MJの勧告処分について | 業界関係者が語る外国為替証拠金取引(FX)について

MJの勧告処分について

ブログ久々に書きます。
先日某雑誌にコメントを出したのですが、このブログがキッカケとなったので、
ブログを再開しようと思いました。

皆さんよろしくお願いいたします。


久々なんで、何から書こうかなと思ったのですが、いいネタがあったのでMJの証券等取引委員会の勧告
処分のことについて書きたいと思います。

http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2009/2009/20091009.htm

この中身を解説してみると、大きく3つの点で勧告を受けており、今後この内容を基に金融庁から行政処分が下るのですが、ひとつずつ勧告の内容を解説していきたいと思います。

(1) 電子情報処理組織の管理が十分でないと認められる状況
株式会社MJ(以下「当社」という。)は、平成19年4月から同20年11月までの間に、外国為替証拠金取引に係るシステムにおいて、少なくとも74件のシステム障害を発生させており、これらのシステム障害では、顧客の取引に損失を与えたものも多数含まれている。
しかしながら、当社においては、システム管理及びシステム障害発生時の対応に関する諸規程の整備が不十分であり、実効性を伴う内容となっていないこと、システム管理の殆どを担っている外部委託先の管理に関する規程・態勢が整備されていないこと、また、経営陣のシステムリスクに対する意識が低いことから、システム障害発生時の顧客対応においては、各部署が場当たり的な対応に終始し、顧客から障害発生に起因する損失が発生したとして苦情等の申し出があったものについてのみ、損失補てん等の対応を行うなど、十分な対応がなされていない。また、システム障害発生時における顧客への影響の調査も外部委託先任せとし、調査結果を鵜呑みにしたことにより、システム障害に起因する顧客被害を見落としている事例が認められた。
以上のように、当社におけるシステムリスク管理態勢については、極めて杜撰な状況が認められた。
当該金融商品取引業者の上記の業務の運営の状況は、金融商品取引法第40条第2号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第123条第14号に規定する「金融商品取引業等に係る電子情報処理組織の管理が十分でないと認められる状況」に該当すると認められる。


この部分は、よく皆さんも目にすると点だと思いますが、まずシステム管理体制面の指摘です。ここで、当局(金融庁)としての考え方としては、顧客の取引、入出金にかかわる事項のトラブルに関しては、業者は、当局に報告をしなければなりません。しかし、74件とは、かなりの数字だとお思いの方も多いのではないかと思いますが、なぜこの数字になるかというと、当局のスタンスは、例えば10秒のログイン障害でも、5時間のログイン障害でも障害は障害なので、障害がおこったらとにかく大なり小なり関係なく報告しろということです。だから、小さいトラブルも含めるのでこの件数になります。そこで、次の内容につながってくるのですが、解釈すると、これだけの件数のトラブルを起こしているのにも関わらず、システムに関しての安全対策措置やシステムリスクの管理など、外部委託業者に任せきりで、自分達は、何もしていないのに加え、顧客のクレームの強いものだけ、損失を補填をし、クレームを抑えていたので、顧客に関して公平に対応していない点やシステムの管理体制がずさんな点でがあります。みたいな内容でしょうね。もしかしたらこれだけで業務停止かもしれませんねドクロ


(2) 顧客に対し特別の利益を提供する行為等
① 顧客に対し特別の利益を提供する行為
当社は、平成20年4月29日に発生したシステム障害により損失を受けた顧客199名に対し、損失補てんを行っているが、うち1名の顧客より、当該損失補てん処理のほか、新規注文分を建てるために必要な証拠金を当社が負担するよう要求を受け、当社は、当該顧客に対し、本来の補てん金額に加えて不当な利益の提供と知りながら、計355,061円の特別の利益を提供した。
② システム障害により損失を受けた顧客に対し、損失を補てんするため財産上の利益を提供しながら、その報告を行わない行為
当社は、平成20年3月6日、同年4月29日及び同年8月5日に発生したシステム障害により損失が生じた顧客のうち120名の顧客に対し、損失の補てんとして合計5,162,662円を支払っていながら、これらについて、東海財務局長に報告を行っていなかった。
当該金融商品取引業者が行った上記の行為のうち、①については、金融商品取引法第38条第6号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第3号に規定する「金融商品取引契約につき、顧客に対し特別の利益を提供する行為」に該当する。
また、②については、金融商品取引法第39条第3項に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第119条第3項に違反する。

