してみると、大きく3つの点で勧告を受けており、今後この内容を基に金融庁から行政処分が下るのですが、ひとつずつ勧告の内容を解説していきたいと思います。

(1) 電子情報処理組織の管理が十分でないと認められる状況
株式会社MJ(以下「当社」という。)は、平成19年4月から同20年11月までの間に、外国為替証拠金取引に係るシステムにおいて、少なくとも74件のシステム障害を発生させており、これらのシステム障害では、顧客の取引に損失を与えたものも多数含まれている。
しかしながら、当社においては、システム管理及びシステム障害発生時の対応に関する諸規程の整備が不十分であり、実効性を伴う内容となっていないこと、システム管理の殆どを担っている外部委託先の管理に関する規程・態勢が整備されていないこと、また、経営陣のシステムリスクに対する意識が低いことから、システム障害発生時の顧客対応においては、各部署が場当たり的な対応に終始し、顧客から障害発生に起因する損失が発生したとして苦情等の申し出があったものについてのみ、損失補てん等の対応を行うなど、十分な対応がなされていない。また、システム障害発生時における顧客への影響の調査も外部委託先任せとし、調査結果を鵜呑みにしたことにより、システム障害に起因する顧客被害を見落としている事例が認められた。
以上のように、当社におけるシステムリスク管理態勢については、極めて杜撰な状況が認められた。
当該金融商品取引業者の上記の業務の運営の状況は、金融商品取引法第40条第2号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第123条第14号に規定する「金融商品取引業等に係る電子情報処理組織の管理が十分でないと認められる状況」に該当すると認められる。


この部分は、よく皆さんも目にすると点だと思いますが、まずシステム管理体制面の指摘です。ここで、当局(金融庁)としての考え方としては、顧客の取引、入出金にかかわる事項のトラブルに関しては、業者は、当局に報告をしなければなりません。しかし、74件とは、かなりの数字だとお思いの方も多いのではないかと思いますが、なぜこの数字になるかというと、当局のスタンスは、例えば10秒のログイン障害でも、5時間のログイン障害でも障害は障害なので、障害がおこったらとにかく大なり小なり関係なく報告しろということです。だから、小さいトラブルも含めるのでこの件数になります。そこで、次の内容につながってくるのですが、解釈すると、これだけの件数のトラブルを起こしているのにも関わらず、システムに関しての安全対策措置やシステムリスクの管理など、外部委託業者に任せきりで、自分達は、何もしていないのに加え、顧客のクレームの強いものだけ、損失を補填をし、クレームを抑えていたので、顧客に関して公平に対応していない点やシステムの管理体制がずさんな点でがあります。みたいな内容でしょうね。もしかしたらこれだけで業務停止かもしれませんねドクロ


(2) 顧客に対し特別の利益を提供する行為等
① 顧客に対し特別の利益を提供する行為
当社は、平成20年4月29日に発生したシステム障害により損失を受けた顧客199名に対し、損失補てんを行っているが、うち1名の顧客より、当該損失補てん処理のほか、新規注文分を建てるために必要な証拠金を当社が負担するよう要求を受け、当社は、当該顧客に対し、本来の補てん金額に加えて不当な利益の提供と知りながら、計355,061円の特別の利益を提供した。
② システム障害により損失を受けた顧客に対し、損失を補てんするため財産上の利益を提供しながら、その報告を行わない行為
当社は、平成20年3月6日、同年4月29日及び同年8月5日に発生したシステム障害により損失が生じた顧客のうち120名の顧客に対し、損失の補てんとして合計5,162,662円を支払っていながら、これらについて、東海財務局長に報告を行っていなかった。
当該金融商品取引業者が行った上記の行為のうち、①については、金融商品取引法第38条第6号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第3号に規定する「金融商品取引契約につき、顧客に対し特別の利益を提供する行為」に該当する。
また、②については、金融商品取引法第39条第3項に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第119条第3項に違反する。

基本的に損失補てん行為は、認めらていません。従ってもし、損失補てんを実施するのであれば、必ず当局に報告をしなればなりません。例えば、簡単な例でいうと、ロスカットされる水準じゃないのでロスカットされたとします。その場合は、マイナス分の金額を顧客に戻し、ポジションをオープンレートにて立てるか、システム的にロスカットがなかった状態にします。このような場合は、どういう原因で、何名、どういう処理をしたということを当局に報告しなければなりません。その報告をすることにより、その処理方法が適切であれば、損失補填をしてもここに書かれているような利益提供と認めれません。ただ、この勧告内容は、もう一つあるように、本来損失補てんをする場合は、原状回復が原則なんですが、特別な利益を提供したことが一番問題ですね。あくまでも私の予想なんですが、相当クレームが強かった顧客か、大口顧客だったんで、特別に利益を提供したのでしょうね。


(3) 顧客に対する注文方法の提示において誤解を生ぜしめるべき表示をする行為
当社は、インターネット取引による外国為替証拠金取引において、顧客から注文を受けた場合、①顧客取引を約定させた後、カバー取引先に発注する方法と、②受注レートでカバー取引を執行し、当該カバー取引が成立した後に顧客注文を約定させる方法の、2通りの約定経路を設けている。また、当社は、上記①の方法を原則としており、当社が指定した特定の顧客につき、上記②の方法を採用している。
このような状況下、平成20年5月30日から同年12月1日までの間に②に指定された顧客51名の成行注文は、①の顧客の成行注文が速やかに約定する中、58,329件の注文のうち少なくとも25,466件の注文が不成立となっているほか、少なくとも30件の約定が①の顧客の約定に比して5秒以上遅延し、うち5件についてはロスカット注文が遅延したことにより損失が拡大するなど、両顧客の間では著しい差異が生じている。
この点、当社の顧客が取引において使用するトレードシステムの活用ガイドでは、「成行注文は、今の為替レートで素早く約定する」と説明されているが、②に指定された顧客の注文は、当該説明とは異なり、カバー取引が成立した後でなければ約定しない。
なお、当社は、顧客から注文が不成立になったことに関する苦情を多数受けているが、「当社の提示レートが変動したことにより注文が不成立となった」旨の説明を一律的に行うのみで、②に指定された顧客に対して適切な説明を行っていない。


この部分は、今まで指摘されて業者はないですね。ある一部の顧客だけ(ここでいうと②)、カバーを先にとるということは、顧客が仮に100.00-05の時に、05銭で買いを発注したときに、①の顧客であれば、たぶん05銭で約定して、②の顧客の場合は、カバー先でレートを確認してカバーが取れるレートで約定するため、06銭でしか仮にカバーが取れなければ、06銭で約定するか、約定せずにエラーで返すようになっていたのだと思います。そこで、当局の指摘は、この①の顧客と②の顧客との約定方法の違いを適切に説明していない点が指摘されてます。なぜそもそもそのようなことが起こるかというと、たぶんスキャル取引などする顧客に対して、②の行為をおこなっていたのではないかと思います。スキャルピングされると、カバー取引をおこなっている会社は、カバーをとる前に、新規注文をされ、利益がでている状態で決済をされると、損失だけが業者に残ります。それを大きなアマウントで何回もされると、業者としてはかなりの損失に繋がるので、②のような注文方式に一部の顧客だけ変えたのだと思います。


なんか週刊ダイヤモンドの為替入門でMJの方がコメントされていたのですが、今読み返すと『何いってんだか』って感じなりますにひひまあ、私の予想では、今回は業務停止にはなりそうですね。


※本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、特定の金融商品の勧誘や購入、投資手法や判断を読者に扇動、強制するものではありません。 投資や、商品購入に関する最終的な判断はあくまで自己責任で行ってください。