基本的に損失補てん行為は、認めらていません。従ってもし、損失補てんを実施するのであれば、必ず当局に報告をしなればなりません。例えば、簡単な例でいうと、ロスカットされる水準じゃないのでロスカットされたとします。その場合は、マイナス分の金額を顧客に戻し、ポジションをオープンレートにて立てるか、システム的にロスカットがなかった状態にします。このような場合は、どういう原因で、何名、どういう処理をしたということを当局に報告しなければなりません。その報告をすることにより、その処理方法が適切であれば、損失補填をしてもここに書かれているような利益提供と認めれません。ただ、この勧告内容は、もう一つあるように、本来損失補てんをする場合は、原状回復が原則なんですが、特別な利益を提供したことが一番問題ですね。あくまでも私の予想なんですが、相当クレームが強かった顧客か、大口顧客だったんで、特別に利益を提供したのでしょうね。


(3) 顧客に対する注文方法の提示において誤解を生ぜしめるべき表示をする行為
当社は、インターネット取引による外国為替証拠金取引において、顧客から注文を受けた場合、①顧客取引を約定させた後、カバー取引先に発注する方法と、②受注レートでカバー取引を執行し、当該カバー取引が成立した後に顧客注文を約定させる方法の、2通りの約定経路を設けている。また、当社は、上記①の方法を原則としており、当社が指定した特定の顧客につき、上記②の方法を採用している。
このような状況下、平成20年5月30日から同年12月1日までの間に②に指定された顧客51名の成行注文は、①の顧客の成行注文が速やかに約定する中、58,329件の注文のうち少なくとも25,466件の注文が不成立となっているほか、少なくとも30件の約定が①の顧客の約定に比して5秒以上遅延し、うち5件についてはロスカット注文が遅延したことにより損失が拡大するなど、両顧客の間では著しい差異が生じている。
この点、当社の顧客が取引において使用するトレードシステムの活用ガイドでは、「成行注文は、今の為替レートで素早く約定する」と説明されているが、②に指定された顧客の注文は、当該説明とは異なり、カバー取引が成立した後でなければ約定しない。
なお、当社は、顧客から注文が不成立になったことに関する苦情を多数受けているが、「当社の提示レートが変動したことにより注文が不成立となった」旨の説明を一律的に行うのみで、②に指定された顧客に対して適切な説明を行っていない。


この部分は、今まで指摘されて業者はないですね。ある一部の顧客だけ(ここでいうと②)、カバーを先にとるということは、顧客が仮に100.00-05の時に、05銭で買いを発注したときに、①の顧客であれば、たぶん05銭で約定して、②の顧客の場合は、カバー先でレートを確認してカバーが取れるレートで約定するため、06銭でしか仮にカバーが取れなければ、06銭で約定するか、約定せずにエラーで返すようになっていたのだと思います。そこで、当局の指摘は、この①の顧客と②の顧客との約定方法の違いを適切に説明していない点が指摘されてます。なぜそもそもそのようなことが起こるかというと、たぶんスキャル取引などする顧客に対して、②の行為をおこなっていたのではないかと思います。スキャルピングされると、カバー取引をおこなっている会社は、カバーをとる前に、新規注文をされ、利益がでている状態で決済をされると、損失だけが業者に残ります。それを大きなアマウントで何回もされると、業者としてはかなりの損失に繋がるので、②のような注文方式に一部の顧客だけ変えたのだと思います。


なんか週刊ダイヤモンドの為替入門でMJの方がコメントされていたのですが、今読み返すと『何いってんだか』って感じなりますにひひまあ、私の予想では、今回は業務停止にはなりそうですね。


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